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コンビニ大手3社、物価高で戦略の違いが明確に

2026.07.24

物価高がコンビニの在り方を大きく変化させました。消費者の節約志向の高まりにより、かつてのような集客力を失いつつあるためです。

カウンターフードや冷凍食品など商品力の強化を図る「セブンイレブン」。販売チャネルの多角化に力を入れる「ローソン」。そして、消費者が来店する理由作りに奔走する「ファミリーマート」。各社の激しい争いが、静かに始まっています。

商品力で差をつけるセブンイレブン

セブンイレブンは一時の危機を脱しつつあります。2025年2月期は集客に苦戦し、店舗のオープンから一定期間経過した既存店の売上高は前期比0.2%の微増でした。

お手頃価格で商品を販売する「うれしい値!」を開始したのが2024年7月中旬。その年の9月に対象商品を拡大しました。しかし、値下げによる集客は客単価が伸びないために売上も抑え込まれてしまう諸刃の剣。そこで、セブンイレブンは商品改革へと乗り出しました。

店舗のオーブンで焼いて提供する「セブンカフェ ベーカリー」の拡大を宣言したのが2024年9月。1000店舗からおよそ6カ月で3000店舗まで広げるというものでした。

2025年10月からは「お店で仕上げた できたて麺」の取り扱いを開始しました。専用マシンでできたての麺が楽しめるというもの。店内で販売するチルド麺とは違い、できたてを強調することで新たな価値を創出しました。

オーブンを使って焼いた「ヒレカツ弁当」「炭火焼うなぎ蒲焼弁当」など新メニューも次々と投入します。

その甲斐もあり、2026年2月期に既存店の平均日販が創業以来初の70万円を突破しました。既存店の売上高は前期比で1.3%増加しています。

2025年2月に社長に就任した阿久津知洋氏主導による改革が実を結びました。

中期的な目標として、2031年2月期までに平均日販を80万円まで引き上げるという大胆な目標も宣言しています。

ターゲットと店舗の利用シーンを掛け合わせて商品開発を進めるというのが、次なる成長の柱。若者と外出の掛け合わせで生まれるニーズにはパンやペイストリー、高齢者と自宅での食事にはホットスナックや冷凍食品という具合。細かなニーズに応える商品を用意するのです。

ソフトバンクとの提携で省人化は進むか

セブンイレブンは膨大なPOSデータを解析して売れるカテゴリーや商品を炙り出し、トップメーカーと専門店の技術を組み合わせで消費者の好みに合わせたものを生み出す、圧倒的な開発力に強みを持っています。値引きのような消極的な手段ではなく、強力な武器で攻め込む姿勢を見せました。

ただし、この戦略には弱点があります。オペレーションの煩雑化です。

店内での調理はスタッフの負担が重くなりがち。できたて麺のように自動化できれば良いものの、揚げ物などの場合はそうはいきません。

しかも、セブンイレブンはワンオペモデルを構築すると宣言しました。人件費の抑制を図るためです。スタッフへの負担は増すばかりであるようにも見えます。

そうした中で報じられたのが、ソフトバンクグループからの出資受け入れ協議を開始したというものでした。

出資を契機として、ソフトバンクが店舗運営の効率化で協力すると見られているのです。できたて麺を調理する「STEAMA」はソフトバンクロボティクスが開発したもの。提携する相手としては最良であるようにも見えます。

セブンイレブン・ローソンと異なる方向性を打ち出したファミリーマート

ローソンは直近四半期の日販が59万4000円で、前年同期間比で2.8%増加しました。2030年までに日販を2024年度比で30%引き上げる目標を掲げています。2025年度は4.5%増加でした。着実に数字を積み上げています。

注力しているのがデリバリーサービス。デリバリー·テイクアウトアプリのmenuと連携し、「ローソンデリバリー powered by menu」を2026年3月からスタートしました。

また、ゴーストレストラン事業も本格化。2021年11月から東京の一部店舗で始めており、現在は「マチの中華食堂」や「マチの洋食屋さん」というブランドで本格的にサービスを提供しています。

2026年3月から5月までのデリバリー売上は前年同期間比で約2割増加しました。ローソンは販売チャネルを拡大、強化で成長を促進しようとしているのです。

競合他社とは異なる独自の取り組みを進めているのがファミリーマート。セブンイレブンもローソンも食を軸として戦略を固めていますが、ファミリーマートは顧客接点の拡大に力を入れているのです。

2026年1月からは駐車場を新車の展示場にするサービスを開始しました。自動車メーカーにスペースを貸し出し、試乗や店内での商談ができるようにしたのです。

4月からはブックオフと協力し、衣料品や雑貨を回収する「R-LOOP(アールループ)」を設置する実証実験を始めました。

ファミリーマートはコンビニをメディア化するという、ビジネスモデルの転換を打ち出しました。BtoCだけでなく、個人間取引のCtoC需要の獲得も視野に入れています。デジタルサイネージや複合機などのインフラを活用し、サービスの幅を広げようとしているのです。

アメリカではすでに小売店が運営するメディア「リテールメディア」が浸透しています。従来、店内のデジタルサイネージは広告出稿という役割が強いものでした。現在はその枠組みを抜け、顧客の体験·発見·接点を創出するものへと進化しています。

ファミリーマートの自動車の展示は正に顧客同士をつなぐもので、コンビニの新たなビジネスモデルとして注目でしょう。

コンビニ3社の方向性の違いは明確になっており、今後の成長に期待ができます。

文/不破聡

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