Apple、BOSE、SONYと、ノイズキャンセリングイヤフォンを購入するたびに、その試聴記事を@DIMEに書いてきた。最後は約3年前の、ソニー/WF-1000XM5だ。
ワイヤレスイヤホンをBOSE「QuietComfort EarbudsⅡ」からソニー「WF-1000XM5」に買い換えて気づいたこと
7月7日の東京の空は、七夕にしては珍しく晴れた。陽が高くなると猛暑という予報なので、通常は午後イチからの週イチ10kmジョギング、この日は朝8時に出発する。走り…
ソニー/WF-1000XM5を超えるモデルにはなかなか出会えず
それまではおよそ2年ごとに買い替えたので、ここ1年ほどは買い替えたくてうずうずしていた。ボーズ、アップル、そして前々から気になっていたテクニクスから新製品が登場し、ソニーからもこの2月、XM5の後継機XM6が発売された。それでも購入はじっと我慢してきた。
その理由はXM5を気に入っていること、それ以上に70歳を間近に控えた年金生活者が4万円前後のノイキャンイヤフォンを買い替えるのはいかがなものかという、年相応の分別の芽生えゆえだ(遅すぎる?)。
ところが5月にクラウドファンディングのサイトで、日本では無名のメーカーながら低音の良さを謳い、画像で見る限りデザインもよく、価格も2万円台前半という製品を見つけ、これなら年金生活者でも購入してよかろうと申し込んだ。約2か月後に製品が届き、ソニーと比較すると……。
外見は充電ケースもイヤフォンも洗練されていて、僕的にはソニーより上だ。しかしイヤフォンを手に取ると質感がイマイチ。車を手放して10年が経つので現状はわからないが、かつて常々感じていたドイツ車と日本車のドアを閉めた時の剛性感の違いのような差がある。とはいえ、価格差は約1万円(ソニーは約3万円強で購入)だ。まあ、しょうがないか。
肝心の音はどうか。自慢のはずの低音もソニーの方がいい。さらに購入して約3年が経つこの時に知ったのだが、ソニーにはイコライザーで低音を強調するBass Boostモードがある。これを使うといよいよソニーは低音が響く(厳密に書くと、前記の3年前の記事にあるように、ソニーは「ファインド・ユア・イコライザー」で低音を強調する設定にした。ところがこの機能はベータ版だったからか、いつの間にかイコライザーはoffモードになっていた)。
というわけで、一度試聴しただけのクラウド機を手放してしまった。約2万円で買って1回聴いて約1万円で売却。分別が芽生えた年金生活者、何をやっているのだろう?
ローリング・ストーンズとテクニクスのコラボモデルを発見!
だがこういうわけでソニーの低音は向上し、買い替えの必要は無くなった。壊れるまで使おう。めでたし、めでたし。
とは、いかない。7月のある日、なんとなくフェイスブックを見ていると、テクニクスのフラッグシップ、EAH-AZ100の広告に目を奪われる。ローリング・ストーンズの最新アルバム『Foreign Tongues』とのコラボモデルと打ち出され、あの舌のシンボルマークが充電ケースにプリントされているのだ。コラボ機の発売は7月10日だが、AZ100は確か昨年1月発売で登場時に購入を検討した記憶がある。それがなぜ今ストーンズとコラボなのかは、見当もつかない。されど1970年に坊主頭の中学2年生、斎藤少年がロックに目覚めた時から69歳の今日まで持ち続けるロック・スピリットが大いに刺激された。欲しい!
