コーヒーは「白黒アレンジ」から「カラフルアレンジ」の時代へ
猛暑の影響や、オフィスワーカーの“気分転換”ニーズの高まりなどから、夏だけでなく年間を通じてアイスコーヒーを楽しむ人が増えている。この傾向は最近までアイスコーヒーを飲む習慣がなかった欧米でも広がっているが、特に日本の場合は顕著で、国内で飲用されるコーヒーの約4割がアイスコーヒーであり、さらに20代では半数以上がアイスを選択しているという(2025年時点、株式会社消費者行動研究所「飲み物調査)。
こうした傾向をチャンスと見たネスレ日本は、アイスコーヒー商品をさらに強化すべく、2026年1月に飲料事業本部に「コールドコーヒービジネス部」を新設。
2026年3月には、前年に発売した「ネスカフェ アイスブレンド」に、ポーションタイプやペットボトル飲料を新たに投入。※関連記事「発売1年で1億6000万杯突破!ネスレ「ネスカフェ アイスブレンド」が大ヒットした3つの理由」。同月、ライトロースト(浅煎り)のコーヒーに果実の風味を組み合わせた新商品「ネスカフェ クーラー」を発売するなど、積極的なアイスコーヒー戦略を展開している。
発売1年で1億6000万杯突破!ネスレ「ネスカフェ アイスブレンド」が大ヒットした3つの理由
■連載/ヒット商品開発秘話 暑くなってくるとアイスコーヒーが無性に飲みたくなる人も多いことだろう。家庭で飲む機会も多くなってくるが、美味しいアイスコーヒーが簡単…
その中でも同社がひときわ注力しているのが、「ネスカフェ エスプレッソベース」(以下「エスプレッソベース」)を主力商品とする濃縮コーヒージャンルだ。同商品は2025年3月の発売以来、購入者が拡大しているが、その約70%が新たに濃縮コーヒーを購入した層で、さらにリピート率は40%以上と好調に推移しているという(※)。
(※)マクロミルの調査。2024年3月~2025年2月に濃縮コーヒーを購入せず、2025年3月~2026年2月に「ネスカフェ エスプレッソベース」を購入した人を”新たに濃縮コーヒーを購入した人”と定義
激戦のコーヒー市場にあって、なぜ「エスプレッソベース」が新たな購入層を獲得できているのか。ネスレ日本 飲料事業本部 コールドコーヒービジネス部 ブランドマネージャーの常盤馨氏は、3つの要因を指摘する。
「ひとつは1本で約15杯分のコーヒーを作ることができ、小さい冷蔵庫でも効率的に保管できるスペースパフォーマンスの良さ、二つ目は1杯分あたり20~28円程度(想定価格ベース)というコストパフォーマンスの良さ、そして割り材を変えることで多彩なアレンジを楽しめるという点です」(常盤氏)
ネスレ日本が注目しているのは、3つ目の要因だ。常盤氏によると、近年カフェで幅広いアレンジコーヒーが提供されるようになり、コーヒーの楽しみ方が多様化しているという。
15組のインフルエンサーがアレンジを競う「最強!濃縮割り師決戦 2026」
こうしたアレンジコーヒー人気の高まりを踏まえ、若年層のアレンジコーヒー・カルチャーをさらに後押しすべく、ネスレ日本が今夏、開催したのが「最強!濃縮割り師決戦 2026」というキャンペーンだ。
これは「エスプレッソベース」が1本で約15杯分になることにちなみ、15組のインフルエンサーを“濃縮割り師”に任命。5月から約4カ月間にわたり、毎月15日に、決められた割り材を使用したオリジナルレシピをそれぞれのSNSで発信し、一般参加者による投票を実施。最も投票数が多かったインフルエンサーを9月15日の「濃縮コーヒーの日」に発表するというもの。ちなみにテーマは5月がアーモンドミルク、6月は牛乳、7月は炭酸水、8月はバナナ、9月はテーマ無し(インフルエンサーが自由に発案)。
4か月という長いキャンペーン期間にわたって盛り上がりを維持するため、各インフルエンサーによる投稿に加え、中間発表を2回実施したほか、最終決戦に向けて複数のリアルイベントを展開。インフルエンサーによるドン・キホーテでのイベント、9月1日から14日までネスレ日本直営のカフェ「ネスカフェ原宿」で「プレ決戦」実施、「ネスカフェ 原宿」に割り師が来店してファンと交流するイベントを開催するなどして、キャンペーンを盛り上げた。
「インフルエンサーの皆さんがそれぞれのファンを巻き込みながら、一体感のある活動が展開されたことも、キャンペーンの熱量を高める大きな要因になったと感じています。今回の取り組みにより、ファンの皆さまがデジタル上だけでなく、リアルな場でもキャンペーンを体験できる機会を創出できたことが、盛り上がりにつながったと考えています」(常盤氏)
「自宅で手に入る材料で、本格的なカフェメニューを再現しているのに驚いた」(常盤氏)
いったい、どのようなアレンジが人気を集めたのか。テーマごとのインフルエンサーの得票数は公開されていないが、得票数上位3位のインフルエンサーのアレンジレシピの一部を紹介する。
3位までの入賞者のほかに、同プロジェクトを担当した常盤氏が実際に試してそのおいしさに驚いたのが、「塩キャラメルラテ」(考案者:るい)や「ティラミスラテ」(考案者:よりこ)の2品。「どちらも自宅で手に入る材料を使ったアレンジレシピでありながら、本格的なカフェメニューが再現されており、驚きました。『プレ決戦』として『ネスカフェ 原宿』で提供した際には、キャンペーンを認知していない来店客からも多くのオーダーが入り、好評だったと聞いています」(常盤氏)
「今後はこれまでの、ブラックやカフェラテといった“黒と白”の楽しみ方だけでなく、より自由なアレンジを楽しむ時代、コーヒーのアレンジを自己表現の一部として楽しまれる時代になるのではないでしょうか」(常盤氏)
日本では、明治時代にはすでにカフェに「氷珈琲」というメニューが存在していたといわれ、「アイスコーヒーは日本発祥のアレンジコーヒー」という説もあるほど。アレンジしやすい濃縮コーヒーは、日本人のDNAに深く刻まれている“アレンジ魂”に火をつけ、日本のコーヒーカルチャーを大きく変えるかもしれない。
取材協力/ネスレ日本株式会社
取材・文/桑原恵美子




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