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「外国人お断り」の張り紙は有効?法的な問題について弁護士に聞いてみた

2026.10.08

外国人に対して「マナーが悪い」「迷惑をかける」などのイメージを持っているために、外国人との契約を断りたいと考えている事業者がいるようです。

街中でも「外国人お断り」といった張り紙を出している店舗を見たことがあるかもしれません。

特に最近では「お客さん(取引先)は自由に選べるはず」という考え方が広まっているように思いますが、この考え方が法的に100%正しいとはいえません。

国籍だけを理由に不当な差別をすると、違法となることもあり得るので注意が必要です。

1. 「外国人だから」というだけで契約締結を断れる?

「契約自由の原則」により、何人も原則として、契約を締結する相手を自由に選ぶことができます。ただし、相手の国籍だけを理由に契約の締結を拒否すると、不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性があるので注意を要します。

1-1. 契約自由の原則とは

「契約自由の原則」とは、契約を締結するかどうかや、誰とどのような内容の契約を締結するかを自由に決めることができるという原則です(民法521条)。

契約自由の原則により、契約を申し込んできた相手と実際に契約を締結するかどうかは、申込みを受けた人の判断に委ねられます。

ただし、これはあくまでも「原則」であって、次に解説するように例外もあるので注意してください。

1-2. 国籍を理由とする差別は「不法行為」に当たる可能性がある

日本国憲法14条1項では「法の下の平等」が定められています。

国民は不当な差別を受けない旨を定める規定ですが、性質上日本国民に限定される事柄(参政権など)を除き、外国人にも法の下の平等が保障されると解されています。

「外国人だから」というだけの理由で契約の締結を断ることは、法の下の平等の趣旨に反するものとして不法行為(民法709条)に当たる可能性があります。この場合、断った側は相手の外国人に対し、慰謝料などの損害賠償を支払わなければなりません。

したがって、たとえば「外国人お断り」という張り紙を掲出するなど、一律で外国人を排除しようとすることには法的にリスクがあると考えられます。

1-3. どのような理由なら外国人との契約を断れる?

契約自由の原則があるため、不当な差別に当たらない合理的な理由があるなら、外国人との契約を断っても構いません。

飲食店を例に挙げると、「満席だから」「営業時間外だから」「店のルールを守らなかったから」などは、客の入店を断る理由として合理的といえます。

外国人に限らず、日本人が相手でもこのような理由で入店を断るケースはあるでしょう。

上記の例のように「国籍を問わず(外国人でも日本人でも)契約を断るべき」といえるケースかどうかを基準にするのがよいと考えられます。

2. 「日本語で意思疎通ができる方のみ」はOK?

一部の飲食店などでは、来店できる客を「日本語で意思疎通ができる人」に限っている例が見られます。

スタッフが日本語しか話せず、日本語で意思疎通ができない人には満足にサービスを提供できないから、入店を断らざるを得ないという建前です。

このような取扱いが認められるかどうかは、店舗で提供されているサービスの内容によって判断が分かれると思われます。

日本語による意思疎通がサービスの提供に必要不可欠であれば、それができない人の入店を断ることは合理的と考えられます。

たとえば、安全上の細かいルールや注意点を詳しく説明すべきサービスや、オーダーメイドで客の希望を詳しく聞き取る必要があるサービスなどについては、利用客を「日本語で意思疎通ができる人」に限ることも認められやすいでしょう。

これに対して一般的な飲食店では、日本語による細かい意思疎通ができなかったとしても、通常のサービスを提供することはできるケースが多いと思われます。

たとえば、メニューの記載や写真を指差して注文する、片言や身振りで簡単な意思疎通をするといった方法が考えられます。

このような代替手段があるにもかかわらず、「日本語で意思疎通ができる人」に客を限定すると、実質的に外国人を排除する不当な差別と判断されるおそれがあります。

各事業者には、提供するサービスの内容に鑑みて、外国人を不当に排除することになっていないかを具体的に検討することが求められます。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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