実は僕はストーンズの熱烈ファンではない。ツェッペリン熱烈度を10とすれば、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、イエス、クイーン、エアロスミスは7、ストーンズは5くらいだ。それでもミック・ジャガーのソロをはじめ、来日コンサートは全て見ているが。それはともかく、ストーンズは世界NO.1のロック・バンドと言っていい。いやビートルズだ、ツェッペリンだ(僕はこう思う)と異論はあっても、そういう意見を持つ人の存在は否定できないだろう。
そのストーンズとのコラボモデル。1年半前登場の製品とはいえ、では次期モデルでもコラボするかというと、まずあり得ない。もちろん他のメーカーでも同様のはず。ということは、一生モノのノイキャンイヤフォンを手に入れることになる。
となれば分別などなんのその、購入した。その価格が、ちょっと興味深い。パナソニックのオンラインストアでは税込送料無料で55000円。ヤフーショッピングにある「パナソニック プラス Yahoo!」店では同55504円ながら、1000円オフのクーポンが使え、3510ポイント付いて実質50994円と4000円ほど安い(7月19日購入)。同じパナソニックのオフィシャルながら、Yahoo店の方がお得となる。
コラボではないノーマルのAZ100は、原稿執筆時、パナソニックのオンラインストアでは同39600円ながらYahooショッピング最安店では実質29890円で1万円も違う。家電製品ではこういうことがままあるがそれはさておき、ノーマルとコラボの価格差は2万円を超える。AZ100そのものは全く同じ。コラボに付加されるものは、ストーンズ関連のビジュアルが描かれた外箱と充電ケースを収納するシリアルナンバー入りのラバーカバーだ。
全世界で限定5000台ということだが、その希少性は僕にはわからない。希少性よりも箱とカバーの所有にどれだけの満足感を得られるかが購入のポイントだろうが、そこまでのファンではない僕でこうなのだから、コアなファンなら絶対買うべしだ。
ではソニーと比べてみよう。イヤフォンを手にしての質感は、僕の好みではソニーで、しっかりした塊感があり触り心地もいい。テクニクスはプラスチッキーとは言い過ぎだろうが、なんとなくやわで頼りない。
さあ、比較試聴だ。どちらもイコライザーをかけないモードで聴く。サブスク音源はQobuz、再生機はiPhoneだ。まずはレッド・ツェッペリン。1969年のデビューアルバム『Ⅰ』から「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」。ソニーから聴く。全く問題なし。今はリビングでじっくり聴いているが、普段聴くのはほぼジョギング中だ。これで十分、低音もよく出ている。
ところが、テクニクスに驚かされる。ボリュームは同じなのに音圧が高い。音にキレがあり、低音は厚く太い。こんなに違うとは!! 5段階評価するとソニー3.5対テクニクス5で、テクニクス圧勝だ。
続いてはテクニクスがコラボするローリング・ストーンズの『Foreign Tongues』から「ラフ・アンド・ツイステッド」。ツェッペリンは60年代末の音だが、こちらは2026年の最新録音だ。今度はテクニクスから。流石にツェッペリンより音がいい。ツェッペリンもストーンズもシンプルな曲だけど、ストーンズの音は重層的で多彩、賑やかな音だ。録音から楽器まで、この57年間のテクノロジーの進歩を十二分に聴き取れる。一方のソニーは賑やかというより、曲頭から最後まで聴きやすい。ストーンズってこうだよね、という音。これを聴くとテクニクスは演出過剰ではと思えてくる。テクニクス4.5対ソニー5で、僅差ながらソニーの勝ち。
比較試聴のトリはユーミン。およそツェッペリンとストーンズの中間くらい、1993年夏発表の大ヒット「真夏の夜の夢」(2022mix)を聴こう。まずはソニー。楽しい。万華鏡を”聴いている”ようだ。もちろん音に不満はない。テクニクスは、よりクリアーでより万華鏡に奥行きがある。かといって、ストーンズのような過剰感はない。ソニーが4ならテクニクスは5かな。
録音が古い曲ほどテクニクスが優位という結果になった。僕のような原則60年代から70年代ロックしか聴かない人にはテクニクスが向く、と言うことか? ならば、買い替えは大正解となる。ここで改めて僕が書いた3年前の@DIMEの記事を読むと、記事終盤に“ソニーは今の音楽を聴くためのイヤフォンだと確信する”と書いている。今回の試聴結果と同じだ。ただしソニーは今年2月に最新モデルXM6を発表。こちらとテクニクスを比べるとどうなるかは不明だ。
ワイヤレスイヤホンをBOSE「QuietComfort EarbudsⅡ」からソニー「WF-1000XM5」に買い換えて気づいたこと
7月7日の東京の空は、七夕にしては珍しく晴れた。陽が高くなると猛暑という予報なので、通常は午後イチからの週イチ10kmジョギング、この日は朝8時に出発する。走り…
それにしてもグレード的には同クラスと言えるイヤフォンで、ここまで音の特徴に差が出るとはちょっと意外だ。イヤフォンはスピーカーと違って、店頭で聴き比べることはまず難しい。ましてや同じグレードのライバル機はボーズやアップルなど他にもある。音質で購入を判断する機器ではないのかもしれない。
またどのメーカーもノイズキャンセリング機能や操作性もセールス・ポイントとしている。購入の決め手とする人もいるだろう。だがノイキャンは今やどのモデルも優れていると思え、僕などではその優劣を語れない。操作性はタップによる便利な使い方がいろいろあるようだが、高齢者の僕はスマホ操作で精一杯、タップは使わない、いや使えない?
となると、何を根拠にノイキャンイヤフォンを選んだらいいのだろう? なんだか袋小路に入ってしまった。かくなる上は、テクニクス・ストーンズが僕の最後のノイキャンイヤフォンかつ最後のノイキャンイヤフォン記事となることを祈念しつつ、“キーから指を離す”(遠からず“ペンを置く”は死語になるのかな?)。
PS 万が一、ツェッペリンとコラボしたノイキャンイヤフォンが登場したら、高かろうが音が悪かろうが後期高齢者になっていようが、必ず買います。
文/斎藤好一




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