8月15日と16日、世界最大規模の同人誌即売会『コミックマーケット』、通称コミケが東京ビッグサイトで開催された。
約26万人が来場したこの2日間、日本で最も忙しかったカフェは、会場そばのカフェ・ベローチェ有明店だろう。
通常時と比較して約25倍を記録、その時スタッフたちはどう対応したのか?
昨年の夏コミでは通常時の約20倍の売上を記録したそうだが、今夏はコミックマーケット史上最高の売上となり、通常時と比較して約25倍に。
この日ばかりは、全国から優秀なスタッフ総勢60名が集結。初日早朝1時間で270人の客を相手に平均約15秒で会計から商品提供まで完遂させたという。
高速で完璧なオペレーションはいかにして実現したのか?なぜそこまでできるのか?
今回、 有明店の総指揮官を務めた島田さんに、コミケ当日に向けた準備段階のエピソードから、当日のアクシデント、史上最高売上に導いた戦略まで伺った。
――まず驚いたのはコミケのために集められた60人のスタッフ。どのようにして選ばれたのでしょうか?
「コミケ期間中は通常営業以上のスピードと正確性、そして多くのお客様が集中する状況でも周囲と連携して動ける力が求められます。そのため、各店舗で日頃から高い接客スキルやオペレーション能力を発揮し、繁忙時にも冷静かつ柔軟に対応できるスタッフが集められました」
「人選については、これまでコミックマーケットを経験している常連のスタッフ、スーパーバイザーからの推薦のほか、自ら「コミケに参加したい」と立候補してくれるスタッフもいます」
――当初は40人の予定だったとか?
「はい。40名程度を想定していましたが、実際の運営を想定して役割やポジションを細かく整理していく中で、「ここにも人員が必要だ」と見えてくる部分があり、よりスムーズな運営体制を整えるため、最終的に60名体制となりました」
そんな、万全の体制で迎えたコミケ当日。いかなるオペレーションで2日間を乗り切ったのか、改めて振り返りたい。
午前7時オープンの有明店だが、すでにオープン前から店前には長蛇の列が。
10分前倒しでオープンすると、わずか30分後には155席が満席となった。
来客の勢いは止まらない。
オープンから1時間で約270人が来店。これは同時間帯の過去最高。人気メニューのカレーも100食以上を販売し、前年同時間帯の約2倍を記録。何もかもが史上最高の忙しさから始まった。
しかし、60人の精鋭スタッフは恐れることなく接客やドリンク・フードの提供、レジ、商品の補充、店内外の誘導など、それぞれの役割を淡々とこなしていく。
完璧で無駄のない高速オペレーションは今年も健在。それを実現する接客の極意、それは、
「一番大切なのは、「次に何が起こるかを予測して動くこと」です。コミケでは一気にお客様が集中するため、商品の在庫や注文状況、店内外のお客様の動きなどをスタッフ同士で共有し、先回りして準備することを大切なんです」
「一人ひとりが速く動くだけではなく、次の動きを予測しながらチーム全体で連携することで、流れを止めない高速オペレーションにつながっています」
そして今年は初の試みも。それは「司令塔」の導入。これが大きな変化と進化を生んだ。
「昨年は営業をスタートして数時間経つと、休憩を回したり、ポジションを入れ替えたりする中で、「今、誰がどこにいるのか」が分かりにくくなることがありました」
「そこで今年は、あらかじめポジションごとのシフトを作成して全員に共有し、それぞれの部門に「司令塔」を置く体制にしました。司令塔が各ポジションの状況を把握し、人員の配置や交代などを判断することで、現場全体を見ながら、よりスムーズにスタッフを動かせるようになりました。結果として状況の変化にも対応しやすくなり、チーム全体の連携がより強化されたと感じています」
結果、過去最高の売上額を記録し、怒涛の2日間を無事に駆け抜けたのだが、今年は思いもよらないアクシデントに見舞われたという。
カフェ・ベローチェが愛される理由
コミケ当日に日本最高峰の高速オペレーションを繰り出したカフェ・ベローチェ有明店。
丁寧かつ高速な接客を実現できたのは、優秀なスタッフと司令塔の役割だけではない。根底にあるのは細部にわたる接客の基本。
カフェ・ベローチェでは、通常営業でもドリンクを作る際のマグカップの持ち方や客に提供する向きが決まっているという。
また、カップは左手で引き出しを引いて取り出し、右手でマグカップを取ってドリンクを作るなど、きめ細かいマニュアルが存在する。
「カフェ・ベローチェでは、「速さ」と「丁寧さ」を両立することを大切にしています。お客様をお待たせしないことはもちろんですが、単に速く商品を提供するだけではなく、笑顔や挨拶、正確な商品提供など、一つひとつの接客を丁寧に行うことを心掛けています。忙しい時間帯でも、お客様に「気持ちよく利用できた」と感じていただけるサービスを目指しています」
当然、コミケ当日も基本のオペレーションは変わらない。通常営業と同じように、笑顔で丁寧な仕事をひたすら心がける。いつもと変わらぬ当たり前の接客を遂行したことで、大混雑の2日間を制したのだ。
しかし今年は、こんな想定外の事態も。
「今回は、1日目から予想を上回る多くのお客様にご来店いただき、事前に昨年よりも多くの商品や食材を発注・準備していたものの、氷や食材が不足する事態となりました」
「そこで、コミケの運営スタッフだけではなく、当日は別のエリアにいた統括マネージャーやスーパーバイザーにも協力いただき、必要な食材を集めることができました。現場にいるスタッフだけでなく、離れた場所にいるメンバーも含めて、一つの目標に向かって動くことができ、皆で成し遂げたことを実感した出来事でした」
「また、雨の中で行っていた外売り販売では、途中でテントが1台壊れてしまい、お客様にご迷惑をおかけする場面もありました。一時は外売りを中断することも考えましたが、雨の状況や残ったテントでの販売方法、在庫管理などについて、その場にいるスタッフがアイデアを出し合い、最善の方法を考えました」
「結果として、販売規模を縮小する形で営業を継続することができました。想定外のことが起きても、現場で状況を判断し、スタッフ同士で知恵を出し合いながら乗り越えられたことが、印象に残っています」
今年初導入の「司令塔」効果もあり、史上最高の売り上げをたたき出したカフェ・ベローチェ有明店。
コミケ同様、今年も大盛況で幕を閉じたわけだが、カフェ・ベローチェが毎年話題になり、多くの人に愛されている理由をどう分析しているのか?
「気軽に立ち寄れる身近さとスピーディーで丁寧なサービス、そして手頃な価格がベローチェの魅力だと考えています。仕事の合間の休憩や待ち合わせ、ちょっとしたひと息など、日常のさまざまなシーンで利用していただけることが、長く愛していただいている理由の一つだと思います」
今後、カフェ・ベローチェが成長していくために挑戦したいこと、展望を聞いた。
「これまで大切にしてきた「迅速で、丁寧に、気軽に利用できるカフェ」という価値をさらに磨いていきたいと考えています」
「その一方で、時代やお客様のニーズに合わせて、商品やサービス、店舗での過ごし方など、新しい価値も積極的に提案していきたいです。コミックマーケットのような特殊な環境でも高いサービスを実現できるのは、日頃から培ってきたスタッフの力があってこそ。今後もスタッフの成長とチーム力を高めながら、より多くのお客様に「また来たい」と思っていただける、街の財産となるお店づくりに引き続き挑戦していきます」
カフェ・ベローチェ公式X @PR_VELOCE
カフェ・ベローチェ公式サイト
文/太田ポーシャ




DIME MAGAZINE















