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2型に進化した5ドアの「ジムニー ノマド」、公道とオフロードを試乗してわかったアップデートの全貌

2026.07.26

最新の”2型”に試乗してみた!

この@DIMEではすでに”1型”から”2型”の進化、変更点、さらには3ドアのシエラとの違いを詳細に紹介しているが、ついに念願のジムニー・ノマド、それも最新の”2型”の試乗を行うことができたので、5MTモデルの公道試乗記、4ATモデルのオフロード試乗記をお届けしたい。

その前に、5ドアとなり、後席と荷室スペースが拡大したことでファミリーユースにもより適するジムニー・ノマドのパッケージについて説明したい。身長172cmの筆者のドライビングポジションを基準にすると、前席頭上に185mm、後席頭上に140mm、後席膝回りに135mmの大人4名が無理なく座れる室内空間が確保されていた。注目すべきはシートの厚みが増した後席で、その寸法は座面長440×座面幅1130×背もたれ高590mmと不足なく、クッション性あるかけ心地の良さはもちろん、ヒール段差(フロアからシート座面までの高さ)が350mmと高く、椅子感覚の自然な姿勢で着座できる点を評価したい。ヒール段差が低いと、膝を抱えるような着座姿勢になり、お尻だけで体重を支えることになるため、快適性が損なわれるのである。

ラゲッジルームは開口部地上高765mm、開口部段差35mm、後席使用時の奥行き590mm、幅960mm、天井高880~960mm。後席格納時奥行き1240mm。ちなみにジムニー・シエラは奥行き200mmだから、やはりロングホイールベース化が効いている。ただし、後席を倒したとき、シエラは段差がほぼないのだが、ノマドは後席シートの厚みをかけ心地重視で増したことで120mmの段差ができてしまう。ジムニーで車中泊・・・というのであれば、シエラのほうが適しているかもしれない。ただし、純正アクセサリーのラゲッジボックス(29700円)をセットすると、ラゲッジルームが132mmかさ上げされると同時に、後席格納時の段差は解消されるから安心してほしい。

まずは5MTモデルを富士五湖の本栖湖を周遊する公道、オンロードで走らせる。最低地上高210mmの本格クロスカントリーモデルらしく、高めにセットされた運転席に乗り込めば、そこは見慣れたジムニー、ジムニー・シエラと変わらない世界だ。立ったフロントウインドーによってインパネ奥行きは短く、前方、斜め前方の視界の良さは文句なし。もちろん、ボンネットが視界に入る。こうした造り、フロントドアのショルダーライン前側がえぐれていることからも、道なき道、極狭の道を走破する際の走りやすさを実感できる。

“1型”からカラー液晶になったメーター、9インチのメーカーオプションナビ「バックアイカメラ付きディスプレイオーディオ・スズキコネクト対応通信機」に新しさを感じつつ、トランスファーレバーを2Hにセットして走り出す。出足の1速から2速にかけては同パワーユニットを積むシエラより90kg重いため、加速性能はシエラと比べやや緩慢。が、速度を高めていき、巡行状態になればそうした緩慢さなど感じずに済む。

ズシリと重いステアリングフィール、操縦性は悪路の走破を念頭に入れた穏やかさが身の上だが、5MTのコクっと決まるシフトフィールは相変わらずいい。が、想定外と言うべき感動ポイントが、乗り心地の良さとロードノイズの小ささだ。これはシエラより、というよりも、クルマとして大いなる進化を遂げた部分と言っていい。何しろドシリとして骨太な乗り心地は、ジムニーが得意とする荒れた路面、そして段差の通過でもフラットかつ角の取れた、上級SUVに匹敵する上質さ、快適性を披露してくれたのである。しかも、静かに走る。

その好印象を試乗後、開発陣に投げると、なるほど、という答えが返ってきた。乗り心地の良さそのものはロングホイールベース化が効いているのは当然として、実は、”1型”からタイヤを特注のブリヂストンのSUV用コンフォートタイヤ「DUELER」に変更。しかも、車外騒音の法規がフェーズ1からフェーズ3に引き上げられたことから、走破性能はそのままに、静音性能を高めたタイヤに格上げされたのだという。加えて、吸音材を適切配置するだけでなく、ルーフが長くなったことで補強材をより多く使うことができ、静粛性に影響するルーフ振動を低減。トランスファー部分にも吸音材を用いるなどして、それが乗り心地の良さと車内の静かさに大きくかかわっていることになる。

