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2028年からスタートする中小企業のストレスチェック義務化の課題とは?

2026.10.29

2025年の労働安全衛生法改正で2028年4月から50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化される予定だ。人手や時間に余裕のない中小企業にとって、制度理解や運用体制の整備にはさまざまなハードルがありそうだ。中小企業に関する実態を調査して発信するフォーバルGDXリサーチ研究所は、タニタヘルスリンクと共同で従業員50名未満の中小企業におけるストレスチェック制度の認知・実施状況についての調査を実施した。それによれば約8割の企業が従業員のメンタルヘルスは経営や業務に影響すると認識していたが、2028年4月からの義務化を認知している企業は33.3%でストレスチェックを実施している企業は11.9%だった。メンタルヘルスの必要性は認知しているが、実施まで進んでいる企業はまだ少ないようだ。

メンタルヘルスに関する制度理解・義務化認知にギャップあり

従業員のメンタルヘルスが経営や業務に与える影響については、「大いに影響すると思う」(36.0%)と「ある程度影響すると思う」(43.4%)を合わせると79.4%の企業が影響すると認識していた。だが従業員のメンタルヘルス不調の予防を目的としたストレスチェック制度は、「知っており、ほかの人に説明できる」(13.4%)と「知っているが、説明できるほどではない」(42.0%)を合わせた認知している企業は55.4%だった。メンタルヘルス対策の重要性は認識しているが、具体的な制度や実施方法まで理解が進んでいない企業も一定数存在していた。

ストレスチェック義務化の実施率は約1割

2028年4月から50人未満の事業場にストレスチェックが義務化されるが、その認知状況については「知っている」が33.3%で「知らない」が66.8%で、法改正を認知している企業は約3割という状況だった。実施者の選任状況では「法令上のルールを理解しており、実施者も選任できている」は14.4%だったが、「法令上のルールがあることを知らなかった」が54.9%と半数以上と高い割合になった。これまで以上に法令に沿った実施体制や運用方法まで含めた理解促進が必要といえる。

ストレスチェックを実施している企業は11.9%で「必要だと思うが実施できていない」は42.0%だった。「実施しておらず現時点では実施する予定もない」が46.1%で、2028年4月の義務化を前に実務実施の整備が課題といえそうだ。

ストレスチェック実施企業でも運用面に課題

実施企業が感じる課題に関しては、「特に課題はない」が最多の回答だった。課題については「実施・運用に手間や工数がかかる」(23.2%)、「結果の分析・活用方法が分からない」(22.1%)、「ストレスチェック制度について十分に理解できていない」(21.1%)が上位だった。現状は中小企業側の「実施に向けたリソース」と「使いこなす力」が不足しているといえる。

ストレスチェックを実施している企業に、集団分析の実施状況と分析結果を踏まえた対応状況について質問すると、実施主体に違いはあるが「自社で実施している」が49.5%で最多だった。そのほかに「ストレスチェック実施機関に依頼して実施している」(23.2%)、「外部専門家・外部サービスを活用して実施している」(19.0%)が上位で、回答企業の9割以上が集団分析を実施していた。

集団分析は、ストレスチェック結果を部署や職場ごとに個人を特定できない形で集計・分析して、職場全体のストレス傾向や課題を可視化する手法を指す。実施は努力義務だが、具体的な改善策の検討に有効なため国も実施を推奨している。集団分析結果を踏まえた対応では、「職場環境の改善」(57.5%)や「相談窓口・面接指導の案内」(43.7%)が上位で、集団分析を行った企業の大半が何らかの対応を行っていた。単にストレスチェックを行うだけでなく、集団分析の実施とその結果を踏まえた対応までの取り組みを実施する企業が多かった。

ストレスチェックを実施できていない理由では、「対応できる人材がいないから」(38.1%)、「実施・運用方法が分からないから」(36.9%)、「時間的な余裕がないから」(28.3%)が上位だった。人材不足と制度をどのように運用すればよいか分からないというノウハウ面の不安が、実施に踏み切れない要因となっているようだ。

