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飲食店経営者の7割が「災害に備えている」一方で、災害時の対応方針を文書化したり共有できているのは5%程度

2026.09.07

いつ何時起こるかわからない自然災害。生活者であれば「防災グッズを買い揃える」「避難経路を確認する」などの対策が考えられるが、飲食店経営者たちは自身の店舗・従業員を守るためにどのような「備え」を講じるのだろうか。

飲食店経営・運営を支援するプラットフォーム「飲食店ドットコム」を運営するシンクロ・フードはこのほど、同プラットフォーム会員の飲食店経営者・運営者222名を対象に「防災対策」に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。

71.2%が「災害に備えている」一方で、災害時の対応方針を文書化・共有できているのはわずか5.4%

はじめに、運営している飲食店で災害に対する備えをしているかを尋ねた。「不足があるかもしれないが、ある程度は検討・備えをしている」が60.4%、「検討の上、十分に備えを行っている」が10.8%で、合わせて71.2%が何らかの備えをしていると回答した。「防災については全く検討できていない」は28.8%となった。

続いて、災害で被害を受けた場合の対応方針や役割分担を定めているかを聞いたところ、「文書やマニュアルにまとめ、スタッフと共有している」は5.4%にとどまった。「大まかに決めているが、文書にはしていない」は36.0%。定めていない店舗は「必要性は感じているが、手をつけられていない」(42.8%)、「特に必要性は感じておらず、定めてはいない」(15.8%)で、合わせて58.6%を占める。

前問で「備えをしている」と回答した158店舗に限っても、文書化してスタッフと共有できているのは7.6%となった。備え自体は広がっている一方で、被災したときに誰が何をするかを共有できている店舗は限られている。

対応方針を定めている92店舗にその内容を聞くと、「従業員の安否確認・連絡方法」が73.9%で最多。「厨房設備・冷蔵設備の点検、復旧の手順」と「お客さまや近隣への情報発信(SNS・店頭掲示など)」がともに59.8%、「営業を再開するかどうかの判断基準」が50.0%で続いた。

一方、「当面の運転資金の確保方法」は30.4%、「従業員の給与・雇用の扱い」は23.9%、「テイクアウトなど、通常営業に戻る前の代替営業手段」は14.1%と、事業継続に関わる項目は低い水準にとどまった。

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災害で休業した場合、約6割が資金面で1か月を超える事業継続を見通せず。仕入先を「すぐ切り替えられる」は29.3%

災害の影響で休業した場合、資金繰りの面でどのくらいの期間、事業を継続できそうかを尋ねた。「1週間まで」(7.7%)、「2週間程度」(9.0%)、「1か月程度」(20.7%)と、1か月以内が合わせて37.4%。さらに「わからない」が22.1%あり、両者を合わせると59.5%が、資金面で1か月を超えて事業を継続できる見通しを持てていないことになる。「2~3か月程度」は23.0%、「3か月以上」は17.6%となった。

続いて、主要な仕入先から通常の仕入れができなくなった場合に、代替可能な仕入れ先を確保しているかを聞いた。「複数の仕入れ先と日常的に取引があり、すぐ切り替えられる」は29.3%。「必要だと思うが、確保できていない」が31.1%で最も多く、「代替先の候補は把握しているが、取引実績はない」が17.6%、「これまで考えたことがなかった」が16.7%、「確保する必要性を感じていない」が5.4%と続いた。取引実績のある代替先を持たない店舗は、合わせて70.7%にのぼる。

停電・断水への備え、「特に対策は取っていない」が35.6%。停電が半日続いた場合、10万円以上の食材を廃棄する店舗も24.3%

停電や断水が発生した場合に備えて対策していることを聞くと、最も多かったのは「釣り銭の準備をするなど、停電時に現金での会計ができるようにしている」で37.4%。以下「カセットコンロなど、電気・ガスが停止しても調理可能な手段を用意している」が28.4%、「飲料水・調理用水を備蓄している」が24.3%、「冷蔵・冷凍在庫の損失を補償する保険に加入している」が21.2%、「クーラーボックスや保冷剤を備えている」が20.3%と続いた。

「ポータブル電源や発電機を用意している」は12.6%、「食材の緊急的な移動先・保管先を確保している」は8.1%にとどまった。一方で「特に対策は取っていない」も35.6%を占めている。

停電が半日程度続いた場合に廃棄せざるを得ない食材の金額を1店舗あたりで尋ねると、「5万円未満」(41.9%)、「5万円~10万円未満」(29.3%)が中心となった。ただし「10万円~30万円未満」(14.9%)、「30万円~50万円未満」(4.5%)、「50万円~100万円未満」(4.1%)、「100万円以上」(0.9%)と、10万円以上と回答した店舗も合わせて24.3%あり、停電による食材廃棄が店舗の直接的な経済損失につながる可能性がうかがえる。

避難の役割分担まで決めているのは31.5%、訓練まで行っているのは9.5%

営業中に大きな地震が発生した場合の、お客さまや従業員の避難について準備しているかを尋ねた。「避難経路や誘導の役割分担を決め、訓練も行っている」は9.5%、「避難経路や誘導の役割分担は決めているが、訓練は行っていない」は22.1%で、役割分担まで決めている店舗は、合わせて31.5%となった。「避難経路は把握しているが、役割分担までは決めていない」は27.9%、「その場で判断することになると思う」は36.9%、「特に考えたことがない」は3.6%となった。