本栖湖の周遊道路はかなり道幅が狭い所もあるのだが、全幅1645mmのナローな車幅、ボディ左右の見切りの良さもあってスイスイである。ただし、シエラなら難なくこなすはずの4速で登坂路に入るとパワー、トルク不足を感じたのも確か。やはり同パワーユニットで90kgの重量増が影響しているようだ。無論、3速に落とせば問題なしだ。途中、Uターンをするシーンがあったのだが、小回り性については褒められない。何しろロングホイールベース化で最小回転半径はシエラの軽ジムニー並みの4.9mから一気に大型ミニバン並みの5.7mになっているのだ。ノマドでタイトターン、Uターンする際は、その点を頭に入れておく必要がある(駐車環境でも)。

とはいえ、5MTモデルを公道で走らせた印象は、想定外にいいのも事実。とくに乗り心地と静粛性は「ジムニーらしからぬ」レベルに引き上げられたと断言できる。これなら家族、仲間4名乗車でのドライブも、加速性能はともかく、快適にこなせるはずで、後席の乗車性、乗降性を含めファミリーユースに適するジムニーになったということだ。

続いて、ジムニー・ノマドのパートタイム4WD、4ATモデルでジムニーの十八番と言えるオフロードコースを走らせる。コースは路面の荒れた林間コース、急な上り坂の登坂、および一時停止、急な下り坂のすり鉢路、大きな凸凹で片輪が完全に浮くようなモーグル路などだ。なお、トランスファーレバー4L、ヒルディセントコントロールON固定で走行した。

ジャリ交じりの林間コースでは、5MTモデルのオンロード試乗で感心した乗り心地の良さとともに、進路を的確に進める操縦性の確かさを確認。すり鉢路では、登り急坂発進時にブレーキからアクセルペダルに踏みかえた際、最長約2秒間、一時的にブレーキが自動で作動するヒルホールドコントロールと、急な下り坂でブレーキを自動作動させ、ペダル操作なしで車両をゆっくり安全に降坂させてくれるヒルディセントコントロールによる安心感、安全性能に納得できた。

そして今回のオフロード試乗最大の難関セクションであるモーグル路では片輪が浮いた状況でも電子制御ブレーキLSDトラクションコントロールによって、時にクルマが大きく傾いた状態でもグイグイと前に進むことができるトラクションコントロール性能を確認できた。標準装備される電子制御ブレーキLSDトラクションコントロールとは、前後輪の対角がスタックした状態、つまり2輪が空転した状態で空転した車輪だけにブレーキをかけ、エンジントルクを落とさずに、もう一方の車輪に駆動力をかけ、脱出性能を高める機能であり、本格クロスカントリーモデルには不可欠な悪路走破機能。こうした走破性能の高さは、ジムニー、シエラとも共通する、ジムニー一族最大の誇り、実力と言っていい。画像を見れば分かるように、こうしたモーグル路ではタイヤは生き物のようにストロークし、電子制御ブレーキLSDトラクションコントロールによって駆動力が的確に伝えられ、グイグイと前へと進んでいくのである。

今回のモーグル路は、一般ユーザーがジムニー・ノマド保有期間にまず遭遇しない状況ながら、極限の道を走行できる極めて高い走破性の証明であり、レンジャーや彼の地の道なき道、極悪路での信頼性、頼もしさに直結。ジムニーが世界中で愛され続けている大きな理由と言っていい。スズキ自慢のパートタイム4WD、最低地上高210mm、アプローチアングル36度、ランプブレークオーバーアングル23度、デパーチャーアングル47度による悪路走破性はハンパじゃなく、脱帽である。

ところで、ジムニー一族に乗っていつも思うのは、元々、軽自動車規格のジムニーから継続採用されている室内周りの実用性だ。つまり、タイトに仕立てられているため、身の回りの小物(スマホや財布など)、飲み物を置く場所がないこと。もちろん、まっとうな理由がある。例えば多くのクルマにあるような、インパネ左右のドリンクホルダーを設置すると、飲み物の高さで視界が遮られてしまい、それを極限の走行状態を含め、憂慮しているのだ。とはいえ、前席周りの収納やドリンクホルダーはあるにこしたことはない、それを「カスタマイズ」に振っているのがジムニーであり、純正アクセサリーではなく、アフターマーケットのアイテムで自由に仕立てられるのも、ジムニーの魅力、ジムニーユーザーの楽しみでもある。

