世界でもっとも売れているフォルクスワーゲンの車種はなに?と聞かれて、ゴルフ、ポロを想像する人も多いはずだ。しかし、答えはNO。実は、世界的なSUVブームもあり、2019年以降、SUVのティグアンがトップセラーモデルなのである。
日本におけるフォルクスワーゲンのSUVは、ポロベースのTクロス、ゴルフベースのTロックがあり、フォルクスワーゲンのフラッグシップSUVのトゥアレグが日本市場未導入ということもあって、現在は全長4540×全幅1860×全高1655mm、ホイールベース2680mm。ゴルフ8から始まった最新のMQB evoに進化したプラットフォームを用いるティグアンが最上級SUVということになる。その日本導入は2023年。ファーストモデルの試乗記をこの@DIMEでもお伝えしているが、なぜ今、最新のティグアンに試乗したかと言えば、先日@DIMEでも試乗記を掲載したアウディQ3と兄弟車であり、ティグアンには新型Q3の日本仕様にないTDI=クリーンディーゼルモデルが用意されているのがきっかけだ。ここでは、ティグアンの直4DOHCインタークーラー付きディーゼルターボエンジンと7速DSGを組み合わせるTDI 4MOTION R-Lineの試乗記をお届けしたい。
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フォルクスワーゲン ティグアンTDI 4MOTION R-Line 試乗記
ティグアンのTDI 4MOTION R-Lineは日本仕様のティグアン最上級モデルとなり、価格は666.4万円となる。動力性能は193ps/3500~4200rpm、40.8kg-m/1750~3250rpm。そう、ディーゼルターボエンジンならではの大トルクを低回転から発揮するのが特徴で、WLTCモード燃費は15.1km/Lとなる。燃料タンクは61Lもあり、WLTCモードで900kmオーバーの航続距離を誇ることになる(4MOTION=電子制御4WD)。
このR-Lineは専用スポーツコンフォートファブリックシートが標準だが、レザーシートパッケージ(242000円)を装着。タイヤはティグアン最大の255/40R20サイズを履いていた。
装備もさすがにすごい。LEDマトリックスヘッドライト”IQ.LIGHT”HD(ダイナミックターンインジケーター付)、ヒルホルダー、ヒルディセントアシスト、パドルシフト、Volkswagen純正インフォテイメントシステム”Discover”(SSDナビゲーションシステム、通信モジュール内蔵、AM/FM、ワイドFM対応、コネクティビティ機能”App-Connect”)、リラクゼーション機能(マッサージ機能)、前後席シートヒーター、ステアリングヒーター、AC100V電源ソケット(ラゲージルーム)など、テンコ盛りであり、レザーシートパッケージには暑い時期に嬉しいシートベンチレーション機能まで備わるのだ。
さて、今回の試乗コースは東京から静岡県富士宮市にある「あさぎりフードパーク」を往復する片道約150キロ、3時間、往復300キロの高速道路、郊外路を中心とした行程だ。しかし、走り出す前に驚かされたのは、借り出したティグアンTDI 4MOTION R-Lineのメーターに表示される航続可能距離で、なんと上記のWLTCモード換算値を上回る980kmを示していたのだ。ディーゼルターボエンジンの威力をまず知らされたことになる。
ステアリングコラム右側の回転式シフターをDレンジにセットして走り出せば、1750kgの車重を感じさせない軽快さで発進する。たしかにアイドリング時、走り出しの一瞬はディーゼルエンジン特有のノイズ、振動が伝わってくるものの、そこからはジェントルさあるトルキーな加速を開始。街中では日本の路上でもそれほど大きく感じない1860mmの車幅、SUVならではの視界の良さ(高さ)もあって運転に苦労はない。アクセルレスポンスの良さから、加減速のしやすさ、つまり運転のしやすさも印象的だ。
