時として素直すぎる真下正義のように鈍感な人ほどこの世は勝ち!
ネゴシエイターとして凛々しい姿を見せる一方、周囲の空気を読まずに自分の気持ちを素直に伝えるところも真下らしさと言えるだろう。どこか憎めない真下の性格面の魅力についてもユースケさんに解説してもらった。
真下正義 キャリア変遷 02
映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』(2010年7月公開)
警察庁長官官房付・警視
※新・警視庁湾岸警察署署長
SPドラマ『踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』(2012年9月放送)
警視庁湾岸署署長・警視
映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(2012年9月公開)→【C】
警視庁湾岸警察署署長・警視正
映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』(2026年9月18日公開)→【D】
警察庁長官官房審議官補佐・警視監
真下は『交渉人 真下正義』以降に交渉課から外されるものの、着実にキャリアアップを進めていく。印象的なのは、新しい湾岸署の署長に就任したこと。最新作では警視監として登場。青島に重要な捜査への協力を求める。
〝何だコイツ!?〟と思われていても
一切気づかないのが真下のいいところ
『THE FINAL』では、湾岸署署長となった真下のもと、殺人事件が次々と発生。真下の息子・勇気が誘拐される事態に。そのきっかけは、6年前の誘拐事件で当時交渉課だった真下が、警察本庁からの指示で、犯人との交渉を打ち切ったことにあった。鈍感な顔を持つ真下ではあるものの、規則を頑なに準拠する姿勢も見せる。

オーディションとは知らずひとりだけやる気満々だった
『踊る大捜査線』への出演が決まった際、ユースケさんはテレビ局側から〈実験的なドラマを作る〉という構想を伝えられたそうだ。
「『だから僕なのか~』と理解したものの、織田裕二さんが主演するのに実験的ドラマってありえないだろ!と驚きました(笑)。とはいえ、自分を選んでくれたのが嬉しくてね。期待に応えるためにも最初からぶちかまさないといけないと思い、監督やプロデューサーへの挨拶の日に『(自分をキャスティングするなんて)みなさん、お目が高い!!』とか言って、ハイテンションで自分をアピールしたんです。そうしたら、ポカーンとされましたよ。あとから聞いたら、その時はまだオーディションの段階だったそうなんです。でも、やたらひとりだけやる気満々の僕を見て、『アイツを落としたら、ショックで死ぬんじゃないか』と思われたみたいで。自分の力で運をつかみ取りました(笑)」
当時のユースケさんはほぼ芝居未経験の状態。そのため、ドラマの撮影現場はすべてが新鮮であり、それと同時に失態を犯すことも多かったそうだ。
「いかりや長介さんと初めてお会いした時に『いかりやさん、おいっす!』って挨拶をしたら、スタッフにめちゃくちゃ怒られました(苦笑)。これも何も知らない人間の強みですよね。そうしたら、いかりやさん本人は〝おもしれぇな〟と思ってくださったみたいで。〝同じ匂いがする〟って。関係者が全員集まった最初の顔合わせの時も、いかりやさんが自身の笑いで場を和ませていたので『僕も何かやらないといけないんじゃないか』との思いで『CX(フジテレビ)のリーサルウエポン、ユースケ・サンタマリアです!』と言ったんです。シーンと静まり返った後、少しザワついて(笑)。いかりやさんはクスッとウケてくれたみたい。僕と同じ大分県出身の深津絵里さんもちょっと笑ってくれてました。ありがたかったです(笑)」

ユースケさんは当時、どんな仕事でも事務所が受けるというスタンスで、とあるラジオ局で夜の帯番組を担当。そのため『踊る』の撮影現場をラジオ番組の収録時間帯に抜けなければならず、有名俳優を待たせていたという。
「あの頃はラジオ番組をはじめ、バラエティー番組にも出まくっていたので、疲れてヘロヘロな時もありました。そうしたら『踊る』の撮影の合間に、ベンチで寝落ちしちゃったことがあるんです。そうして目が覚めたら、ビックリ。ベンチコートが5枚くらい僕の体に掛かっていました。みんながそうしてくれたんでしょうね。でもそれが暑くて汗がビッショリになっちゃって、軽く風邪を引いちゃいましたけど(苦笑)。とにかく現場では、みんなからは良くしてもらい、すごくかわいがってもらったことを覚えています」
〝何だコイツ!?〟と思われる言動や、周りの人たちから愛されるキャラクターという点で、『踊る大捜査線』の撮影現場におけるユースケさんは真下と似たような存在だったのかもしれない。ファン待望の劇場版最新作では、そんな真下はもちろん、父の背中を追うように警察の仕事を選んだ息子・勇気が警視庁に身を置き、いわゆるキャリア組として働く姿も描かれている。
「まさか増田貴久くんが、息子の勇気を演じるとは思わなくて驚きました。『THE FINAL』ではあんなに小さかった勇気が成長している姿を見て、時間の流れにショックを受けましたけど(笑)。真下家は、代々〝キャリア組〟の家系だから、勇気もきっと後ろ指をさされながら、エレベーター式に内容の伴わない肩書を背負っていくんだろうなぁ。そう思うと、少し同情しました(笑)」
でも「そうした周囲の揶揄に気づかない鈍感さがあるのも、真下家の血」だとユースケさん。
「鈍感力って、実はすごく大事だと思うんです。特に今の時代は、SNSとかに何を書かれているのかを気にしだしたらキリがないでしょ。反対に、周りの目を気にせず〝自分は素晴らしいんだ〟という気持ちだけで生きられたら最高ですよ! 僕自身、そうありたいと思ってますし、勇気も父親に似て鈍感なヤツでよかったなと、今回の映画を観て心から感じましたね」
息子の勇気も鈍感なヤツでよかったと最新作では感じました
最新作では、増田貴久さんが演じる真下勇気が、キャリア組の警視として登場。勇気の立ち居振る舞いはどこか頼りなく、父・正義は「助けてあげて、息子を」と青島に頼み、母・雪乃は心配そうに見つめる。そんな勇気が事件に対してどう向き合い、どのように成長していくのか。真下家の活躍についても、最新作の大きな見どころのひとつだ。


取材・文/倉田モトキ 編集/田尻健二郎
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