例えばスズキ純正用品に加えてユーザーの要望に合った用品をスズキが提供する「スズキセレクトプラス用品」に室内のデッドスペースに工具不要で取り付けられるウレタン発泡素材の収納用品である「ジムニー専用コンソールトレイ」(ジムニー&シエラ&ノマド専用)をラインナップしている、自動車用アクセサリーメーカー大手のセイワでも独自にジムニー専用用品を数多くラインナップ。筆者が今回のジムニー・ノマドの試乗中に「ここにこんなものがあったら便利だな・・・」と思えたセイワのジムニー専用(ノマドを含む)アイテムの一部を紹介したい。

スズキセレクトプラス用品のコンソールトレイ

まずは運転席用のドリンクホルダー、WA98だ。インパネ左端のエアコン吹き出し口下に、工具不要で取り付けられ、ウインカーレバーの操作を妨げない位置に設置。カフェカップから600mlペットボトル、細缶、太缶に対応している。エアコン吹き出し口に近いため、飲み物の保冷、保温効果もありそうだ。しかも、クルマのキーやガム、ミントなどを置ける小物入れスペースまであるのだから便利この上ない。

続いてIMP334「スズキ・ジムニー専用助手席ドリンク&トレイ」。助手席前に付属のボルトと両面テープでしっかりと固定でき、トレイと左右2か所にドリンクホルダーを用意。トレイ部分にはスマホを横置きできるスタンドが備わり、買い物フックがあるのも便利ポイント。ジムニーのインパネの素材感、質感に合ったアイテムで、後付け感がないのも嬉しい。

運転席周りの小物収納スペースとしてお薦めなのが、IMP193「ジムニー専用ダッシュボードトレイ」。シリコーン製のため両面テープでの貼り付けが不要で、置くだけの簡単取り付けのため内装を傷つけることもなし。サングラス、スマホ、チケット、小銭などをすっきり収納でき、シリコーン製だけにサングラス、スマホが振動でガタガタすることなく、またキズ付きの心配なし。こちらもジムニーのインパネの素材感、質感と合わせてあり、フィット感も文句なし。

ロングドライブ時に嬉しいのが、IMP110「スズキ・ジムニー専用アームレスト」。センターコンソール後端の純正ドリンクホルダーに差し込むだけで取り付けられ、アームレスト部分の蓋の中はラバー素材の収納になっていて、さらに前部下にキーなどを入れられるポケット、後部にドリンクホルダーも完備する4ウェイの使い方ができるアイデアが光る一品だ。

セイワ

この例のように、ジムニー一族の本質を知った上で、車内外をカスタマイズ、ユーティリティを高めていくのもユーザーの楽しみだろう。繰り返しになるが、ジムニー・ノマドは”2型”となってスズキの予防安全技術であるスズキ・セーフティサポート=先進運転支援機能、デュアルセンサーブレーキサポートⅡを採用するなど進化させ、乗り心地や静粛性も向上。絶大なる人気から、納期には時間がかかるものの、その間、晴れて納車されてからのドライブプランを考えるのもよし、車内外のカスタマイズに夢を膨らませるのもいい。ジムニー一族は本格クロスカントリーモデルとしての走り、最強の走破性、コンパクトなボディサイズゆえの扱いやすさ、走りやすさだけではない、所有する楽しさに溢れている、唯一無二の存在なのである。モノグレードであり、4ATか5MTか、2色ある2トーンカラー、または5色あるモノトーンカラーをどれにするか・・・だけで悩めばいい。そして、これまでの3ドアジムニーはややマニアックなコンパクトクロカンだったのだが、快適に走り、後席が広く乗降しやすく、荷物もたっぷり積める5ドアのノマドの登場で、一家に一台のファーストカー、ファミリーカーとして選べるようになったことがなにより嬉しい。そう、ジムニーの女性ユーザー比率が年々向上している今、独身「ジムニー女子」(YouTubeに車中泊や極悪路走行をこなすジムニー女子というハッシュタグがあるほど)が母親になっても、子供が大きくなっても乗り続けられるということだ。もちろん、ジムニー命の独身男性が結婚しても、である・・・。

ジムニー・ノマド

文・写真/青山尚暉

プロミュージシャンからいきなり自動車専門誌の編集者を経験した後、モータージャーナリストに。新車試乗記や自動車関連コラム、防災記事などを幅広い媒体で執筆。クルマのパッケージング、洗車”オタク”でもある。また、ドッグライフプロデューサーとしても活動。愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿厳選紹介、ドッグフレンドリーカー選びについて多方面で情報発信中。著書に「ぼくたちの外車獲得宣言」(リヨン社刊)、「すごい海外旅行術」(講談社刊)、「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)など。輸入車の純正ペットアクセサリーの開発にも携わっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(1994年~。現在は小学館DIME推薦)。

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