約10年前、知人のお子さん(当時小学校4年生の女の子)が脱毛サロンに通っていると聞いて驚いた記憶がある。
まさか小学生が?と思ったがすでにその頃から当たり前だったらしい。
子供は一体いつ頃から体毛を気にするのか?
「弊社の調査では、10~15歳の76.7%がカミソリで体毛処理をしており、そのうち22.4%が親の物をこっそり使っているという実態がありました」
「なでるようにそる」というコンセプトの子供向けカミソリ
そう話してくれたのはグローバル刃物メーカー「貝印株式会社」のマーケティング本部第一ブランド・商品戦略部の宮原さん。
小学校中学年から子供は体毛を気にし始めるという。しかしそんな時に、親のカミソリをこっそり使われたら危険でしかない。
そんな不安を解消してくれるアイテムこそ、今大ヒットしている貝印の新感覚カミソリ「なでそり™」だ。
「なでるようにそる」というコンセプトの子供向けカミソリは今年5月の発売以来、販売計画の約3倍で推移し、売れ行き好調だという。
小中学生の為に生まれたカミソリの人気の秘密や開発秘話について、宮原さんに話を伺った。
――「なでそり™」開発の経緯から教えてください
「カミソリのファーストユーザー獲得という潜在的な課題がある中、約4年前に実施した社内の「アイデアコンペ」がきっかけです。営業出身者中心のチームからの「感覚的にそれるボディ用カミソリ」という提案と、マーケティング部門からの「幼少期から貝印ブランドを浸透させるための子供向けカミソリ」という2つのアイデアが合わさり、「なでるようにそる子供向けカミソリ」の開発がスタートしました」
「親御様からも、怪我や利き手以外での操作を心配する声があったこと、さらに小学4年生頃から毛を気にし始めるものの、自分用にカミソリを購入するのは高校生からが多いというデータが得られたことも、子供が安全に使えるカミソリの必要性を裏付けました」
そんな経緯で誕生した「なでそり™」はほんとに凄い。従来のカミソリにはないこだわりに溢れている。
「一番こだわったのは『360度動かし、感覚的に毛をそることができること』、『子供が使用しても安心できるカミソリであること』です」
そのこだわりを表しているポイントの一つが、従来のT字形やL字形とは一線を画す丸型デザイン。
「基本的には、うで・あし用カミソリなのですが、形を手のひらサイズの丸型にすることで、お風呂で体を洗うように直感的に使えるデザインにしました」
ではなぜ、なでるように剃れるのか?その理由は「刃の配置」にある。
「刃については、当初3角形を考えましたが鋭角すぎて上手く剃れず、6角形にするとコストアップにつながるため、あらゆる方向に滑らせることができる「5角形」に行き着きました」
ちなみに、正多角形の各辺に沿って刃が向かい合うこの配置は、世界初の構造として特許を取得。櫛状のパーツと本体の樹脂を合わせた「2つの樹脂ガード」により刃を浮かせ、直接肌に触れにくく設計されている。
そしてもう一つ、大きな特長が体を濡らさなくても剃れる点だ。
「子供が簡単に、準備不要で場所を問わず使用できるよう、「ドライシェービング用(乾いた肌用)」にこだわりました。これにより、浴室外でも親が見守りやすい環境で安全に使用できます」
親子のリアルなすれ違いを解消するアイテムへ
安全で使いやすい子供向けカミソリ「なでそり™」。当然メインターゲットは子供なのだが、意外な層からの反響もあるとか。
「思っていた以上に成人した方(男女問わず)からもご支持頂けています。子供の体毛の太さや長さは大人とほぼ同じであるため、カミソリ負けが気になる大人の方にも本格的な切れ味を発揮する優れモノとしてご評価いただいており、今後は成人の使用への拡大も描いております」
ということは、子供用カミソリを30~50代男性が使ってもいいということ?
「もちろん、男性の方をはじめ、大人の方にもご使用いただけます。大人の体毛にも対応できる本格的な切れ味を持っていますが、商品名の通り、肌に強く押し当てず『なでるように』やさしくお使いいただくのがポイントです。また、シェービングフォームは不要ですので、毛は濡らさずに乾いた状態でご使用いただけます
子供をターゲットにしながらも、幅広い層に支持されたことで売れ行きも好調。ヒットの要因をどう分析しているのか?
「今まで世の中にない新しい形状のカミソリであることに加え、「子供が親の物をこっそり使っており、親はそれに気づきつつも、いじめなどを懸念して黙認している」という、リアルな親子のすれ違い・葛藤を解決する商品だったことが大きいと考えています」
「というのも開発前に親子調査を行ったのですが、親と子をあえて別室に分けて話を伺ったことで「男子が体育の前日に処理している」「親は知っているが話題にしない」といった深いインサイト(本音)を抽出できたんです。それが、商品の精度を高めたと自負しております」
「自分が子供の頃は体毛を剃ることなどなかった親世代に対し、「子供が体毛を気にしているかもしれない」という気づきを与え、親子で話し合うきっかけになった点が支持を集めた理由だと考えております」
そんな老舗刃物メーカー「貝印」は、使い捨てカミソリ、爪切りの分野で国内シェアNo.1を誇る日本刃物界のトップランナー。
しかし実は、売上の約50%が海外売上で日本に留まらず世界を舞台に活躍している。
海外での躍進の要因はどこにあるのか?
「各国の法規・法令を順守、国ごとに適応していることをバックボーンとし、営業が自信をもって商品を提案・販売できる地盤が構築されていることが大きい要因だと考えます」
「当社は1908年に刃物の町・岐阜県関市で創業して以来、刃物づくりにおける品質と安全の根幹を決して妥協せず守り抜いてきました。身だしなみ用品を通じたこの長年の信頼に応え続ける開発哲学が、国内外問わず躍進の基盤になっていると考えております」
グローバル刃物メーカーとして今後も成長するために必要なこと、今後の展望を聞いた。
「お客様のニーズをきちんと把握していくこと。小さな悩みや人に言いづらい悩みこそ、解決すべき課題とチャンスがあると把握しています。メーカーとして消費者の皆様が幸せになれるような商品をこれからもお届けしたいと思います」
貝印「なでそり™」公式サイト
貝印 公式X @kai_corporation
文/太田ポーシャ




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