1971年に放送を開始した特撮テレビドラマ『仮面ライダー』。2026年9月から、最新作『仮面ライダーマイス』がスタート。『仮面ライダー』シリーズとしては通算41作目、令和に入ってからは8作が放送されている、言わずと知れた名作品だ。
昭和を懐かしむ方々にとっては、本郷 猛こと1号の「ライダー、変身!とうっ!!」という決め台詞や変身ポーズをまねした記憶もあるだろう。また、代々ライダーの決め台詞や変身ポーズは、時代ごとキッズを熱中させてきた。
さて、その要ともいえる「変身ベルト」に革命が起こったと話題だ。なんと胸と腰の2通りで変身できるという。そのシリーズ初の新ギミックや革新的なプレイバリューが評価され「おもちゃ大賞2026」のキャラクター部門大賞も受賞したというから、これは気になる!
そこで開発担当者に、変身ベルトの開発背景を聞いた。
『仮面ライダーマイス』の「変身ベルト」開発者
話を聞いたのは、『株式kしあyバンダイ』トイ事業部・アシスタントマネージャーの關 俊太朗(せき しゅんたろう)さんだ。關さんは、入社2年目から8年間『ウルトラマン』のおもちゃチームで開発を手がけ、昨年『仮面ライダー』のおもちゃチームに異動してきたという。
「小さな頃からヒーローものに親しんできました。『バンダイ』に入社したのは、学生時代のアルバイトがきっかけです。4年間、遊園地でヒーローショーの運営を担当するアルバイトをしたことをきっかけに、キャラクタービジネスに興味を持ちました。そこで、おもちゃとテレビ番組の両方に関わることのできる夢のような仕事を知り、『バンダイ』への入社を希望しました。
昨年『仮面ライダー』のおもちゃを開発するチームに異動し、『仮面ライダーマイス』の変身ベルトにはゼロから関わりました」(以下「」内、全て關 俊太朗さん)
変身ベルトはどのように開発される?
そもそも変身ベルトはどのように発想され、開発するのだろうか?
作品ありき? それとも、おもちゃありき? 先ほど關さんの言葉で「テレビ番組とおもちゃの両方に関わりたくて、その夢を実現できるのが『バンダイ』だった」とあったが……。
「制作が始まるのは、放送のだいたい1年半前からです。『東映』様からいただく設定に対し、変身ベルトや仮面ライダーのデザインなどを、一緒に決めていきます。また、玩具の光り方や音などはわれわれから提案させていただき、番組内の演出も相談しながら一緒に決めていきます」
なんと! おもちゃの開発を手がけているといっても、『仮面ライダー』に出てくる変身ベルトを、子どもたちが楽しく安全に遊べるようおもちゃ化するだけではなかった。仮面ライダーそのものの姿やストーリーとどう絡んでいくか?という深いところまで、關さんたち『バンダイ』は関わっているのだ。
ところで、一つの変身ベルトには何人くらいが関わっているのか?
