往路、到着時のバッテリー残量は57%
ステアリングコラム右側から生えたシフトスイッチをDレンジに入れ、ドライブモード「スタンダード」、ワンペダル機能「AUTO」で走り出す。一瞬、さすがに2710kgの車重を感じさせるものの、そこからはフロントモーター299ps、39.8kg-m、リアモーター381ps、48.9kg-m、システム最高出力680psの威力で、ズシリとしながらも軽快な加速力を発揮。いや、正確には「スタンダード」モードでは基本は前輪駆動。必要に応じて後輪も駆動するのだが、それでも動力性能は余裕しゃくしゃくである。そして驚くほど滑らかに静かに走る。
タイヤはフロント265/40R22、リア295/35R22というピレリ最新の高性能で転がり抵抗や快適性、ウェット性能に重点が置かれたサマータイヤのピレリ・スコーピオンを履いている。市街地走行でのアダプティブエアーサスペンションによる乗り心地は上質に引き締まっていながら想定外の快適さ。低速では路面によってゴツゴツしたタッチが伝わってくるものの、角は見事に丸められている。スポーティカー好きの人なら気分がアガる乗り味かも知れない。巧みに制御されたモーターパワーゆえのドライバビリティの良さと視界の良さもあって(3列目席は格納状態でスタート)、南青山周辺の混雑した市街地でもボディサイズを気にする場面は皆無だった。
東京の外気温は30度を超えていたが、ボルボ上級車種ではおなじみのBピラーにもエアコン吹き出し口がある4ゾーン・フルオートマチック・エアコンディショナーの空調環境もあって、爽快なテストドライブをスタートさせることができた。
首都高に入るとカーブも少なくない。しかしアクティブエアーサスペンションと22インチタイヤによって姿勢変化最小限、安定感抜群のままカーブを狙い通りのラインでトレースすることができる。首都高は路面が荒れているところも多いのだが、車速を上げても外界から遮断された車内の静かさは保たれる。エンジンのないモーター駆動のBEVだから「静かで当然」と思うかも知れないが、BEVのノイズの主な発生源はロードノイズ。それすらほぼ耳に届かないほど静かなのである。
首都高から東北自動車に入り、全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を作動させる(シフターをグッと下げるだけでOK)。ステアリング・アシスト付きBLIS(後車衝突回避支援機能付ブラインドスポット・インフォメーション・システム)、パイロット・アシスト(車線維持支援機能)、レーンチェンジ・アシスト(車線変更支援機能)、そして新機能のカーブスピード・アシスト(カーブ速度抑制機能)による追従走行、クルージングは、最高速度120km/h区間でも、滑走するかのような乗り心地の良さ、ボルボ史上最高ランクの車内の静かさ、文句なしの直進性の良さ、そして高速カーブの確かなトレース性能を示してくれた。ステアリングに軽く手を当てているだけでビシリと直進し、120km/hでクルマを運転しているとは思えないほどの快適感・安心感に浸れるのだ。
であれば、Bowers & Wilkinsハイフィデリティ・オーディオシステムを堪能するしかない。ヘッドレストや天井を含むキャビン全体に25基のスピーカーが装備され、Dolby Atmos®による3Dでの音場再現は、まさにキャビン全体を包み込む没入感のあるサウンド体験できる最高のリスニング環境そのもの。しかも、ロンドンの伝説的な録音スタジオであるアビー・ロード・スタジオを冠したサウンドモードを備え、車内でのサウンド体験を自在に調整できる革新的モードによってアビー・ロード・スタジオならではの独自の音響的DNAを再現してくれるのだから、音楽好きはたまらない。ちなみにアビー・ロード・スタジオでアルバムを録音したアーテイストの一部を紹介すると、ほとんどの曲を録音したビートルズを始め、スティーヴィー・ワンダー、ピンクフロイド(狂気)、カニエ・ウエスト、ハワード・ショア(ロード・オブ・ザ・リング)など。そして松任谷由実×プロコル・ハルムの「青い影/Procol Harum feat. Yuming」の録音もアビー・ロード・スタジオ(2012年9月録音)で行われたのである。
東北自動車から日光宇都宮道路に入ると、それまでの小雨からスコールのような豪雨に見舞われた。そこでワイパーが自動で作動する便利さ以上に感動したのが、BEVの宿敵、そうロードノイズ×水しぶき音の徹底した遮音であった。22インチの大径タイヤにして、Bowers & Wilkinsハイフィデリティ・オーディオシステムのリスニング環境を損ねない、圧巻の車内の静かさが雨の中でも保たれる。センターコンソールにあるオーディオボリウム調整ダイヤルの出番(ボリウムを上げる)がないほどだった。
日光宇都宮道路を降りると、今回のテストドライブの高速走行に次ぐハイライトと言える「いろは坂」の山道、登り坂に入る。ウェット路面ということもあり、ドライブモードはここで常時四輪駆動となる「パフォーマンス」にセット。システム最高出力は680psもあり、アクセルワークに節度は必要だが、全長5035×全幅1965mmの巨体にもかかわらず、強大なトルクによる圧巻の登坂性能と、2710kgの車重を感じさせない、軽快とも言えるステアリング操作に対して遅れのない意のままの操縦性、曲がりやすさ、そして盤石の安定感を発揮。タイトな山道でもボディサイズを感じにくい走りやすさを体感させてくれたのだ。