必要な支援は、結果の分析・可視化と活用法の支援が最多

ストレスチェックを実施している企業に今後の健康経営の施策やストレスチェックの推進について質問すると、「ストレスチェック結果の分析・可視化、及び活用法の支援」(40.0%)や「健康経営の改善施策の提案」(29.5%)の支援の必要性が上位になった。今後の健康経営を強化したい企業では、「積極的に強化したい」(13.0%)と「ある程度強化したい」(37.0%)を合わせた半数が今後強化したい意向を持っていた。ストレスチェックを実施している企業に限定して集計すると、今後強化したい意向を持つ企業の合計が46.3%と若干減少した。「積極的に強化したい」は全体の13.0%から9.5%に低下して「どちらともいえない」も33.0%から43.2%へ増加しており、ストレスチェックを実施しても集団分析の結果を次の施策に活かせていない、もしくは活用の仕方がわからないケースもあるようだ。

ストレスチェック実施後の分析・活用までの支援が必要

中小企業のストレスチェック義務化・健康経営について、調査を行ったフォーバルGDXリサーチ研究所の平良学所長は、次のようにコメントしている。「2028年4月からのストレスチェック義務化に向け、中小企業の制度認知や実施状況を調査しました。約8割の企業が従業員のメンタルヘルスは経営や業務に影響すると認識している一方、義務化の認知は33.3%、実施率は11.9%にとどまり、制度理解や実施体制の整備には課題が残っています。ストレスチェックは単なる法対応ではなく、職場環境改善や健康経営につなげるための重要な取り組みです。義務化を前向きな投資として捉え、結果の分析・活用まで含めた支援を進めることが重要です」

共同で調査を行ったタニタヘルスリンク代表取締役社長の土志田敬祐氏は次のようにコメントしている。「約8割の中小企業が従業員のメンタルヘルスの重要性を認識している一方、2028年の義務化への対応や結果の分析・活用に高いハードルを感じている実態が明らかとなった。人材や時間が不足しがちな中小企業ではあるが、義務化を単なる「形式的な対応」で終わらせず、「前向きな投資」として捉えることが重要である。日本経済の屋台骨であり、今後の成長の鍵を握るのは他でもない中小企業である。変化の激しい時代を生き抜くためには、働く一人ひとりが心身ともに健康であることが不可欠であり、それこそが持続可能な経営の土台となる。今回の義務化を前向きな一歩と捉え、共に活力ある日本の未来を創り上げていきたい」

調査によって、専門的な知見を含めた改善施策の提案や従業員向けの教育や研修機会など、具体的な取り組みへの支援を求める企業が多く、そこに実施へのハードルと課題があるようだ。中小企業へのストレスチェック義務化前に、会社が形式的な対応に追われるのではなく、職場環境改善につなげていくためには、実施方法の理解促進や運用体制作りを支援していくことが重要だ。

『フォーバルGDXリサーチ研究所・タニタヘルスリンク共同調査』概要

調査対象:従業員規模1名~49名の中小企業経営者
調査期間:2026年7月9日~2026年7月11日
調査方法:ウェブでのアンケートを実施して回答を分析
有効回答数:800人
調査主体:フォーバルGDXリサーチ研究所、タニタヘルスリンク
出典:フォーバルGDXリサーチ研究所調べ
https://gdx-research.com/report/researchreport202609/

構成/KUMU

30年以上暮らした東京から実家に戻った地方在住フリーライター。得意分野は、ゲーム、アニメ、マンガやIT&デジタル関連など。自宅でリモート取材や自宅作業が増えたので、20年以上ぶりにフル自作PCを作成して活用中。最近の取り組みは、実家で発掘したセガマークⅢ以降の昭和から平成のゲーム機が動くか点検すること。

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