業務効率化や生産性向上など、ビジネスシーンでの活用が急速に進むAI。では、インボイス制度に対応した請求・経理処理、法改正に伴う業務の見直し、賃上げ原資の確保などに限られた人員で取り組まなければならない中小企業において、AIの導入はどれほど拡大しているのだろうか?
freeeはこのほど、従業員500名以下の中小企業の経営者・バックオフィス担当者1,851名に実施した「日常業務でのAI活用」に関する調査結果を公開した。
中小企業の経営者・バックオフィス担当者の半数以上が業務で週1回以上AIを活用
「あなたの日常業務におけるAIの使用頻度として、最も近いものを選んでください」という設問に対し、週1回以上利用している割合が51.1%となり、半数以上が業務でAIを活用していることが判明した。人手不足の解消や業務効率化を背景に、経営層・バックオフィスにおけるAI活用が広がりつつある様子がうかがえる。
AI利用者の過半数(52.5%)が回答精度に不安。ヘビーユーザー層では約6割に高まる
限られた人手で業務を回す現場において、AIの活用が進む一方で、回答精度に対する課題感が浮き彫りとなっている。
AI利用者の回答精度や処理結果への不安について調査したところ、全体では52.5%が不安を感じていることがわかった。利用頻度別に比較すると、毎日複数回利用するヘビーユーザー層の不安率は59.9%に達し、その他の利用層(49.4%)を10.5ポイント上回る結果となった。日常的に使いこなしている層ほど、正確性や説明可能性へのリスクをより一層痛感している実態が明らかになった。
不安が強い層の34.8%が活用拡大を希望。不安の中でも広がるAIへの期待
回答精度への不安を抱えつつも、現場におけるAI活用の意欲は依然として高い状態にある。
現在AIを利用している人のうち、今後さらに積極的に活用範囲を広げたいと回答した割合は、AIへの不安をあまり感じない層では20.9%にとどまったのに対し、不安を感じている層では34.8%(約1.7倍)にのぼった。不安があっても利用を控えるのではなく、人手不足を補う強力なパートナーとして活用を広げたいという意向が読み取れる結果となった。
見えてきた「答え合わせの壁」。公式情報での裏付けがAI活用の新たな起点に
高い活用意欲の裏にある回答精度への不安は、AIで得た情報の取り扱い方にあらわれている。
対話型AIで情報収集を行った後、提示された企業名や製品名を検索エンジンなどで調べ直す理由を尋ねたところ、「AIの回答が正確かどうか、公式情報で裏付け確認したいから」が550件と最多となった。
これは「情報が足りないから」(465件)を上回っており、情報の補完以上に正確性を確かめるための検索が行われている。現状のAIの回答は情報収集の到達点ではなく、人間が公式情報を参照して「答え合わせ」を始める起点となっていることがわかる。
約4人に1人が「準備・確認・修正」の手間=「検証労働」を実感
AI回答の再検索や確認・修正作業の積み重なりは、本来の効率化効果を相殺してしまう。実際、AI利用者の23.7%が「準備・確認・修正に、削減できた時間と同程度の手間がかかる」と回答した。
さらに、AI活用が進まない最大の理由としても「結局人間が確認・修正しており手間が減らないから」(19.5%)が最多となっている。AIの処理前後に発生する「準備・確認・修正」という「検証労働」が、現場の業務効率化における大きなボトルネックとなっている実態が浮き彫りとなった。
AI利用経験者の37.7%が事務作業の削減を実感できず
AIによる回答の確認・修正作業(検証労働)は、経理・労務・請求など、定型的な手順やルールの多い事務作業の効率化にも影響を及ぼしていると考えられる。実際にAI利用経験者の37.7%が、こうした事務作業について「作業が減った実感がない」と回答した。
AIが処理の一部を代替しても、その前後に確認や修正の手間が残る限り、業務全体の削減効果は得にくくなる。導入効果を最大化し本質的な人手不足解消につなげるには、AI活用の前後にあるプロセス自体をアップデートしていく必要がある。
<調査概要>
調査期間:2026年6月16日~6月25日
調査方法:インターネット調査
調査対象:従業員500名以下の中小企業の経営者・バックオフィス担当者
回答者数:1,851名(経営者:728名、バックオフィス担当者:1,123名)
※本調査結果は小数点以下2桁を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある。
出典元:freee株式会社
構成/こじへい




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