目的地の中禅寺湖湖畔のレストランに約190kmを走破して到着しても運転にかかわるストレスはフリー。疲れ知らずで撮影をこなすことができた。なお、往路、到着時のバッテリー残量は57%であった。それまでのインフォテイメントに示された到着時のバッテリー残量54%予測を、「いろは坂」の上りを経験しても上回ったことになる。
東京・南青山に向かう帰路の日光の山道では「HIGH」「LOW」「OFF」「AUTO」の4段階が選べるワンペダル機能が役立った(もちろん市街地でも)。カーブ手前でのアクセルオフで適切な減速を行ってくれるから、クネクネした道の下り坂でも実に走りやすく、気持ちのいいワインディングドライビングを楽しめた。さらにドライブモード、ステアリングの操作感、サスペンションフィールなどまで自分好みのセッティングが行えるから走りのテイストを自分好みでセッティングできるのだ。なお、帰路のドライブモードは念のため、航続距離が伸びるエコモード的な「レンジモード」にセット。それでも加速性能、巡行性能に一切の不満はなかった。
日光宇都宮道路から東北道に入ったタイミングで気温が上昇。そこでシートベンチレーションを作動。エアコンの冷気をシートが吸い込むことで、座面、背もたれ部分が涼しく、車内の無類の快適度はさらに高まる。Ultra Twin Motor以上のグレードに備わるもみ玉式のリラクゼーション機能(マッサージ機能)を使うことができるのもありがたい。
ボルボEX90は150Kwの急速充電に対応しているため、高速道路のSA/PAでスピーディな経路充電が行えるのだが、東北自動車道最後の蓮田SAに休憩に立ち寄った際の残り走行距離50km、所要時間52分の時点での”目的地到着時”のバッテリー残量は33%と余裕(往路でその表示正確性を確認済)。あえて充電することなく、蓮田SAを後にした。こうした充電にかかわる安心、時間ロスのなさも、ロングドライブでのストレス軽減、ゆとりにつながることを実感した次第だ。
ここで身長172cmの筆者が2列目、3列目席に座ってみると、シートのかけ心地の良さはもちろん、フラットフロアの2列目席はゆとりある頭上、足元空間、センターコンソール後端とBピラーに設けられた4ゾーン・フルオートマチック。エアコンディショナーによる空調環境もあって、快適そのもの。これで国産ミニバンなどにあるようなリヤサイドウインドーのロールサンシェードが備わればなお、良しだ。幼児や愛犬を後席(2列目席)に乗せる際、日差しを和らげ、後席車内温度上昇を抑制してくれる効果があるからだ。
※ボルボには純正の後席用ドッグベッド(フルサイズ、ハーフサイズ)が用意されているため、このドーンと呼ばれるファインナッパレザーのグレーベージュのシートに愛犬を乗せても汚れの心配なし。
ただし、身長170cmまでの乗車が推奨される3列目席は乗降がアクロバティックになりがちで、足元も狭い。ヒール段差(フロアからシート座面までの高さ)も低いため、膝を立てた体育座り的な着座姿勢になり、身長170cmの人でもロングドライブには向かなさそうだ。子供席、愛犬席、緊急席用として割り切り、普段の5名乗車までは後方視界確保のためにも、3列目席は電動操作でフラットに倒してラゲッジルームを拡大して使うのが正解かも知れない。
そして東京・南青山のボルボスタジオにバッテリー残量予測の33%から3%増えたバッテリー残量36%、残り走行距離220kmで帰還。このまま南青山から箱根にも行けそうな一充電走行距離なのだから頼もしい。なお、今回の約380kmの走行での電費は5.65km/kWhと、大型重量級4WDモデルとしては極めていい電費性能を示してくれた。
それにしても、往路の雨の中の高速走行、「いろは坂」での山道走行、南青山周辺の混雑した一般道を走破した今回のテストドライブで印象に残ったのは、実一充電走行距離の長さもさることながら、余裕ある動力性能、抜群の乗り心地、東北自動車道120km/h区間走行、ウェット路面でさえ保たれる驚異的な車内の快適・静粛空間、高速走行や山道でも常に安心していられる安定感、快適なドライブを支えてくれるGoogle、シート周りの各種装備などによる、ロングドライブの概念を変えるほどの運転疲労の少なさだった。運転に疲れないということは、セーフティドライブにも直結する。さすが、ボルボの新時代フラッグシップSUVモデルだけのことはあると唸らずにはいられない。
なお、EX90(ES90にも)には安心の早期購入特典「Exclusive Package」を用意。外出先におけるe-Mobility Powerでの月60分相当の急速充電の5年間無償提供をはじめ、自宅用のボルボ純正ウォールボックス本体の無償提供(設置工事費は別途)が含まれている。さらに、契約満了時の追加精算を気にせず乗れる本パッケージ専用の5年残価保証ファイナンスプラン、走行距離無制限の5年間車両保証(バッテリーは8年16万km)、および5年間の無償メンテナンスプログラム(VSP)もワンパッケージ化。これにより購入後も金銭的な不安なく安心してEVライフを楽しめる手厚いサポート体制を受けられるというわけだ。
文/青山尚暉
写真/青山尚暉 ボルボ
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ボルボ・カー・ジャパンは、電気自動車(EV)の7シーターフラッグシップSUV「EX90」を、2026年7月8日より発売することを発表した。 このEX90は、3列…




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