だしブームの火付け役と言われる「茅乃舎」。多くの著名人も愛用し、ニッポンの台所に欠かせない存在となったブランドだが、そんな茅乃舎が「だしを使ったクッキー」を販売し、話題になっている。
茅乃舎ならではの和の調味料を生かした4種類の「里山クッキー」は、お茶請けにはもちろん、お酒にも合う大人向けのお菓子。
玉ねぎの甘みを感じられる「野菜だし」を使用したクッキーを始め、唐辛子や山椒のピリッとした辛みが印象的な「生七味」を使った逸品もあるなど、その独特な風味と味わいが人気だ。
しかしなぜ、和風調味料を極めた茅乃舎がクッキーに挑戦したのか?
今回、株式会社久原本家グループエージェンシーの野田さんに開発秘話を聞いた。
――茅乃舎がクッキーを作ったきっかけから教えてください
「茅乃舎が大切にしている「だしのうまみ」や「素材の風味」を、より身近で気軽にお楽しみいただきたいという想いから、クッキーを開発しました」
「だしは非常に汎用性のあるもので、味噌汁や鍋だけでなく、さまざまな楽しみ方をご提案したいという思いがあります。飲みものとしての「だしスープ」や今回のクッキーも、そんな思いで生まれた一つです」
「また、普段お料理をしない方にも茅乃舎のだしの美味しさを手軽に味わっていただきたいという思い、そしてギフトとしてもお贈り相手を選ばない(お料理しない人にも渡しやすい)ので茅乃舎を知っていただくきっかけになってほしいという思いもあります」
素材の風味が響き合う“大人なクッキーアソート“は4種類。だしを使った「野菜だし」、「生七味」に加え、心地よいほろ苦さとほんのりとした甘みが広がる「抹茶」、練り胡麻と黒胡麻、2種の胡麻を練りこんで香ばしく焼き上げた「黒胡麻」。
そんな茅乃舎のクッキーは他のクッキーとは一味違う。こだわりは「イメージを覆す旨味に満ちた塩味のあるお菓子」。
「一般的にクッキーには甘いイメージがあると思いますが、今回は塩味のあるクッキーにすることで「だし×クッキー」という一見あわなそうなイメージを覆し、お酒にもあうように設計しています。野菜だしのうまみや美味しさを感じていただける味わいです」
4種類すべてに国産の小麦粉と全粒粉を使用し、風味豊かに仕上げられた逸品は、茅乃舎10店舗限定で販売されており、なかなか手に入らないという声もあるほどかなりの人気。
購入者からは、「お出汁が効いていてとても美味しかった」「特にしょっぱい系が気に入り、野菜だしは玉ねぎの甘みがしっかり感じられる」「生七味は山椒の風味が良くお酒と絶対に相性が良い」との声が寄せられているという。
「モノ言わぬモノにモノ言わすモノづくり」の信条
茅乃舎ブランドが誕生したのは2006年。
当初、通信販売だけの展開だったが、口コミで話題になり一躍ブームに。それを機に全国の商業施設などから店舗出店の依頼が相次ぎ、今や30店舗以上を構えている。
もともとは、福岡県の里山に佇む料理店「御料理 茅乃舎」の料理長が素材を厳選し、家庭でも使いやすい調味料として作り上げたのが、家庭で本格的なだしを手軽にとることができる「茅乃舎だし」だった。
「茅乃舎のだしシリーズに使っているのは、どれも厳選された国産の素材です。私たち自身で産地に足を運び、生産者の方にお会いして、ものづくりへの思いや信念を共有することを大切にしています」
通信販売から始まった「茅乃舎だし」が多くの人に愛される商品、ブランドになった理由はなんなのか?
「私たちは商品のおいしさはもちろん、その商品を使われる暮らしを想像しながら、豊かな時間を過ごしたり、楽しくなったりする提案を行っております。そのために、味づくりだけでなくパッケージやカタログ、接客など全てにおいて一貫した世界観づくりにこだわっています。そうすることで、商品のみならず、ブランドに対し共感や愛着をもっていただけると考えています」
「また、通販や店舗を通じてお客様に商品をつくった背景や使い方を丁寧にお伝えできること、またお客様の声や反応を直接いただけることで、より良い商品づくりへと還元しております」
茅乃舎ブランドを展開する久原本家グループは創業133年を迎え、売上高や店舗数も拡大している。確固たる地位を築いた老舗が、今後さらに成長するために必要なこと、それは『モノ言わぬモノにモノ言わすモノづくり』。
「何よりも「お客様にいかに喜んでいただけるか」に重きを置いています。売上を追い求めるのではなく、いかに永くご愛顧いただけるブランドとしてお客様の生活に寄り添えるか。たとえ手間暇がかかっても愚直に本当においしいものをお客様にお届けすることが最も重要であると考えています。『モノ言わぬモノにモノ言わすモノづくり』の信条のもと本当においしいものを徹底して追求し「永続」できる企業体制を図っています」
「現在、北海道で新たなブランドの立ち上げやアメリカでのEC販売、大阪大学及びハーバード大学との共同研究など、持続可能な事業運営のための戦略も進めています」
「また、若年層のお客様には、「だしの使い方がわからない」といったお声をいただくことがあります。共働きや単身世帯の増加により、なかなか料理に手間や時間をかけにくい時代になっていることは一般的にも言えると思います。そんな方々にも、だしをより身近に手軽に感じていただける商品開発をすすめていきたいと思っています」
文/太田ポーシャ
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