速度を上げていくと、アイドリング時、走り出しで気になったディーゼルエンジンらしさは、ノイズ、振動が抑えられているためほぼ気にならなくなる。さすがフォルクスワーゲンの上級SUVだけに、車内の静かさも文句なしであり、パワーユニット、ロードノイズの遮断を含めた車内の静かさは、下手なガソリン車を上回るほどである。首都高~中央フリーウェイへと進めば、ACCの的確な作動、直進性の良さ、レーンチェンジでの安定感の高さ、エンジン回転の低さもあり、クルージングは快適そのもの。高速走行域での車内の静かさは、CD値0.28という空気抵抗の小ささも効いているに違いない。
ところで、このティグアンTDI 4MOTION R-Lineにはクラス初のアダプティブシャシーコントロール”DCC Pro”が採用されている。その機能はステアリング、路面状況を常時センシングし、ダンパーの伸び側、縮み側を独立調整し、最適なタイヤの接地性、乗り心地、操縦性が得られるというものだ。よって、ロールやピッチングはしっかり抑えられ、終始、フラットな姿勢を保ちつつ、ちょっとしたジョイントの乗り越えもしなやかにいなす、20インチタイヤ装着とは思えない快適な乗り心地を披露。山道ではエンジンの滑らかな吹け上がりもあって、気持ちのいい走りを楽しめた。
しかし、注文を付けたいところもないではない。現行ティグアンには15インチのタブレットサイズのセンターディスプレイ、最上級のDiscover Pro Maxが搭載されるのだが、ゴルフ8以降のDiscover Pro同様、ナビ機能はいまひとつ。フォルクスワーゲンDiscover Proのゴルフ8以前(例えばゴルフ7.5)のDiscover Proのナビゲーションに慣れているとすれば、けっこう戸惑うに違いない(筆者は今でもゴルフヴァリアント7.5に乗っているからなおさらそう感じる)。国産車やボルボなどが搭載するGoogleナビには到底、敵わないのだ。対応策としては、アップルカープレイ、アンドロイドオートでスマホのナビを接続するといいかもである。
室内空間はゆったりだ。身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で前席頭上に最大220mm(シートハイトコントロールによる)、後席頭上に170mm、膝周りに240mmものスペースがある。ちなみにゴルフ8ヴァリアント(ホイールベース2670mm)は同160mm、130mm、220mmだから、さすがに格上の広さが実現されていると言っていい。実際に一部区間、後席に座ってみたが、広々として3ゾーンで独立温度調可能なエアコン吹き出し口もあり、快適そのものだった(後席2名乗車の場合)。
今回はあくまで試乗が目的のロングランだったため、大きな荷物を積むことはなかったものの、実測で開口部地上高740mm、フロア奥行き845~880mm、スクエアな形状の幅1005mm、開口部高735mm、トノカバー下高440mm。6:4分割の後席を倒した時のフロア長は1500mmに達する。床下にはスペアタイヤが鎮座しているため、荷物を入れるサブトランクスペースはないのが惜しまれる・・・。
そうそう、昼間は気づかないのがライティングのこだわり。ゴルフ8同様にフロント、リヤのエンブレムが光り、夜間、ドアを開けるとVWのロゴが投影される(プロジェクターロゴ)あたりもユーザーの満足度を高めてくれるに違いない。
夕方となっても気温が30度を超えている帰路はシートベンチレーション機能とリラクゼーション機能(もみ玉によるマッサージ機能)の合わせ技で、まさにリラクゼーション環境のまま帰還。
しかも、帰路のスタート後、平均燃費計は、車重1750kgもの4WDにして、WLTCモードを大きく上回る20.0km/Lを示していたのである(富士宮から河口湖ICまでの一般道、中央フリーウェイ、渋滞の首都高、一般道経由、高速70%、一般道30%で155km走行、大人2名乗車、エアコン22度オート)。さすが、フォルクスワーゲンTDI、クリーンディーゼルターボエンジン搭載車というしかない!! 一般道ではもちろん、高速長距離走行でも運転に疲れないことも確認できた。兄弟車のアウディQ3との比較では、燃費性能で勝り、安い軽油で乗れるディーゼルターボエンジンが選べるところにメリットがあるということだろう。
文/青山尚暉




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