小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

「いびきがヒドい」と言われたら迷わずGO!睡眠時無呼吸症候群のオンライン診療と在宅検査が可能に

2026.09.08

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

電動シェーバーや電動歯ブラシなど、理美容製品でおなじみの「フィリップス」は、ヘルステック企業としても長年の歴史があり、高度医療、急性期・重症患者ケア、睡眠・呼吸領域のホームケアなど、医療分野においても幅広く事業を展開している。

9月3日の「睡眠の日」の前日に、フィリップス・ジャパン主催の「睡眠の日に向けたSAS啓発セミナー」が開催された。クリニックフォアグループ会長 兼 クリニックフォア田町院長の村丘寛和氏が講師となり、潜在患者が940万人といわれる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の現状や体に及ぼす影響、受診への導線について語った。

「ただのいびき」「加齢のせい」でスルーしていると様々な健康リスクが生じることも

SASとは、睡眠中に気道が閉塞し、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」、または浅くなる「低呼吸」の状態を指す。1時間あたりの無呼吸・低呼吸の平均発生回数を「AHI」と呼び、AHIが5以上で、かつ日中の眠気などの症状を伴う場合にSASと診断される。

AHIによる重症度分類は、5~15未満が「軽症」、15~30未満が「中等症」、30以上が「重症」とされる。重症の場合は2分に1回、一晩(7時間)で200回以上呼吸が制限される状態となり、体にかかる負荷は相当なものになる。

「気道が塞がる主な要因は、仰向けで寝たときの重力による舌の落ち込み、首まわりの脂肪による圧迫、あごが小さい・後退しているなどの骨格的要因、加齢による気道周囲の筋肉量減少で気道が狭くなるといったことが挙げられます。

特に日本人は骨格的にあごが小さい傾向があり、肥満体型でなくてもSASを発症することが珍しくありません。呼吸が止まるたびに血液中の酸素濃度が下がり、疲れだけでなく、心臓病や疾患リスクが高まってしまうのです」(以下「」内、村丘氏)

SASの症状として、夜間の大きないびき、起床時の頭痛、熟眠感の欠如、日中の強い眠気や集中力低下がある。

しかし眠っている間に起こっているため本人は気づけないことが多く、症状が出ても単なる疲労や加齢と見過ごされやすい。

「“自覚症状が出たら受診する”という通常の受療行動がSASでは機能しないため、潜在患者の9割以上が見つかっていない実態があります。だからこそ、家族やパートナーといった他者からの『昨日いびきがすごかった』『呼吸が止まっていた』という指摘が、発見の契機となります。

SASは“ただのいびき” では済まされない健康リスクがあります。症状がない人と比べると、AHI15以上の患者の4年後の高血圧発症リスクが約2.9倍、深夜0時から6時の睡眠時間帯における心臓突然死のリスクが約2.6倍、AHI19を超える男性において脳卒中の発症リスクが約2.9倍、交通事故リスクが約2.4倍という調査結果があります。

また、日本国内における睡眠障害による年間経済損失は3.4兆円と試算されており、損失の大部分は医療費そのものではなく、日中の眠気によって出勤しているもののパフォーマンスが低下する『プレゼンティズム(労働生産性の低下)』によるものです」

2026年6月の制度改定でSAS治療へのアクセスが容易に

国内の30歳~69歳におけるSAS患者数は、軽症以上(AHI 5以上)が推計2,200万人(およそ3人に1人)、治療対象となる中等症以上(AHI 15以上)が推計940万人で、この数は糖尿病が強く疑われる者と同規模に上る。

しかし、中等症以上の潜在患者約940万人に対し実際に標準治療であるCPAP(持続陽圧呼吸法)療法を受けているのは約73万人にとどまり、治療到達率は8%弱となっている。

治療にたどり着けない理由のひとつが本人にSASの自覚がないということ。「寝つきがいい」「朝まで起きない」と睡眠に問題がないと話す人でも、実際に検査してみるとAHI28以上の中等症以上で一晩に200回以上呼吸が止まっていたと判明することもある。

「本人に自覚がないことに加え、中等症以上のSASは30代~60代の約7人に1人、つまり働き盛りに該当しており、この世代は平日に医療機関を受診する時間を確保しにくいという課題があります。

さらに従来の精密検査の一泊入院の必要性や、入院に伴う有給取得などの社会的・心理的負担、経済的負担、さらにどこに相談すべきがわからないといった理由で、受診を後回しにしがちにだと考えられます」

こうした受診を阻害する状況を変えるきっかけになったのが、2026年6月の制度改定に伴うSAS診療環境の変化だ。診療報酬改定および医療法改正により、SAS治療へのアクセスを容易にする制度変更が実施された。

「平日の日中に時間が取れない」「入院検査のハードルが高い」という人に向けての朗報が、

オンライン診療と在宅検査が利用できるようになったこと。

「初期の相談、検査手配、結果説明、CPAP処方、その後の継続管理にいたるまで、オンライン診療の活用が正式に利用可能となりました。初診時に触診や特殊機器が不要なSASは、オンライン診療との親和性が極めて高いといえます。

