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〝16時にワイン〟でなぜ成果が出るのか?北欧企業の社員が優秀な本当の理由

2026.08.24

ビジネスパーソンのみなさん、毎日の残業に追われて、働くことに疲れてしまっていませんか。日本では「長く働くこと=がんばっている」という空気感がいまだに残り勝ちですが、ヨーロッパや北欧では、途中のプロセスではなく「結果がどうだったか」しか上司も会社も見ていません。 そのため、「残業をしている=仕事ができない人」と見なされるのが当たり前なのです。夕方の16時にみんなでワインで乾杯する時間があるのですが、それに間に合わない人は、自分のスケジュール管理が下手な人というレッテルを貼られてしまいます。早く帰らなければいけないという、日本とは真逆のプレッシャーがあると言えますね。

日本の職場では、時間の長さに頼る働き方が当たり前になっていますが、これでは組織の成長を止める壁になってしまいます。本当ならもっと短い時間で高い成果を出せるはずの優秀な人が、古い働き方のせいで疲れて果ててしまっているかもしれないからです。 私はオンライン片付けの専門家として、働く環境とみんなのパフォーマンスの関係をずっと見てきました。その経験から、北欧のみなさんがやっている「心地いい空間がうむ生産性のヒミツ」と、日本の企業が明日から取り入れられる、成果を出すための仕組みについてお話しします。

長く働くほど偉いは間違いだった──北欧のあたりまえ

労働時間が短いのに、北欧の企業が高い成果を出せるいちばんの理由は、みんなが大切にしている価値観と環境にあります。 あるフィンランドの企業では、情熱、大きく考える、共に、シスという4つの基準で動いているそうです。特にこの「シス」は、日本でいう「我慢や忍耐」をもっと前向きにしたような考え方で、大変なときも静かに次の方向性を見つけて行動する力を指します。

日本人にも「みんなで」とか「耐え忍ぶ」という良さはありますが、ただ耐えるだけで、その先のクリエイティブな発想や情熱が足りていないことが多いのです。 また、北欧の手厚い社会保障も良い影響を与えています。将来の安心があるからこそ、未来の不安をなくすために必死でお金を稼ぐ必要がありません。自分が本当にやりたい仕事をしているという、お金ではないモチベーションが生まれているのです。失敗を恐れなくていい文化があるので、完璧に仕上げなきゃいけないというプレッシャーが少なく、決断が遅れることもありません。

さらに、フィンランドは人口が約560万人と小規模で、短い時間と少ない人数で国を大きくするために、自然と効率よくやるしかなかったという環境もありました。大きな会社がスマホの波に乗り遅れて売上を落としたときも、国と民間が一緒になって、新しいビジネスの立ち上げへ素早く切り替えた歴史があります。

なぜリラックスできる空間が集中力を高めるのか

北欧の人たちは、環境が成果を生み出すということを当たり前に知っています。長く暗い冬を乗り切るために、どんな環境を作ったら心地いいかを考えて、家や職場を整えることをとても大切にしているのです。ここにも先ほどの「シス」の考え方が生きていて、片付いた環境やリラックスできる空間を職場でつくるのは、彼らにとって当たり前のことなのですね。

脳についての本でもよく書かれていますが、散らかったデスクは脳にとって雑音と同じで、考える力や集中力に悪い影響をあたえます。逆に、環境をすっきり片付けることで脳の余計な疲れが減り、落ち着いて仕事に入ることができるのです。

北欧のオフィスは、日本の整理収納によくある「ただ何もない部屋」ではありません。リラックスできる観葉植物が必ず置かれていて、無機質な事務机ではなく、脳が心地いいと感じるデザイン性の高い家具が選ばれています。1日のうち長い時間を過ごす職場の環境が良いと、働く人の満足感が自然と上がります。人生の充実感や会社への誇りも生まれて、結果的に会社を辞める人も少なくなると考えられます。

逆に、モノがあふれてゴチャゴチャしたオフィスでは、常にイライラしやすくなってしまいます。探し物をする無駄な時間とストレスのせいで、目の前の処理だけで精一杯になり、少し先の未来に向けた仕事ができなくなってしまうのです。いくらたくさんのお給料をもらっていても、素敵な空間で働いていないと、自分の仕事を単なる労働だと感じてしまい、クリエイティブに楽しく働いているという満足感が得られにくくなってしまいます。

