「ファミマ」の愛称でもおなじみ、コンビニエンスストア『FamilyMart(ファミリーマート)』が、2026年9月で創立45周年を迎えた。
この記念すべきタイミングで、全国・約16500店舗ではたらく従業員のユニフォームを、コンビニ業界初となるTシャツタイプに刷新。このほか身だしなみに新ルールを加え、誰もが自分らしく、安心して働ける「いちばん働きたいコンビニ」の実現を目指しているという。
いちばんを目指すのは、簡単ではない。しかしそこにあったのは、接客業の原風景ともいえる姿だった。
3割の店舗が抱える「人手不足」という課題
お話を伺ったのは、『ファミリーマート』店舗オペレーション支援本部 店舗オペレーション支援部 QSC・運営企画グループのマネジャー・藤﨑 圭さんだ。藤﨑さんによると、全国にある約16500店舗の『ファミリーマート』のうち、およそ3割の店舗が人手不足だという。

「そもそも小売・サービス業には、人口減少にともなう労働力不足という課題があります。
また、フリーランスやスキマバイトなど、ライフスタイルに合わせた働き方が台頭し、スキマバイト市場は3年で約4倍にも急成長しました。こうした中、職場になじめないことなどによる早期離職の増加や、短時間勤務やかけもちを希望するといった働き方の多様化など、コンビニエンスストア業界は労働市場の構造的な変化に直面しています。
お客さまにこれからもよいサービスをご提供するには、全国約20万人の店舗スタッフの働きがいを高め、新しい店舗スタッフの募集・採用・育成・定着を促進しなければなりません。働きやすい環境の整備は急務でした」(以下「」内、全て『ファミリーマート』藤﨑 圭さん)
ルールのうえに成り立つ〝わたしらしさ〟
「いちばん働きたいコンビニ」になるために。『ファミリーマート』は、店舗の価値を生み出す主役の〝人〟つまり店舗スタッフが、自分らしく生き生きと働けることが大事だと考えた。
「デジタル化やAIなどのテクノロジーがいくら発達しても、お客さまは〝人〟です。〝人〟に心から寄り添えるのは、同じ〝人〟である店舗スタッフに、ほかなりません」
そこで「募集」「採用」「育成」「定着」の4つをひと繋がりに「店舗人財マネジメント」として捉え、数々の取り組みを実施。その一つが10年ぶりとなるユニフォームの刷新なのだ。


しかし、Tシャツタイプのユニフォームはコンビニ業界初だというし、ほかにも髪色 の自由化や、マスクで隠せばひげOK・タトゥーは隠せばOK(規定の範囲内)、信条や文化的背景、体質などの事情を考慮した装いも可能、ワーキングネームを選択してよいなど。新しく定められた身だしなみルールを見ると、『ファミマ』はかなり攻めているという印象をおぼえる。

「新しいユニフォームをお披露目した『ファミフェス2026』でファッションショーをご覧いただいた方々からも、自由度の高さに驚く声をいただきました。ただし大前提として、コンビニエンスストアは接客業であり、食品も扱います。マナーは守ったうえで〝わたしらしさ〟を発揮し、働きがいを感じてくれたらと考えています」

藤﨑さんによると、マナーは大きく3つある。
一つは、清潔感と衛生管理。勤務ごとに清潔なユニフォームを着用し、爪は短く整え、ネイルはしない。誰が見ても、気持ちのいい状態を徹底する。二つ目は、安全性の確保。異物混入や思わぬケガを防ぐためにも、ピアスや指輪などのアクセサリは外して勤務する。三つ目は、丁寧な接客。お店の顔として、〝わたしらしさ〟のある外見に、心遣いある寄り添う接客をすることで、客をファンにする笑顔の接客を、というものだ。

「これらのマナーは、以前から変わっていません。そこに今回〝わたしらしさ〟をプラスすることで、お客さまの期待を凌駕する接客のバージョンアップを図りたいですね」
ユニフォームが変わって、様子は?
本記事の取材は9月10日に実施した。つまり新ユニフォームになって10日めである。
「より着心地のよいユニフォームがいい」という店舗スタッフの希望もあり、ファミマのオリジナルアパレルブランド『コンビニエンスウェア』の綿100%のアウターTシャツをボディに採用。同ブランドのデザイナーである落合宏理氏がデザインを手がけたというが、働く店舗スタッフや客からの反応はあったのだろうか?
「お客さまからのリアクションは届いています。正直、賛否はありますね。『スタッフがカジュアルに生き生きと働いており、印象がよくなった』というお声がある一方で、Tシャツ姿に驚かれるお客さまもいらっしゃいます。他のコンビニエンスストアはまだジャケットタイプが主流ですので、今後見慣れていただくことで、印象が変わるだろうと考えています」
2030年に向け、「いちばん働きたい」コンビニを目指して
今後は、店舗スタッフ限定の、ユニフォームに合わせたラインソックスの販売を26年12月に予定。また、店舗スタッフはもちろん、店舗オーナー向けのサポートも充実してゆく。

「年々、店舗スタッフの一回の勤務時間がより短くなりつつあります。それもあり、新人教育を見直し、好きな時間に一人でタブレット学習ができるようにしました。店舗スタッフは自由度が高く学びやすいですし、教える側もその時間をほかの業務に充てられます。
また、27年2月までに全店入れ替えを完了する新しいレジも、その一つです。よいサービスには〝人〟が〝人〟に寄り添う接客が欠かせませんが、一方で、接客時間は業務量の多くを占めます。新しいレジでは、セルフショッピングモードに切り替えられるので、店舗スタッフの負担緩和につながると考えています。
それから、毎日の床掃除もロボットにお願いしています。一日の業務時間が5時間で、するべき業務が10個あったとして、一つひとつを機械やAIで効率化することで、10から12に増やす。もしくは、10から8に減らして、浮いた時間で丁寧な接客をする。いずれにするかは店舗ごとの方針ですが、よりよいサービスに繋げてもらえたらいいですね」

こうした、店舗スタッフや店舗オーナーの働きやすさを高める施策を実施することで、店舗スタッフはモチベーションアップ。定着し、長く働いてくれればできる業務も増え、店舗の大きな力になる。また、働きがいをもった店舗スタッフがよいサービスをすれば、「また、あの人に接客してほしい」「今日は、あの『ファミマ』へ行こう」などと、客がより立ち寄りたくなる場所になってゆくことだろう。
「われわれのコーポレートメッセージは、『あなたと、コンビに、ファミリーマート』です。ここには、便利(コンビニエンス)な存在という意味に加えて、お客さまといっしょ(コンビに)という想いが込められています。店舗スタッフ一人一人が、お客さまはもちろん地域に寄り添う。そして、何を欲してらっしゃるのかに気がつき、店舗スタッフや店舗が必要とされる存在になっていく。それこそが〝わたしらしさ〟を通して築いていきたい〝ファミマらしさ〟です」

なるほど、「いちばん働きたい」を通じて『ファミマ』が目指しているのは、接客業の原風景ともいえる姿だった。
ちなみに店舗スタッフは、世代を問わず、幅広い年代・国籍の人たちが活躍しているという。また、募集サイト『ファミマjo!n』から応募・面接することで、最大700円の『ファミペイ』ギフトコードの還元サービスも。
一所懸命、働ける場所を探している。働きがいをもちたい。そんなあなたは、『ファミマ』を覗いてみては?
取材・文/ニイミユカ
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