自宅に届く機器を用いた在宅検査の普及により、慣れない病院のベッドではなく、いつもの睡眠環境で正確に測定可能となり、入院に伴う社会的・費用的な負担が解消されます」

CPAPの保険基準が緩和されたことも大きな利点。診療報酬上の基準値(閾値)が引き下げられ、治療導入のハードルが下がった。

終夜睡眠ポリグラフィーによる精密検査の場合、確定診断基準がAHI20以上から中等症の15以上へと引き下げられ、中等症の医学的定義と制度の線引きが揃った。

簡易検査による診断基準もAHI40以上から30以上へと引き下げられ、簡易検査のみでも精密検査を経ずに直接治療へ移行しやすくなった。

保険診療だけでなく自由診療での治療もスタート。また、医療法施行規則の改正により、内科や精神科などの基本診療科名と組み合わせる形で「睡眠障害内科」などの標榜が可能となり、患者が相談先を識別しやすくなった。

CPAP治療の適切な継続状況を評価する診療報酬上の加算も新設され、医療機関側が治療継続のサポートにコミットする仕組みが強化された。

オンライン診療が可能になったことにより、一晩入院を要する検査が前提ではなくなった。受診から治療までのフローは以下の通り。

簡易検査では、医療機関から自宅に機器を配送。指や手首にセンサーを装着して一晩就寝し、血中酸素濃度や呼吸状態を測定。自宅で脳波や鼻周辺の気流を測定できる高度な在宅用キットにより、睡眠の質を深く評価する。簡易検査で判断が困難な場合などは必要に応じて精密検査を実施する。

簡易検査の翌朝に検査機器を返送し、約1週間で結果が通知される。結果を受け治療が必要とされた場合、CPAP治療を実施。CPAP治療とは鼻に装着したマスクから空気に一定の圧力をかけ続けて送り込むことで、物理的に気道を広げて無呼吸を防ぐ治療法。最初の1~2週間で装着に慣れることが多く、重症患者ほど劇的な睡眠改善を実感しやすい。

CPAP治療以外では、軽症者や骨格的要因が強い場合はマウスピースによる下あごの固定、扁桃肥大など解剖学的要因が明確な場合は外科的処置を施す場合もある。SASは治療と並行して減量や禁煙、節酒などの生活習慣改善も行っていく。

「CPAP治療は対処療法であるため、病気を治すというものではありません。CPAP治療と同時に減量も実施して適正体重になったため治療をやめる、高齢になったのでやめるなど、他の要因と合わせて治療をやめるケースがありますが、高血圧の降圧剤と同様に、基本的には一生涯にわたって使用することになります」

【AJの読み】「たかがいびき」と侮るなかれ

夫のいびきは日によって程度が異なるが、いびきが突然止まるとやはり気になり呼吸しているか確認したこともあった。筆者自身もいびきをかいているという自覚はまったくなかったが、家族旅行で同じ部屋に泊まった際に息子から『いびきをかいていた』と指摘されたこともあり、SASのチェックリストでも当てはまる要件があったことから、一度検査してみようかと思っている。

クリニックフォアグループのデータでは、オンラインでのCPAP治療継続は順調であり、月間の中断率は全体に対して1割前後にとどまっているとのこと。

「いびきや眠気は体質や年齢のせいだとか続けられがちですが、SASは検査ができて治療法があり、保険が適用される病気です。睡眠の日をきっかけにSASへの認識が広がり、いびきを指摘されたら一度相談してほしいと思います」

セミナーを主催した株式会社フィリップス・ジャパン 代表取締役社長 安部美佐子氏は、セミナーを通じて、一人でも多くのSAS患者が自分の症状に気づき受診行動に移行することを願っていると話した。

「弊社は医療事業にも携わっておりますので、知り合いや取引先の方とお話する際に『睡眠の検査を受けられたことありますか』『いびきを指摘されたことありますか』とお聞きすることがあります。いびきをかいていると言われたことはあっても、睡眠の検査を受けたことない方が本当に多いんです。

次にお会いしたときに『検査は受けられましたか』と聞くと、ほとんどの方が『いや、まだです』とおっしゃる。医療従事者でない私が申し上げても、なかなか受診行動に至らないと個人的に無力感を感じていました。村丘先生のお話を参考に、いびきを指摘されたら一人でも多くの方が、一度検査をされることを願っています」(安部氏)

取材・文/阿部純子

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2026年7月16日(木) 発売

DIME最新号は、世界の模型・プラモデルメーカーを大解剖する「ボクラのタミヤ」特集!『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』こしたてつひろ先生インタビュー&描き下ろしピンナップ、特別付録にはスチールギアケースも!さらに2026年上半期トレンド特集では、「売れる」より「育てる」をキーワードに、ファンを育てる新時代のヒット戦略を徹底分析!話題のモナキ独占インタビューも掲載した見逃せない一冊!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。