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なぜ、あなたの会社は選ばれないのか?動画ファースト時代に企業が持つべき〝唯一の武器〟

2026.09.04

いま企業がユーザーから選ばれるには、商品やサービスの品質の良さだけではダメです。もちろん、良い商品をつくることは大前提なんですが、似たような品質、価格、機能の商品が市場にあふれていて、消費者や取引先は正直その違いがわかりません。そんな中で選ぶ基準の1つになっているのが、「その会社を知っているかどうか」です。

例えば、ドラッグストアの棚に、成分も価格も容量も同じシャンプーが2つ並んでいたとします。一方は知っている会社の商品で、もう一方は聞いたことのない会社の商品。多くの人は、知っている会社の商品を手に取ります。「知っている」というだけで安心という価値がプラスされるんです。僕は、この「安心」こそが、ビジネスにおける信頼の正体だと考えています。いまの時代は品質の差だけではなく、「認知の差」が企業の明暗を分ける時代になっています。

「何を買うか」より「誰から買うか」の時代

かつては、良い商品をつくって、広告を出して、営業力を強化すれば売上を伸ばしやすい時代でした。いまもそれらが大事なことに変わりはありません。ただ、動画プラットフォームが普及し、経営者や社員個人の発信まで簡単に見られるようになったことで、商品だけではなく、「誰がつくっているのか」「どんな考えを持った会社なのか」まで見られるようになりました。

「何を買うかより、誰から買うか」という言葉があります。社長の顔や考え方が知られていれば、営業先でも「ああ、あの会社ですね」と言ってもらいやすくなり、採用や紹介にも良い影響が出ます。

だから僕は、社長ブランディングとは、単に社長が有名になることではないと考えています。社長自身が発信することで、営業や採用、広報、紹介が回りやすくなり、売上が生まれやすい環境をつくる。それが、僕の考える社長ブランディングです。会社が無名である背景には、社長自身が知られていないという問題もあります。社長の存在や考え方が見えなければ、会社や商品も認知されない。いまは動画を通じて、自分の言葉で理念や人柄を直接伝えられる時代です。それなのに何も発信をしないのは、ホームランを打ちたいと言いながら、バッターボックスに立たないのと同じようなもの。

人は広告ではなく「準知人」の言葉を信じる

企業はどうしても、自社の商品やサービスを格好よく見せたくなります。でも、動画を見ている人の多くは、画面の前で集中しているわけではありません。仕事終わりや移動中、ベッドで寝転びながら、何となく画面を眺めています。つまり、視聴者は一本一本の動画をじっくり選ぶのではなく、反射的に画面をスクロールしています。そこで少しでも「広告っぽい」と感じたらすぐに飛ばされてしまう。そんな状況の中で見続けてもらうには、「見る理由」が必要です。

とは言っても、派手な演出や無理に笑いを取りにいく必要はありません。狙いたいターゲットが何に興味を持ち、どんな情報なら自然に受け入れてもらえるのかを研究し、その感覚に合わせて発信することが大切です。そして、動画の大きな強みは、視聴者との間に「準知人」という関係をつくれることにあります。準知人とは、友達ではないけれどまったく知らない人でもない。会ったことはないけれど名前や顔を知っていて、何となく考え方や人柄も分かっている存在。

知らない人から「この商品は良いですよ」と言われても簡単には信じられないけれど、普段から動画を見ていて、人柄を知っている人に勧められれば、「少し試してみようかな」と思います。動画は、企業自身が発信しながら口コミに近い関係性をつくれるメディアだと言えます。

「バズる動画」と「売る動画」を一つにしない

企業が動画を始めるとき、最初にはっきりさせてほしいのが、「誰のために、何を伝える動画なのか」ということです。認知を広げたいのか、商品を売りたいのか、採用につなげたいのか。目的によって、つくるべき動画は変わります。僕たちは、動画を「ハブコンテンツ」と「コアコンテンツ」の2つに分けて考えています。ハブコンテンツは、まだ会社や商品を知らない人に見つけてもらうための動画。一方のコアコンテンツは、商品やサービス、企業の考え方を詳しく伝え、問い合わせや購入につなげる動画です。

最初から自社の商品説明ばかり投稿すると、宣伝色が強くなり、見てもらえません。まずは視聴者が見たいものを届けて、自分たちのことを知ってもらう。そのうえで、会社や商品の情報につなげていくことが重要です。

また、「動画を出すならバズらせなければ意味がない」と考えている企業も少なくありません。でもそれは大きな誤解です。フォロワーが100人、再生回数が300回程度でも、そこから問い合わせが来ることはあります。重要なのは、何十万回再生されたかではなく、必要な人に届いたかどうかです。

一番もったいないのは、会社名や社長名を検索されたときに、何も情報が出てこないこと。いまはSNSの中で検索する人も増えています。そこで情報が見つからなければ、わざわざ公式サイトまで来てくれるとは限りません。昔の企業がチラシを配っていたように、いまの企業は動画を配る必要があります。手段が変わっただけで、「まず知ってもらう」という本質は変わっていません。

動画活用で最も大切なのは「やめないこと」

これから動画を始める企業は、最初からオリジナリティのある企画をつくる必要はありません。まずは自分が面白いと思う動画や、「これなら自社でもできそうだ」と感じる動画を探し、その型を参考にしてみることです。例えば、採用が目的であれば、自分たちが面白いと感じる動画をつくることで、似た感性を持った人が集まりやすくなります。

ただし、自社が取り組みやすいジャンルを決め、その中で伸びている動画を研究することは必要です。それを自分たちなりの見せ方に変えていかなければ成果にはつながりません。そしてもう一つ大事なのは、動画を始めたからといって、すぐに結果が出るとは限らないということです。むしろ、多くの企業が成果の兆しが見え始める前に、発信をやめてしまいます。動画運用は、ゴールの見えないマラソンにも似ています。再生数が伸びず、問い合わせも増えない時期が続けば、「このまま続けて意味があるのか」と不安になるのも当然です。

しかし、いま動画で成果を上げている人や企業も、そうした停滞期を乗り越えてきました。周囲が次々と発信をやめていくなかで、継続すること自体が差別化になり、少しずつ存在感を高めていきます。だからこそ、動画活用における最大の鉄則は、「成果が見えるまで、諦めずに続けること」。

知られなければ、存在しないのと同じです。どれだけ良い商品やサービスを持っていても、知られていなければ選んでもらえません。まずは知ってもらうための努力が必要です。何度も目にしてもらい、考え方や人柄を知ってもらい、「この会社なら安心できそうだ」と感じてもらう。その積み重ねによって、ユーザーから選ばれるようになるんです。

企業が持つべき唯一の武器は、派手な映像でも、莫大な広告予算でもありません。自分たちの存在を伝え続けて、知ってもらう力。それが、これからの時代に企業が持つべき重要な武器なのです。

文/竹内亢一
たけうち・こういち。株式会社Suneight 代表取締役。「マーケティングは統計学だ!!」を信念に、創業以来蓄積した膨大な動画データを軸に、独自の方程式で動画マーケティングを展開。多くの企業の売上拡大や成長を支援している。現在は「令和の虎」にも出演中。関わったチャンネルで金の盾3枚、銀の盾29枚獲得し、国内有数の実績を持つ。著書に『知名度の上げ方 1年で10,000人のファンをつくる法則』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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