インバウンド需要に沸き、外国人客でにぎわう店舗が目立つ「すし店」。一方で、人件費や食材の高騰、令和の米不足などは、すし店の経営にどのような影響を及ぼしたのだろうか。
そこで帝国データバンクは、「すし店」の倒産発生状況について調査・分析を行ったので、詳細をお伝えしよう。
すし店の倒産が再び増加、上半期16件で前年比45.5%増、赤字率は過去最少も「職人不足」がネックに
2026年1-6月に発生した「すし店」の倒産は16件と判明した。前年同期(11件)を5件・45.5%上回って推移しており、年間では3年ぶりに前年から増加に転じる可能性がある。
インバウンド需要の拡大によって外国人客でにぎわう店舗が多い一方、すしネタの魚介類の価格上昇といったコストアップに加え、すし職人の不足、特に町の小規模なすし店では「唯一の職人」となる代表者の高齢化と跡継ぎ不在から、店舗を畳まざるを得ないケースもみられる。
すし店の倒産を規模別にみると、資本金100万円未満のごく小規模なすし店が43.8%を占めた。過去10年で見ても高い水準で推移しており、近年は手ごろな価格で提供する小規模な「街のすし店」の倒産が多く発生している。
すし店業界では、国内外の観光客による旺盛な需要を背景に、多少のコスト高であれば売り上げ増でカバーできる環境が続いた。
しかし、近年はすし店の経営を支えてきたインバウンドにも変化がみられ、「質の良いネタを出せば客は来る」状態から、高級志向のほか、マグロ解体ショーなど付加価値の高い体験を求めるコト消費嗜好へと変化している。
加えて、2025年は「令和のコメ不足」に伴う米価の急騰に加え、すしネタとなる鮮魚の仕入れ相場高騰、すし職人の採用難と賃上げによる人件費高騰が重なった。
すし店では目利きや仕込み、握りなど職人の暗黙知に依存しやすく、人材育成のハードルが高いほか、他業態や大手チェーン、海外などからの引き抜きに加え、独立による人材流出なども恒常的に発生している。
そのため、好条件を提示できないすし店では職人を採用できず、客単価が高い夜間での営業時間の短縮や定休日の増加を余儀なくされ、結果的に売り上げ減に直面したケースも。
また、小規模な街のすし店では、代表者が実質的に「唯一の職人」であるケースが多く、代表者の高齢化や後継者難が最終的なきっかけとなり、事業継続を断念したすし店も近年は多くみられる。
すし店の業績動向をみると、2025年度は「赤字」となった割合が18.8%にとどまり、過去20年で最も低い。
一方で、前年度から「減益」となった割合は33.9%に上り、2年ぶりに前年度から上昇した。同じ黒字経営でも、利益を伸ばしたすし店と、利益がじりじりと削られる経営を余儀なくされたすし店の格差もみられる。
「価格の安さとエンタメ性」では資本力に優る大手回転寿司チェーン、「非日常的な体験と高級感」では都市部の超高級店と、両極に挟まれた街のすし店にとって、2026年は「インバウンドに頼らずいかに顧客を引き付けるか」が問われる正念場の1年となりそうだ。
調査概要
集計期間:2000年1月1日~2026年6月30日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
構成/Ara




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