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今年上半期にプレスリリースでよく使われたキーワード、1位は?

2026.07.24

2026年上半期も終わったが、さまざまな製品やサービスのプレスリリースが発信された。そこに使われているキーワードは、ビジネスシーンでどんなことが起こっているか知るためのヒントになりうる。プレスリリース配信サービスの『PR TIMES』は、2026年1⽉1⽇から2026年5⽉31⽇に企業から発表されたプレスリリース総計19万9535件のデータを使って、業界分析と各種ランキングなどの発表を行った。『PR TIMES』は、プレスリリース発表時に発表企業がプレスリリース内容に関係するキーワードを最⼤10個登録することができるが、2026年1月から5⽉に発表された総計19万9535件のプレスリリースのキーワード登録総数は30万9141種だった。今回の発表は、件数による順位だけでなく、過去の件数との⽐較や⽉別の推移、キーワードごとの詳細な発表内容を分析して、2026年の企業活動の潮流や企業動向の変遷と流⾏の兆しをキーワードから分析してしたもの。それによれば「AI」が初の総合1位を獲得して、急上昇ランキングの1位から3位もAI関連が独占したという。

急上昇ランキングのトップ3はAI関連ワード

前年同期⽐で件数を伸ばしたキーワードを増加件数順に並べた2026年上半期の急上昇ランキングは、上位を「AI」関連のキーワードが占める形になった。「AI」は前年同期⽐+4659件(1.64倍)で全キーワードの最⼤増加件数になった。2位に「AIエージェント」、3位に「AI活⽤」3 位が入り、「フィジカルAI」が46.38倍で9位、「AX」が10.89倍で10位とトップ10の半数はAI関連のワードだった。11位以下も「LLMO」や「GEO」といった関連するキーワードが新たに登場して⼤きく件数を伸ばした。AI関連以外のジャンルでは、4位の「⼈材育成」や7位の「健康経営」、12位の「ウェルネス」、13位の「⼈的資本経営」、16位の「福利厚⽣」など働き⽅とそれに対する企業⼈事の動きを象徴するワードも順位を伸ばしている。

8位の「地域活性化」と通じる動きとして、18位に「官⺠連携」も入った。ちなみに「官⺠連携」のうち、「地域活性化」も使う発信が約22%を占めた。19位には「産学連携」が入るなど“外部と組んで価値を⽣む”発信が広がっていることがわかった。

AI関連キーワードの次の気配は「より深く任せる」に注目

発信されたプレスリリースには、「AI」は1万1920件、「⽣成AI」は5386件と全ワードの中でも特に多く発信された。前年同期⽐では「AI」は1.64倍で「⽣成AI」は1.34倍だったが、すでに多くの企業がAIを⽤いた商品やサービスを発表しているので、ベースとして定着したことが落ち着いた倍率だった理由といえそうだ。AI関連ワードで次に伸びているのは、AIに業務を任せる段階を表すキーワードだという。「AIエージェント」は、2025年以降に急速に件数を増やしており、2026年は前年同期⽐2.77倍(2413件)で件数・伸びを記録した。

今後は、「より深く任せる」フィジカルAIと「AIに合わせる」最適化といったキーワードが伸びそうだという。「より深く任せる」の流れは、ふたつの⽅向へ広がるとみられている。ひとつはAIに任せる対象が物理世界へと広がる⽅向で、「フィジカルAI」は前年同期⽐46.38倍(371件)とAI関連のなかでも大きな伸びをみせた。ロボットや⾃動運転など現実の作業をAIが担う領域を指すキーワードで、世界のAIのトップ企業が特に注⽬する領域として⽇本企業でも積極的に発信に⽤いられて、今年に⼊っても⽉ごとに件数が増えているという。

「より深く任せる」のもうひとつは、AIに⾒つけてもらう・選んでもらうために企業が情報発信のあり⽅を整えにいくという⽅向だ。生成AIの回答で引用や参照されやすくするための最適化の手法に関連する「LLMO」(前年同期⽐11.14倍/390件)、「GEO」(同21.73倍/239件)、「AIO」(同6.94倍/229件)、「AI検索」(同13.08倍/157件)などが増加している。「AIO」は、2025年からさらに多くの⽣成AIへの検索対応という概念におけるキーワードが頻出しており、AIを「使う」、「任せる」に続く“次の気配”として今後の発信件数の推移は注目すべきだろう。

総合ランキングでも上半期と月別でも「AI」が存在感を発揮

2026年の上半期総合ランキングは、「AI」が総合1位で⽉別でも1月から5⽉のすべてで1位になった。「⽣成AI」も総合で5位にランクインした。⽉別では5⽉に14 位にランクインした「AI エージェント」は、総合でも23位だった。15位の「業務効率化」は前年同期⽐1.42倍で、上位キーワードである「AI」「DX」と親和性が⾼く、同時に使われるケースが多くランキングが上昇している。20位の「地⽅創⽣」も2026年から入ったキーワードで、実際の発信では移住・関係⼈⼝を中⼼に観光や官⺠連携を巻き込みながら幅広い企業が継続的に発信を増やしていた。

2026年上半期は制度や政策が生んだキーワードが注目

政府の⽅針や新たな制度の整備は、企業にとってビジネス機会につながりやすいので、プレスリリースの増加に影響しやすい領域だ。2026年上半期は、分野の異なる複数の新市場が制度を起点に広がったキーワードも多かった。ほかにも環境の変化についてのキーワードも増えたという。次の4つは、その流れで注目されたキーワードだ。

・「ステーブルコイン」(前年同期⽐4.62 倍/245 件)

