Trip.comはこのほど、同社の法人向け出張管理サービス「Trip.Biz」を通じて蓄積したグローバルのビジネストラベルデータと、日本企業の出張に関する意思決定者187名を含むグローバル調査の結果を発表した。本調査では、世界のビジネストラベルの最新トレンドに加え、日本企業の回答から見える出張管理の課題や特徴を分析している。
世界では「仕事だけの旅」から「仕事+レジャー」へ
Trip.Bizのグローバルデータによると、出張が「仕事だけの旅」から、仕事と個人の時間を組み合わせる「ブレジャー」へと変化していることがわかった。
世界の企業出張における金曜日のチェックイン数は前年比26%増加した。また、出張直後に個人的な予定を追加した予約(0~1日)は前年比30%増加。さらに、出張後7日以内に個人旅行を予約するケースも25%増加した。
出張後7日以内に個人的な滞在を追加した旅行者は、平均3.4泊を追加しており、仕事を目的とした出張をきっかけに、現地での滞在期間を延長する傾向が見られる。
さらに、出張直後に滞在を延長する旅行者の60%は、出張時と同じホテルにそのまま滞在している。ホテルを移動することなく、仕事からレジャーへスムーズに切り替えられる利便性も、滞在延長を後押ししていると考えられる。
シンガポール、ソウル、ロンドンなどで企業出張が拡大
都市別に見ると、シンガポールは2026年の企業によるホテル予約数で世界1位となり、前年比30%増加した。ソウルでは平日のホテル宿泊予約が前年比67%増加したほか、金曜日のチェックインも54%増加。ロンドンでも平日のホテル宿泊予約が42%、金曜日のチェックインが37%増加した。
東南アジアでは主要な企業出張先として存在感を高めており、特にベトナムのバクニンでは、企業によるホテル予約数が前年比341%増加。7泊以上の滞在予約は818%、週末を含む予約は425%増加した。
これらのデータから、企業の海外展開や国境を越えたビジネス活動の拡大に伴い、出張先での滞在が長期化するとともに、仕事と個人の時間を組み合わせる旅行スタイルが広がっていることがうかがえる。
日本企業の出張量は「安定」。課題は出張管理の「質」へ
グローバル調査に参加した日本企業の出張意思決定者187名の回答を見ると、71.7%が2025年の出張量について「前年とほぼ同水準」と回答した。出張予算についても61.5%が「安定している」と回答しており、日本企業の出張需要は一定の安定局面にあることがわかった。
また、トラベルマネジメント会社とオンライン予約ツールを併用している企業は58.8%に達しており、多くの企業ですでに何らかの出張管理基盤が整備されている。
日本企業における課題は、単純に「出張が増えすぎて管理できない」ということではなく、一定の管理基盤が整う一方で、管理外予約、ポリシーの非遵守、請求差異、契約効果の未測定など、出張全体を横断して捉えきれていないことが課題となっている。
管理外予約の最大理由は「希望する航空券・ホテルが見つからない」
日本企業における管理外予約の理由として、54.5%が「希望する航空券・ホテルが見つからない」と回答した。一方、「価格が安いから」は12.7%、「インターフェースが使いにくい」は7.3%にとどまった。
この結果からは、管理外予約が単純なルール違反だけで発生しているのではなく、承認済みの予約チャネルでは必要な航空券・ホテルの選択肢を確保できないことが、管理外予約につながっている可能性が示される。制度そのものを整備するだけでなく、社員の利便性と企業の管理方針を両立させることが、今後の出張管理において重要になると考えられる。
契約効果を「測定できない」企業は16.0%。グローバル平均の3倍超
今回の調査で特に注目されるのが、航空券・ホテル契約の効果測定だ。
日本企業の16.0%が、交渉済みの航空券・ホテル契約による効果を「測定できない」と回答した。これはグローバル平均の5.1%を大きく上回る。
航空会社やホテルとの契約は、企業にとって重要なコスト削減施策の一つ。しかし、その効果を正確に測定できなければ、契約によってどの程度の成果が生まれたのかを検証することが難しくなる。
これは出張管理部門だけの問題ではなく、財務部門にとってもコスト削減効果を予算や実績に反映しにくくなり、調達部門にとっては契約条件の有効性を検証しにくくなる。さらに経営層にとっても、出張施策の投資対効果を説明しにくくなるなど、経営全体に関わる課題につながる。
出張全体の80%以上を可視化できている企業は、わずか10%
日本企業の出張管理において、もう一つ大きな課題となっているのが「出張全体の可視化」だ。
今回の分析では、航空券、ホテル、現地交通、変更・キャンセル、請求、精算などを含む出張全体の80%以上を管理できている企業は、わずか10%にとどまった。
実際、日本企業の65.8%で予約金額と請求金額の差異が発生しており、承認済みプラットフォーム外の予約に関する照合作業に月6時間以上を費やしている企業も45.5%に達した。
こうした業務は、表面的には「出張費」として現れにくいものの、確認、照合、修正などを担う社員の業務工数として企業に蓄積される。出張における「見えないコスト」は、交通費や宿泊費だけではない。
AI活用の前提にもなる「出張データの統制」
出張のあり方が変化する中で、企業側の管理対象も変えていく必要がある。
これまでの出張管理では、航空券やホテルの予約、経費精算など、個々の取引を正確に管理することが重視されてきた。しかし、出張が長期化し、仕事とレジャーの境界が曖昧になる中では、予約情報だけで出張全体を捉えることは難しくなっている。
さらに、AIを業務や経営判断に活用するうえでも、データが分断されていれば、十分な分析や判断につなげることができない。
Trip.comは、今回の分析結果を踏まえ、これからの出張管理に求められるのは、単なる予約のデジタル化ではなく、予約、変更、請求、精算、契約など、出張に関する情報を横断的に把握し、経営判断に活用できる状態までデータを統制することであると考えている。出張管理は、コスト管理、調達戦略、リスク管理、社員の安全管理、そしてAIを含むデータ活用を支える経営基盤として、その役割は今後さらに重要になると考えられる。
<調査概要>
調査対象: 世界の出張意思決定者1,700名(うち、日本企業の出張意思決定者187名)
調査テーマ: 企業におけるビジネストラベル・出張管理の実態
分析データ: Trip.Bizが蓄積するグローバルのビジネストラベルデータおよび日本企業を対象とした独自調査
出典元:Trip.com
構成/こじへい




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