日本好きのインバウンド旅行者の間で、ちょっとした流行になっているサービスがある。
それは、日本人宅で料理を教えてもらうこと。和食の作り方を学び、その場で作った料理を賞味できるということで人気だ。
このサービスを提供するのが、ZAZA(株)が運営する「airKitchen」(以下、エアキッチン)という名のウェブプラットフォーム。料理教室の先生の多くは主婦であり、副業的に始めて、月10万円以上稼ぐ人もいるという。
筆者は初めて知るサービスだが、2018年にスタートし、このジャンルでは草分け。サービスの詳細について、ZAZAにうかがった。
留学時の食にまつわる体験がきっかけ
――サービスの立ち上げのきっかけは、なんだったのでしょうか?
「弊社共同創業者の永津豪と村瀬裕太が、留学していた頃にさかのぼります。現地の人たちとの料理を通じた交流が思い出深く、そして料理は人と人をつなぐ力を持っていることを実感しました。
帰国後、異なる国の人たちと自然なかたちで交流できるサービスを求め、エアキッチンを始めたのです」
シンプルなシステムで両者をつなぐ
――エアキッチンの仕組みは、どのようなものですか?
「訪日外国人と日本人が、料理作りを通じてマッチングするサービスで、システム的に弊社が間に立つ存在です。
日本人の側はホストと呼びます。ホストさんは、料理の体験クラスをエアキッチンに登録していただきます。旅行者の側はゲストと呼びますが、ゲストさんは気に入ったクラスを探し、クレジットカードで参加費をお支払い。弊社は、運営費用としてその額の20%をいただいて、残りをホストさんに報酬として支払うかたちです。あとは、ホストさんとゲストさんとでスケジュールなどやりとりしていただき、決まった日時に料理作りを体験していただきます」
ラーメンや寿司が大人気
――日本で料理作りを体験したいというニーズがあることに、少し驚きました。どのような人が利用されるのですか?
「ゲストさんの多くは日本好きで、日本に何回も来ているリピーターです。最初のうちはもっぱら観光していたけれど、次回は少し変わった体験をしたい。では、日本の料理体験はどうかと考え、検索してエアキッチンにたどりつく人が大半です。
エアキッチンのサイトは英語版ということもあって、アメリカ、オーストラリア、イギリスから来られるゲストさんが多いです。次にマレーシア、シンガポールなどアジア圏、イスラエルを含む中東圏と続きます。男女比では約半々で、夫婦あるいは家族連れがメイン。また、一人旅の方も多くて、約2割を占めます」
和食の世界的な人気の高さも、エアキッチンに追い風となる要因のようだ。といっても、ゲストが好む料理のトップスリーは、ラーメン、寿司、和菓子&抹茶。サイトをながめるとほかには、かつ丼、おにぎり、お好み焼き、唐揚げなど、比較的簡単に作れる料理がほとんど。ごく一般的な家庭料理を、訪日外国人は求めているようだ。
「スーパーを一緒に回りたい」というリクエストも
――ホストさんは、本職も料理人という方が多いのですか?
「例えばレストランのシェフで、業務時間外にホストさんを務める方もいますが、少数派です。多くは、本業が料理と関係ない方か主婦で、多少とも料理の心得のある人たちです。
でも、訪日外国人が求めるのは、まさに家庭料理なので、ニーズとぴったりマッチしているのですね。もっとも、ベジタリアン、ハラル、グルテンフリーといった料理にも対応できれば、幅が広がります。料理教室にくわえて、着付けや手芸のワークショップも行うなど、自身のスキルを生かしたプラスの要素を組み込むのもOKです」
スーパーを一緒に回って、おすすめの食材を購入するといった体験のリクエストもあるという。日本で積み重ねた経験やちょっとした特技が、実は外国人に喜ばれることは結構ありそうだ。
月50万円稼ぐ人も
――先日、公式ガイド『エアキッチンで「月10万稼ぐ」外国人おもてなしブック 人気日本料理レシピ&対応マニュアル』が発売されましたね。「月10万稼ぐ」ことは、割と現実性の高い話なのですか?
「はい。月10万円を稼ぐホストさんも多くいます。
登録してから2~3か月でその額に到達するのも夢ではありません。もちろん、お住まいの地域、料理教室の参加料金、ゲストの高評価数などによって個人差はありますが。
成功する1つのポイントは価格設定です。謙遜して低めに設定される方は多いのですが、価格設定は高めにしていただいても大丈夫です。今は円安でもあるし、1万円ぐらいの設定でも、海外の人からすれば、さほど高いとは感じられないものです」
トップクラスだと、月に50万円ぐらい稼ぐ人もいるという。料理の腕やおもてなしに自信があるなら、副業から始めて、本業を目指すのもありかと思う。
始めるハードルは意外と低い
――この記事を読んで、「自分もホストをやってみたい」という気持ちになる人もいるでしょう。準備に始まり、具体的に何をしていけばいいか教えてください。
「実は意外と、準備にかかる手間は少ないです。まず料理教室は、ご自宅の一室で大丈夫。見知らぬ人を自宅に入れることに、不安があるかもしれません。その場合、近所にあるレンタルキッチンを利用するという手があります。もっとも、これまで訪日外国人を自宅にお招きして、何かトラブルに発展したということはありません。
また、英語に自信がなくても大丈夫です。弊社で用意する例文集でかなり対応できますし、コミュニケーションの最中に英語面で困ったら、弊社サポート担当がリアルタイムでバックアップします。AI翻訳・通訳も進歩しているので、遠慮なく活用してもかまいません。
ホストさんとしての登録とマイページの作成も、ハードルは高くありません。ほかのホストさんのページも参考になりますし。全般的に始めやすいサービスだと思います」
マイページで重要なのは、文章面よりもむしろ料理の写真だという。おいしそうに撮るのが肝心で、AI加工はNG。場合によっては、プロの写真家の応援が必要かもしれない。また、英会話については、調理法を教える以外の雑談が大事だとも。雑談のネタ帳に英語で書き留めておき、準備万端でのぞむホストさんもいるそうで、このあたりが新人ホストさんの成功のコツかもしれない。
もし、何か副業がしたくて、料理が好きで、外国の人たちとコミュニケーションを楽しみたいと考えているなら、「エアキッチン」はベストの選択かもしれない。まずは、公式サイトをチェックしてみてはいかがだろうか。
・airKitchen公式サイト
・公式ガイドブックAmazonページ
・ZAZA公式サイト
文/鈴木拓也
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