法定通貨と価値が連動するデジタルマネーを指すキーワードで、2025年も注目を集めたが、2026年にさらに発信が伸びた。2023年6⽉に施⾏された改正資⾦決済法でステーブルコインが「電⼦決済⼿段」として法的に位置づけられたことを⼟台に、2025年10⽉に⽇本初の円建てステーブルコインの発⾏がスタートした。そういった制度の節目に、2026年上半期は「ステーブルコイン」発⾏を起点に決済やカード、既存の⾦融に関わる企業まで幅広い顔ぶれが発信した。内容も店舗での⽀払いや国際送⾦、決済サービスの開発など実際に使⽤する場⾯に関するものが目立つが、これは投機の対象から決済の⼿段へ位置づけが変化したことがみえる。関連している「ブロックチェーン」(同0.90倍)や「Web3」(同0.73倍)といった概念に近いキーワード群は横ばいから減少しており、「ステーブルコイン」だけが突出して伸びている点も注目すべき点だろう。

・「系統⽤蓄電池」(前年同期⽐4.84倍/155件)

電⼒系統につないで需給を調整するための⼤型蓄電池を指すキーワードで、再⽣可能エネルギーの拡⼤で需給調整の必要性を背景に脱炭素電源を⻑期で確保するための⼊札制度(⻑期脱炭素電源オークション)が事業参⼊・資⾦調達・運転開始などの発表を後押しした。この制度は、落札した電源が⻑期に安定した収⼊を⾒込める仕組みで、初期投資の⼤きい蓄電池事業の⾒通しを⽴てやすくするもの。2023年度スタートの制度だが、2025年度分の⼊札が2026年上期にかけて進むなどの動きがあり、発信増につながったと思われる。発信の内容についても2025年は事業化に向けた提携や⼯事契約の発表など準備段階の発表が中⼼だったが、資⾦調達や施設の稼働、新規参⼊など具体的な動きに移行しているという。

・「データセンター」(前年同期⽐2.03倍/270件)

⽣成AIの普及は、膨⼤な計算とそれを⽀える電⼒への需要があり、その受け⽫であるデータセンターが注⽬を集めた。政策⾯では、2025年に経済産業省が「GX戦略地域制度」を創設して、その地域類型のひとつに「データセンター集積型」を位置づけるなど、国内⽴地を後押しする動きもあった。2026年4⽉には各⾃治体から提案された有望地域(38地域)も選定されている。プレスリリースの発信内容では、AIに最適化した設備や増⼤する電⼒消費に対応する冷却・省エネのソリューションに関するものが目立ったという。

・「猛暑」の先に「酷暑」の兆し

夏の暑さに関連するキーワードは、「暑さ対策」、「熱中症対策」、「猛暑」などが2025年から多く発信されて2026年も多かったが、今年は「酷暑」が上昇の兆しを見せているという。これまで夏の厳しさを象徴してきた「猛暑」は、前年同期⽐1.98倍と伸びているが、「酷暑」は前年同期⽐2.79倍と「猛暑」を上回る勢いで増えている。プレスリリースでも「酷暑化する夏に」、「記録的酷暑」など夏向けの商品やサービスを打ち出す発信に使用されている。気象庁が2026年4⽉に最⾼気温40度以上の⽇を表す予報⽤語として「酷暑⽇」を正式に定めて、40度以上を観測する⽇が急増して社会的な認知も高まって、企業の⾔葉選びにも影響していると思われる。これまで使われてきた「猛暑」だが、今後はより強い言葉の「酷暑」が夏のキーワードとして定着していきそうだ。

今回の調査を受けて、『PR TIMES キーワードランキング2026』の分析担当である杉本秋氏は、次のようにコメントしている。

「2026 年上半期を振り返ると、これまでの傾向に引き続き、「AI」に関するキーワードが量・種類ともに⼤きく広がった半年でした。「AI」は引き続き発信の中⼼であり続けましたが、本年の特徴は件数そのものよりも、企業とAIの関わり⽅の変化にあらわれています。「AI」を「使う」ことに加え、「AI」に業務を「任せる」、さらには「AI」に⾒つけてもらうために発信を整えるといった、多層的な関わりが企業発表に⾒られるようになりました。関連するキーワードが次々と新たに⽣まれている点にも、この領域とそれに対応する企業の動きの速さがうかがえます。

「AI」以外にも、外部と組んで価値を⽣もうとする動きや制度・政策の整備を起点に新たな市場を⾒据える動きなど、社会の関⼼の⾼まりに呼応した発信が広がりました。プレスリリースは、世の中の関⼼が芽⽣え、それを企業がビジネスの機会として捉えていく、その連動を映す鏡でもあります。本年上半期に芽⽣えた兆しが、下半期、そして年間を通じてどのように育っていくのか、引き続き注⽬していきたいと思います」

ビジネスシーンでは、常に情報が更新されている「AI」関連のキーワードは、2026年下半期も引き続き多く発信されていきそうだ。「AI」以外では、国の制度や環境の変化に関するキーワードにも注目すべきものがあった。プレスリリースは、企業の思想や進む方向を知ることができる。今後を予測するためには、改めて発信されているキーワードを分析することが有効だろう。

https://prtimes.jp

構成/KUMU

30年以上暮らした東京から実家に戻った地方在住フリーライター。得意分野は、ゲーム、アニメ、マンガやIT&デジタル関連など。自宅でリモート取材や自宅作業が増えたので、20年以上ぶりにフル自作PCを作成して活用中。最近の取り組みは、実家で発掘したセガマークⅢ以降の昭和から平成のゲーム機が動くか点検すること。

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