備えが進まない理由は「日々の営業で手一杯」39.2%が最多。今年7月の地震後も、見直しに動いた店舗は7.7%

災害への備えが進まない理由を聞くと、「日々の営業で手一杯で、時間が取れない」が39.2%で最多となった。次いで「賃貸物件のため、建物や設備に手を加えられない」(34.2%)、「優先順位が上がらず、後回しになっている」(32.4%)、「備蓄などを保管するスペースがない」(30.6%)、「何から手をつければよいかわからない」(24.3%)、「費用の負担が大きい」(22.1%)、「人手が足りない」(18.0%)が挙がった。「自店の地域では災害が起きる可能性が低いと感じている」は12.2%、「特に障壁はなく、十分に備えられている」は5.4%となった。

時間や人手といった日々の運営上の制約に加え、賃貸物件であることや保管スペースの不足など、店舗単独では解決しにくい要因も上位に並んでいる。

また、2026年7月28日、熊本県熊本地方で最大震度7を観測する地震が発生した。これを受けて自店の災害への備えについて変更したことがあるかを尋ねたところ、「すでに見直し・追加の対策を行った」が4.5%、「見直しに着手している」が3.2%で、行動に移した店舗は合わせて7.7%となった。「見直す必要を感じているが、まだ行動できていない」が34.7%、「特に変化はない」が57.7%となっている。

最後に、災害への備えについて工夫していることや課題に感じていることを自由に聞いたところ、さまざまな声が寄せられた。

<備えを進めている店舗の工夫>

・災害時、ガスが使えるようにプロパンガスを選択し、使用している。太陽光による発電&発電機の準備、ミネラルウォーター、米は必要数+αストックする様にして、近隣の方への炊き出しができるように意識している(静岡県/フランス料理/1店舗)

・食料や飲料水、防災用品のローリングストックを実施しています。また、避難経路や非常用の連絡手段についても事前に確認を行っています。一方で、備蓄品の保管場所の確保や、使用期限・賞味期限の管理を継続的に行う点に課題を感じています(東京都/カフェ/4~5店舗)

・消防計画で避難経路、役割分担、安否確認方法、備蓄方針を定めています。課題は、計画の定期的な更新、訓練時間の確保、非常用電源や備蓄設備の費用負担です(東京都/焼肉/2~3店舗)

<何から手をつければよいかわからない>

・ガイドラインが何もないので、どこから手をつけていいのか分からない(新潟県/専門料理/1店舗)

・2年前大きい地震があったので恐怖はあるが、対策しようにも何をどうすればいいかわからず、費用かかることもできず結局何もできていません(石川県/居酒屋・ダイニングバー/2~3店舗)

<建物・立地の制約>

・避難経路の確保がしずらい。ビルのオーナーの協力が得られない(東京都/居酒屋・ダイニングバー/2~3店舗)

・出口が1つだけなので、どう避難経路を確保するかが課題(東京都/イタリア料理/1店舗)

・日本酒バーで「瓶」が多いため、ショーケースが開いたり倒れてきたりした時に、破損してガラス片が散る可能性がある(東京都/バー/1店舗)

<災害後の営業継続への不安>

・災害自体の備えはできたとしても、災害後の営業がどのように対処出来るのかが未知数なので不安(東京都/バー/1店舗)

・災害への対処は規模や被害状況に応じて変化するため、何をどう準備しておくべきか分からない。スタッフへは万一、勤務中に何か大きな災害にあった場合はとにかく自分自身やお客様の命を最優先に避難してくれたら、店のことはどうでもいいとだけ伝えてあります(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2~3店舗)

・課題としては、日常の中で、防災について具体的に対処することを忘れがちであり、最低限のマニュアルさえ文書化出来ていないこと(東京都/カフェ/1店舗)

また、行政や業界団体に期待する支援についても意見が寄せられました。

<行政・業界団体に期待する支援>

・地域や業界に即した具体的・実践的な防災マニュアルやガイドラインの提供を期待します。また、企業や個人で準備すべき備蓄品リストの提示や、防災資機材の購入に関する補助金・助成制度などの支援があると助かります(東京都/カフェ/4~5店舗)

・災害による営業再開が2週間以上となれば、おそらく資金繰りがショートする可能性が高いです。国の支援策として、雇用、家賃、売り上げベースの協力金、公庫銀行の融資制度があると安心です(埼玉県/その他/6~10店舗)

・店舗ごとでなく、従業員や避難のお客様も含め、会費でも良いから地域での備蓄対策や協力体制をやれると良い。各々に行動を任せるよりも、町場の店舗は地域で協力し合うことが不安の解消や正しい判断に繋がると思う(東京都/洋食/11店舗以上)

・食材の支援をいただけると炊き出しを行うことができる。それが復興後、店に来店するキッカケにもなると思う(静岡県/フランス料理/1店舗)

※飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ

<調査概要>
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:222
調査期間:2026年8月20日~2026年8月23日
調査方法:インターネット調査

出典元:飲食店リサーチ

構成/こじへい

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Author
1986年、神奈川県生まれ。ライター歴は15年目で、現在は主にPR、芸能、YouTube関連の記事を執筆しています。

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