「周辺商材も含めて、私の所属するトイ事業部の中だけでも30人以上のメンバーが関わっています。とくに『仮面ライダーマイス』は複数のライダーが登場するので、関連商品もいつもより多く、関わる人数も多いほうだと思います」
「変身ベルト」に起こった変革
「変身ベルト」の基本は、腰に巻く。そして決め台詞と変身ポーズを決めることで、ヒーローになれる。それは1971年の1号から変わらない、われわれの心をくすぐる特徴だ。
それに加え、時代とともに、遊びの幅をさらに広げる変革があった。
例えば、2009年に放送を開始した『仮面ライダーディケイド』のライダーカード。
これは変身ベルトにライダーカード「カメンライド ディケイド」を装填し、ベルトを回転させることで変身するというもの。2005年から『バンダイ』が販売するトレーディングカードゲーム「データカードダス」と「ライダーカード」は連動し、遊びの幅がぐんと広がった。
もう一つが、同年に放送を開始した『仮面ライダーW』のガイアメモリだ。
ビジネスパーソンが仕事に使うメモリスティックのような、2本の「ガイアメモリ」を左右のスロットにセット。展開することで、変身したり、フォームチェンジを行う仕様になっている。
この「ガイアメモリ」をきっかけに、『バンダイ』各部からの商品化を本格化。ガシャポンや食玩、大人向けのおもちゃなど、いまにつながる幅広い商品展開が行われるようになったそうだ。
2WAYで子どもも大人も遊べる「変身ベルト」
そして、『仮面ライダーマイス』の変身ベルト「DXマイスドライバー」である。が、その前に。
実は、胸に巻くスタイルが初めて採用されたのは、2025年に放送されたシリーズ40作目の『仮面ライダーゼッツ』の「ゼッツドライバー」から。「ライダーカプセム」をベルトにセット。ベルト側面のレバーを押し、「ライダーカプセム」の中央部分を回転させることで変身する。
『仮面ライダーゼッツ』では、異なる「ライダーカプセム」により、さまざまな発光・音声・ギミックがたのしめると話題に。多くの「ライダーカプセム」が発売され、さらには歴代仮面ライダーの「ライダーカプセム」も登場し、子どものみならず、キダルトのコレクター魂もくすぐるものであった。
「前作『仮面ライダーゼッツ』で初めて胸に斜め掛けするスタイルが採用され、新しい試みとして非常に好評でした。そこで今回はその流れを受け継ぎ、胸だけでなく腰にも巻ける仕様を目指して開発を進めたんです。
なぜ胸に巻いたのかといえば、これまでの概念を変えるためです。よりインパクトを出そうと、胸に巻いてはどうか?と。
ただし、お子さんが遊ぶものですので、首に引っかかった場合に外れやすいよう安全性を持たせています。それゆえ、既存の腰巻きベルトより、走ったりジャンプしたりといった動きで簡単に外れてしまうという弱点もありました。
そのため設計チームと協力し、胸と腰の両方で安心安全に遊べるよう調整したのが『仮面ライダーマイス』の変身ベルトです」
遊び方は2通り。一つは、胸に装着し、「ライドエグズ1」をセット。エグズを割ると『仮面ライダーマイス』を象徴するネズミの絵柄が現れ、変身する。
もう一つは、腰に装着。別売りの「ハンマーボーンバックル」を合体させて「ライドエグズ」を割ることで、ネコの絵柄などに変化して『仮面ライダーリド』に変身できる。
別売りの「エグズ」や「ハンマーボーンバックル」を組み合わせることで、さまざまなライダーの音声や発光がたのしめるとは。子どもは自分の好きな仮面ライダーに変身できる喜びが味わえるし、これまたキダルトはコレクター魂を刺激されてしまうじゃないか!
心のくすぐり方といい、展開といい、本当によく考えられていると驚く。
大人と子どもの心をそれぞれくすぐるプロモーション
現在では、約10の国や地域で展開され、世界中にファンのいる『仮面ライダー』と「変身ベルト」。幼い頃に夢中になったキダルトの支持も高く、発売前に話題にのぼることもしばしば。
そこで、プロモーションにもひと工夫しているそうだ。
「今回は、目の肥えた大人ファンに向けて、番組放送前の7月初頭から段階的に動画を流しました。あえて動画の中では全てを明らかにせず、ユーザーの間で〝考察祭り〟が起きればという狙いのもと、作品や変身ベルトへの期待値を高めていきました。
放送開始後は、お子さんに向けたプロモーションの番です。お店で変身ベルトを買うと限定カードがもらえるという、初となる店頭キャンペーンを実施しました。お子さん目線でワクワクを醸成できたらと考えています」
『仮面ライダーマイス』の放送開始からまだ1ヶ月。今作のゆくえはもちろん、「変身ベルト」の進化にも注目だ!
取材・文/ニイミユカ
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