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トレカとプラモが書店を救う?三洋堂が仕掛ける本が売れない時代の書店の生き残り策

2026.09.08

中部地方を地盤に書店を展開する三洋堂ホールディングスの復調が鮮明になってきました。2026年3月期は4%程度の増収。4期連続の減収から脱しました。今期も増収を計画しています。

トレカなどの書籍以外の販売が好調。書籍販売の落ち込みをカバーして増収に導いています。無人営業にも取り組んでおり、効率的な店舗運営にも前向き。書店の新たな方向性を示しているようにも見えます。

トレーディングカード専門店「トレカ館」を出店

2026年3月期は書籍の売上高が前期比5.7%減の85億円だった一方、トレカ部門は同26.6%増の25億円、文具·雑貨·食品部門が同15.4%増の17億でした。三洋堂は2022年に中古ホビーを扱う駿河屋のフランチャイズに加盟しています。2026年3月期の駿河屋部門の売上は同80.7%増の11億円でした。

2026年4月~6月はトレカ部門が前年同期間比56.3%、文具·雑貨·食品部門が同53.1%、駿河屋部門が同64.7%それぞれ増加しています。三洋堂は2027年3月期通期で1.5%の増収を計画していますが、第1四半期は16.2%もの増収でした。好スタートを切っています。

三洋堂は書籍販売の低調とレンタルサービスの減収に悩まされてきました。しかし、書店からホビー·トレカ·リユースへ売場を切り替える戦略が奏功し、停滞感を払拭しています。

三洋堂が「三洋堂トレカ館」の1号店をオープンしたのが2020年9月でした。従来からトレーディングカードは扱っていたものの、トレカ館は新品と中古、対戦スペースも設けた専門店でした。トレカ館導入店舗は2026年3月末で26店舗に拡大しています。

なぜ駿河屋のフランチャイズに加盟したのか

2022年に駿河屋のフランチャイズに加盟しました。これは大きな変化だったと見ることができます。

三洋堂は、古本やトレーディングカードの中古売買ノウハウを自前で育てています。中古ホビーも内製化できる素地は備わっていた可能性は十分にあります。しかし、フランチャイズに加盟するという選択をとりました。時間をかけて自前で育てるよりも、フランチャイズ加盟で迅速に事業をスタートするという意味合いが強かったでしょう。

「推し活」というキーワードが頻繁にやりとりされるようになったのが、2020年~2021年ごろ。新たな消費動向として注目されていました。2022年のFC加盟はその流れに乗る絶好のタイミングでもあります。

中古ホビーはフィギュアやぬいぐるみ、アクリルスタンド、アイドルグッズ、レトロ玩具など、幅広い商品知識が必要になります。買取価格や相場形成などの知識を自前で育てるのは時間がかかるのです。

また、駿河屋は事業として卸売を行っています。本部が集めた中古ホビー商品を加盟店に供給する仕組みがあるのです。三洋堂は本部から商品供給を受けて棚を埋め、新店舗を出店。その後は店舗で買い取りして商品を仕入れ、販売するという循環が作れます。出店計画を立てやすいというメリットもあるのです。

2026年3月末時点の駿河屋導入店舗は7店舗。順調に店舗数を増やしています。

売場の多様化はさらに進んでおり、プラモデル売場は2026年3月期に10店舗導入し、45店舗となりました。

三洋堂は書籍市場が縮小するなかで、本を販売する場所から好きなコンテンツにお金を使う場所へと変化させました。

無人化にもチャレンジ

店舗の無人化にも取り組んでいます。顔認証入店による「スマート無人営業」の導入を推進しており、2026年3月末時点でスマート無人営業店舗は32店舗となりました。

三洋堂は夜間の無人営業を展開しており、店舗の人員を2人から1人体制への転換を進めています。一方で賃金上昇は進んでいるため、人件費は増加。徹底的な省人化を進め、利益が出る体勢を構築しなければなりません。売場の転換や省人化システムの導入を積極的に進めています。

ただし、三洋堂の営業利益率は1%台であり、経営費削減策による高収益化には限界があるようにも見えます。売場転換を加速し、稼ぐ力を高める必要があるでしょう。

三洋堂の加藤和裕社長は、本の売場を縮小してトレカなどに切り替えなければならない旨の発言をしています。しかし、売場面積を急速に縮めるという選択肢は取りづらい事情があることも事実。三洋堂の筆頭株主は取次大手のトーハンだからです。35.9%の株式を保有しています。

トーハンは三洋堂の主要な取引先であり、役員を受け入れてもいます。出版取次と書店グループの連携を深め、両社にとってメリットの高い経営を目指さなければなりません。バランス感覚が必要です。

三洋堂とよく似た改革に取り組んでいる会社にトップカルチャーがあります。TSUTAYAのメガフランチャイジーです。テイツーが展開する中古ホビーやトレーディングカードなどを扱う「ふるいち」のフランチャイズに加盟しています。書籍販売の落ち込みをトレーディングカードや中古ホビーで埋めようとしているのです。

足元ではその成果が出てきました。書籍からコンテンツ販売へと舵を切る姿は三洋堂とよく似ています。

一方、トップカルチャーもトーハンが筆頭株主。書店は新たな方向性を模索しており、売場改革が成功しているケースも目立つようになっています。書籍を取り巻く事業者が複雑に絡み合い、生き残りをかけた激しい競争を繰り広げています。

文/不破聡

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