睡眠の質を高めるテクノロジー「スリープテック」の進歩が著しい。
それまでは、スマートウォッチやリカバリーウェアが主体であったのが、アクティブに快眠をもたらすデバイスが続々と登場。国際的に見ても睡眠時間が足りていない日本人に、大きな福音をもたらすのではと期待されている。
今回はその1つ、韓国発のスリープケアデバイス「Sleepisol+(スリーピーソルプラス)」を取り上げよう。
韓国では高い評価を確立
本製品のメーカーは、ソウルに拠点を置くLEESOL Co., Ltd. スリープテック専門のスタートアップであるが、創業は2017年と既に10年の歴史がある。同社の製品は、「第2回 大韓民国ベンチャースタートアップ特許大賞」や「2025 CES 革新賞 Beauty & Personal Care部門」などを受賞しており、あちらでは確かな評価を勝ち得ている。
日本での知名度が低かったのは、本邦での販売がつい最近のことだからだ。本製品が、昨年のクラウドファンディングを経て、「日本市場で正式展開」したのは6月1日。現時点では、公式オンラインショップやQoo10(キューテン)などで販売されており、価格は29,700円
筆者のもとに、大きめの箱入りで現物が届いたときは、「準備や操作がいろいろ面倒なデバイスか?」と身構えたが、実際は非常にシンプルな構成だ。つまり、約30gの無線ヘッドセットに似た本体(バンドと呼ぶ)と、充電器を兼ねた黒いスタンド、USBケーブル、収納用のソフトケースだけである。
使用前に、本体を充電し、専用アプリ「Sleepisol C」をスマホにインストールし、本体とBluetoothでペアリングしておく。これで準備OKだ。
ニーズに応じて4つのモードから選ぶ
使用法もシンプルで、バンドのスイッチをオンにして頭部に装着し、アプリで4つのモードから1つを選ぶだけ。モードは、「睡眠」「集中」「ヒーリング」「ストレス」がある。モードに関して特に詳しい解説はなく、それぞれについて、
・就寝2時間前以内
・起床後2時間以内で、集中力が必要なとき
・心身の安定や休息が必要なとき
・ストレス緩和が必要なとき
と書かれている。
このうち、「睡眠」モードは、アプリと連動しなくても使えるとのことで、ひとまずこれから試してみる。先ほど「頭部に装着する」と書いたが、通常のヘッドセットと違い、こちらは湾曲面を額に、先端は耳の上にあてがう。2か所の突起は、両サイドのこめかみに当たるようにする。
装着時の異物感は少しあるが、締め付け感はほとんどない。かといって、ずり落ちる気配もなく、絶妙なバランスで設計したのであろうとわかる。推奨使用頻度・時間は「1日2回、各30分」だが、この時間枠ならストレスなく装着し続けられそうだ。
装着ほどなくして寝落ちしそうに
では、「睡眠」モードを開始。まったく音はしないし、皮膚感覚にも変化はないが、これが正常だという。
装着時に何が起きるのか、資料をよく読んでみる。それによれば、2つの突起はCES電極センサーとのこと。ここから、「人体に流れている生体電流とほぼ同じ微細電流」が流れるという。CESとは頭蓋電気刺激療法(Cranial Electrotherapy Stimulation)を意味し、微細電流の刺激によって「心身のリラックスや脳波を安定させるのに必要なホルモンなどの分泌を促す」効果があるそうだ。
装着後15分ほどしたら、心地よい睡魔に襲われた。自己暗示やプラシーボ的な作用も疑ったが、眠気は強まる一方なので、いったんバンドを外した。まだ15時で、寝るには早い。夜更けの就寝時に再度装着することにした。
21時を過ぎ、検証を再開。「睡眠中は装着しないことを推奨」、つまり装着したままの寝落ちは良くないということで、ふだんの入眠時間より早めに使用を開始した。横寝するとバンドが少し押し上げられてセンサーが浮くので、仰向けの寝姿勢を保つ……やはり、約15分で睡魔が襲ってくる。バンドを外して、あとは眠りに入るにまかせた。入眠まで10分くらいだったと思う。
ちなみに、臨床試験に基づくエビデンスが公開されている(下画像)。59人の重度の不眠に悩む人が、6週間の使用で著しい改善を見せている。筆者の不眠レベルはそこまでではないので、すぐ結果が出たと思うが、深刻な不眠であっても効果は期待できそうだ。
フロー状態に入りやすくなる
翌朝、モーニングルーティンを済ませてから、「集中」モードを試す。この場合、アプリ「Sleepisol C」の起動が必要となる。12種類の楽曲からどれか1曲を選ぶようになっており、適当に「05.mp3」を選んだ。滝から水が落ちるような音を背景にヒーリングミュージック風な音楽が流れてくる。このまま30分、装着し続ける。この日は特に、自覚するような変化は感じなかった。
その翌日から、「集中」モードをオンにする日、しない日を交互に繰り返す日々を送った。この時、比較的簡単な計算をたくさん解いて、集中力の程度を確認した。
1日目:25問正答
2日目:22問正答
3日目:26問正答
4日目:23問正答
5日目:31問正答
6日目:24問正答
奇数日がバンドを使用、偶数日が不使用である。使用した日は正答数が多く、装着していない日の正答数は少なめ。また、日数が経つにつれ、正答した絶対数が少し増えているが、これは本製品がもたらす効果なのだろうか? 確かなのは、装着してから10分以降のしばらくの時間、ゾーンに入った(フロー状態)感覚があったことだ。言うまでもなく、日によって心身のコンディションは異なるし、6日間は検証日数としては短いかもしれないが、前向きな印象を持った。
「ヒーリング」や「ストレス」モードについては、厳密にしようとすれば、脳波や体内コルチゾールを計測する機器が必要となるため検証は見送った。ただ、主観となるが、仕事中によくあるイライラ感の頻度は、いくぶん減ったようだ。いずれの場合も、「Sleepisol C」の音楽との相性が重要だと思う。当然と言うべきか、何回でも聞きたい音楽のほうが、やはり効果は自覚しやすい。また、ステレオイヤホンで聞いたほうが没入しやすいので、おすすめだ。
さて、使用し始めて1週間以上が経った今、もっぱら「睡眠」モードを続けているが、明らかな効果を体感している。毎年、夏の寝苦しさに悩んでいたのが、だいぶ解消したのだから。少なくとも、寝つきが悪いとか中途覚醒が多い人には、かなり有効なデバイスだと思う。価格はそれなりにするが、他の方法で睡眠の質が改善できていない人なら、購入する価値はあるだろう。
・株式会社LEESOL公式サイト:https://Sleepisol.jp
文/鈴木拓也
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