対話AIプラットフォーム「アイブリー」を提供する株式会社IVRyはモビルス株式会社、株式会社RightTouchと共同で、「全国の20代〜60代の生活者」と「全国の20代〜60代の顧客対応従事者」を対象とした、電話など非対面時におけるカスタマーハラスメントに関する2つの調査を実施。結果をグラフ等にまとめて発表した。
本稿では、その概要を同社リリースをベースにお伝えする。
調査の実施背景
2026年10月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、カスハラ対策が従業員を雇用するすべての企業に義務づけられた。
しかし、カスハラを生まないための「発生予防」という視点での議論はまだ少なく、多くは対面接客の現場を中心に語られている。実際、電話など非対面の顧客接点における実態はこれまで明らかにされていない。
そこで顧客対応の現場をAIで支援する3社は、カスハラを顧客個人の問題ではなく企業と顧客の接点で起きる構造の問題として捉え直すため、生活者と顧客対応従事者の双方に調査を実施した。

「全国の20代〜60代の生活者」調査結果
■電話問い合わせにおけるストレス・不快感の原因
電話問い合わせでストレスや不快感を感じた場面として最も多かったのは「電話がなかなかつながらない」(60.4%)で、次いで「担当者を何度もたらい回しにされる」(42.4%)、と続いた。
一方で「特に感じたことはない」は6.4%にとどまり、電話問い合わせ経験者の9割以上が何らかのストレスを感じた経験を持つ結果となった。待ち時間やたらい回しという「仕組みの壁」が、カスハラを誘発させている可能性(誘発型カスハラ)が考えられる。

■電話問い合わせでのストレスが引き金となる〝普段とは違う言動〟
Q1で、ストレスや不快感を感じた経験がある人(n=499)のうち、61.9%が「いつもより口調が強くなってしまった」(25.5%)、「強い言葉を使ってしまった」(23.6%)、「口調が強くなったことも、強い言葉を使ったこともある」(12.8%)のいずれかを選択。実際に普段とは違う言動をとってしまった経験があることが判明した。

■後から「言い過ぎた」と気づく後悔の経験
「何度もある」(11.7%)、「数回ある」(40.0%)、「一度だけ」(12.0%)を合わせ、63.7%が後から言い過ぎたかもしれないと気づいた経験があると回答している。

■カスハラを意識して要望を飲み込む「言えない生活者」の実態
「よくある」(23.9%)と「たまにある」(41.1%)を合わせ、65.0%が言葉を飲み込んだ経験があると回答した。カスハラへの意識の高まりが、生活者が正当な要望を伝えることをためらう方向にも働いている可能性が推察できる。

■つまずきを感じた際に最もイラ立つチャネル
最も強くイラ立つチャネルは「電話」(37.5%)で、「チャット」(21.3%)や「メール」(18.7%)を大きく上回った。リアルタイム性が高く相手と直接やり取りする電話は、つまずきがそのまま感情に直結しやすいチャネルであることがわかる。

■電話の待ち時間によるイラ立ちの限界点
「3分」(33.8%)が最も多く、「5分」(25.3%)、「10分以上」(17.3%)と続く。「30秒以内」「1分」「3分」を合わせると52.2%となり、半数以上が3分以内でイラ立ちを覚えると回答したことになる。

■AI対応による感情的な言動の抑制への期待
「期待できる」(12.4%)と「やや期待できる」(43.5%)を合わせ、55.9%がAI対応による感情的な言動の抑制に期待できると回答した。

「全国の20代〜60代の生活者」調査概要
調査機関/株式会社IVRy、モビルス株式会社、株式会社RightTouch
調査方法/インターネット調査 (株式会社ジャストシステム「Fastask」利用)
調査期間/2026年8月27日~8月31日
調査対象/20代~60代男女のうち、事前調査(20代~60代の男女6600名を対象)で、過去1年以内に企業のコールセンター・チャット・電話窓口へ問い合わせた経験がある生活者
調査対象地域/全国
回答数/550
「全国の20代〜60代の顧客対応従事者」調査結果
■自社の案内フロー・仕組みの不備が怒りの引き金になる実態
「よくある」(13.5%)と「たまにある」(38.3%)を合わせ、51.8%が、自社の案内フローや仕組みの不備が顧客を怒らせる引き金になったと感じた経験があると回答した。カスハラの発生が顧客個人の問題にとどまらず、企業側の対応にも起因している実態が推察される。

■顧客対応従事者のカスハラ被害経験
「日常的にある」(13.0%)と「時々ある」(50.3%)を合わせると63.3%、「一度だけある」(20.3%)を含めると83.5%がカスハラを受けた経験があると回答した。

■電話応答開始前からの感情悪化・怒りの蓄積
「よくある」(10.8%)と「たまにある」(45.0%)を合わせ、55.8%が、電話に出た時点ですでに顧客が感情的になっていたと感じた経験があると回答。オペレーターが応対を始める前の段階ですでに怒りが蓄積されており、フローや待ち時間の改善がカスハラ抑止の鍵となることが示唆された。

■言いたいことを我慢している「萎縮するお客様」の存在
「よくある」(9.3%)と「たまにある」(46.8%)を合わせ、56.1%が、〝言いたいことを我慢しているように見えるお客様がいる〟と回答した。生活者調査では65.0%が「カスハラと思われたくない」と感じて言葉を飲み込んだ経験があると回答しており、生活者の「飲み込み」を現場も同じように感じ取っていることがわかる。

■顧客が最もイラ立ちやすいと感じるチャネル
「電話」(40.5%)が最も多く、「メール」(20.8%)、「Web」(19.8%)、「チャット」(8.5%)を大きく上回った。生活者調査でも「電話」(37.5%)が最もイラ立つチャネルとされており、電話がカスハラの発生しやすいチャネルであることで双方の認識が一致した。

■待ち時間が引き起こす強い口調や苦情の境界線
「3分」(34.8%)が最も多く、「1分」「5分」(ともに18.3%)が続いた。「30秒」「1分」「3分」を合わせると57.4%となり、半数以上が3分を超えると強い口調や苦情が増えると回答。生活者調査では52.2%が3分以内でイラ立ちを覚えると回答しており、双方がほぼ同じラインを限界として認識していることが明らかになった。

■AIによる初期対応がもたらす心理的負担の軽減効果
「かなり軽減される」(8.8%)と「多少軽減される」(40.8%)を合わせ、49.5%が、AIによる初期対応で心理的負担が軽減されると回答した。「増える」は6.0%にとどまり、AIの導入が現場の負担軽減につながるとする見方が大きく上回る結果となった。

■カスハラ対応による退職・異動への影響
「すでに退職・異動を考えたことがある(実体験あり)」(10.3%)と「きっかけになると思う」(54.8%)を合わせ、65.1%が、カスハラ対応の負担が退職・異動のきっかけになり得ると回答した。カスハラ対策が従業員の定着や、人手不足に直結する経営課題であることがわかる。

「全国の20代〜60代の顧客対応従事者」調査概要
調査機関/株式会社IVRy、モビルス株式会社、株式会社RightTouch
調査方法/インターネット調査 (アイブリッジ株式会社「Freeasy」利用)
調査期間/2026年08月26日
調査対象/20~65歳のコンタクトセンター・コールセンター・カスタマーサポート等の専門部署での顧客対応業務従事者(もしくは過去1年以内に従事していた)
調査対象地域/全国
回答数/400
関連情報
https://ivry.jp/enterprise/top/
構成/清水眞希




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