成果を出す会社は片付けを自分ごとにするのが上手

では、北欧のような「環境を整えると仕事のクオリティが上がる」という価値観を、組織みんなで共有して、自分ごとにするにはどうすればいいのでしょうか。 まずは、会社から無理やり押し付けるのではなく、片付いたらどんないいことがあるかを分かってもらうことが大切です。片付けができると、効率が上がって早く家に帰れる、上司からの評価が上がる、仲間から仕事ができる人だと思ってもらえるなど、自分にとってお得なメリットがたくさんあることを教えていきます。

また、日本人は「人に迷惑をかけたくない」という気持ちが強いので、書類やモノの場所がはっきりしていれば、自分が急に病気で休んでも仲間に迷惑をかけずにすむよ、とお伝えするのもおすすめです。職場の美化が自分ごとになっている企業では、社員のみなさんの自己肯定感が上がっています。自分の心が満たされているので、困っている仲間を自然と助けようとする動きが出てくるんです。また、片付けを通して自分の気持ちや価値観を話し合うことになるので、より深いコミュニケーションが取れるようになり、チームワークもびっくりするほどスムーズになります。片付けができているということは、コミュニケーションがうまく取れている証拠だからです。

日本の企業が取り入れるべき3つのヒント

残業時間の多さやモノの多さに悩む日本の企業が、北欧のようにリラックスした空間から成果を出せるようになるために、明日から取り入れられる3つのヒントをご紹介します。

1. 残業時間を少しずつ減らしてみる 制限があるからこそ自由が生まれる、という言葉があります。仕事から離れて何もない時間を作ることで、よりクリエイティブなアイデアが生まれるんです。北欧の人たちが、いかに短い時間で成果を上げるかを考えられるのは、何時までに仕事を終えないとカッコ悪いという意識があるからです。 日本でも、たとえば「今まで夜10時まで残業していたけれど、今月からは9時半になったら鍵を閉めます」というようにしていくと、みんなの反発も少なく、少しずつ残業を減らしていくことができます。会社としても電気代の節約になりますからね。まずは残業を減らして、みんながのびのびアイデアを出せる時間を作りましょう。

2. 片付けの教育を取り入れる 片付けは家事だからわざわざ学ぶことじゃない、と思う人もいるかもしれません。でも、情報があふれている今の時代、ちゃんとしたスキルがないと片付けはできないのです。モノや書類だけでなく、パソコンの中身などのデジタルの片付けも必要です。そのため、研修などを受けて、なぜ片付けが職場に必要なのかをみんなで意識することが大切です。

北欧では片付いているのが当たり前ですが、日本ではお家でもできていないことが多いので、改めて教えてあげる必要があります。忙しい職場でも、事前にどこをいつまでにやるかを具体的に決めておけば、1回15分くらいの片付けから習慣にできます。これを続けると、脳が「片付けって気持ちいい」と感じるようになり、一度片付けば、あとは毎日10分でキープできるようになります。月末の大掛かりな整理や、年末の大掃除もいらなくなりますよ。

3. きれいな空間を体験してみる 体験に勝るものはありません。すてきなホテルや他のオフィス、デザインの良いコワーキングスペースなど、すっきり片付いた空間で過ごす体験をしてみましょう。本当は北欧の国へ行って体感するのが、いちばん影響が大きいですね。 整った空間を体験すると、目指すゴールのイメージがみんなで共有しやすくなります。誰かに指示されるのではなく、自分の記憶をもとにしたクリエイティブな片付けがスタートするのです。その上で、みんなで片付け会議を開いて、会社にどんな環境を作りたいかという目標を明確にし、具体的なやることリストを言葉にすることで、人は自然と動けるようになります。

これらのヒントを取り入れて、自然とみんなが動く仕組みを作ることができれば、日本の企業もガラリと変わることができます。北欧の働き方からヒントを得て、まずは目の前の環境を整えることから始めてみませんか?

文/伊藤かすみ
オンライン片付け専門家。株式会社FlowOrganize代表取締役。広島県福山市出身で、現在は東京と広島のデュアルライフを送る。住宅会社で20年間インテリアコーディネーターとして勤務した後、資格取得をきっかけに片付けの仕事をスタート。セミナーやサポートの受講者数は延べ1千名。メールマガジンの読者は2万4千人を超える。片付け事業の売り上げは年商2億円。 著書に『一生散らからない!飾るだけ片付け術 』『自然と家族が整理しはじめる、魔法の片付け しつもん術』(ぱる出版)がある。
公式ホームページ:FlowOrganize

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