人材不足の深刻化や物価高などによる経済的不安定で、転職について考えるビジネスマンも多いはずだ。パーソルキャリアが運営する転職サービス『doda(デューダ)』は、22歳から59歳のビジネスパーソンに「転職したい会社」を調査した結果を『doda転職人気企業ランキング2026』として発表した。上位3社は7年連続でトヨタ自動車、グーグル、ソニーがランクインした。企業選びの傾向は「中長期的視点」になり、賃上げやAIへの対応力で支持を集める企業が高評価だったという。
トップ3の理由は給与や待遇の良さや安定して働けそうなこと
ランキングは1位が「トヨタ自動車」、2位が「グーグル」、3位が「ソニー」という結果になった。
1位の「トヨタ自動車」は、総合ランキングを含めた全31の調査区分の18の区分で1位を獲得。前回調査で1位だった17区分で順位をキープして、新たに「年代別 20代」のランキングでも1位になった。投票ポイントも前回とほぼ変わらない水準で、2位とのポイント差を前回の約2200から約2300に広げている。複数選択による選んだ理由では、「給与・待遇が良さそう」、「安定して長く働けそう」、「企業の知名度が高い」、「企業イメージがいい」などが評価された。
2位の「グーグル」は、「業種別 インターネット・広告・メディア」や「男女別 女性」など4つの調査区分で1位だった。複数選択による選んだ理由では、「給与・待遇が良さそう」、「優秀な社員が多そう」、「企業の知名度が高い」、「グローバルに活躍できそう」などが評価された。
3位の「ソニー」は、3つの調査区分で2位になるなど多くの区分でまんべんなく評価を集めた。複数選択による選んだ理由では、「企業の知名度が高い」、「給与・待遇が良さそう」、「サービス・商品が好き」、「企業イメージがいい」などが評価された。さらに「IT企業として優れている」といったコメントもあったという。
トップ3を選んだ理由では、「給与・待遇が良さそう」や「安定して長くはたらけそう」が上位だったが、「トヨタ自動車」は2021年から6年連続で春闘が満額回答で安定した賃上げを実施して、3位の「ソニー」も2026年3月の春闘で過去最大となる2万4000円の賃上げ回答をしたことが報道されるなど、企業の取り組みが高評価につながったといえそうだ。
業績好調な企業やフレキシブルな働き方をする企業がランクイン
4位以下にも注目したい企業は多い。4位には、2025年6月に『Nintendo Switch 2』を発売した「任天堂」がランクインした。2022年の13位、2023年に9位、2024年に8位、2025年に6位と順位を上げてきたが、ついにトップ5入りした。トップ10入りした企業で注目は、フレキシブルな働き方を推進する「味の素」が前回の14位から一気に7位まで順位を上げた。SNSなどで「16時半定時」といった働きやすさに関する内容を発信しており、それも人気上昇を後押しした可能性はある。投票理由でも「食品系会社で柔軟なはたらき方ができると聞いている」や「働きやすいことで有名だから」といった声があったという。
トップ30の順位変動では、「味の素」(前回14位→7位)のほかには、「リクルートホールディングス」(前回22位→17位)、「オリエンタルランド」(前回24位→18位)、「NTTドコモ」(前回34位→26位)などのランクアップが目立った。50位以内で前回調査から10位以上の伸びを見せたのは、「三菱地所」(前回71位→35位)、「JTB」(前回47位→36位)、「サンリオ」(前回88位→42位)、「三菱重工業」(前回89位→44位)、「サイバーエージェント」(前回67位→48位)、「アサヒビール」(前回96位→49位)、「カルビー」(前回61位→50位)の7社だった。
88位から42位まで順位を上げた「サンリオ」は、2024年に人気キャラクターが50周年を迎えて、近年は業績も好調で海外展開も好調だ。IP(知的財産)の拡充を掲げており、世代を越えて愛されてきた企業が周年やIP展開などのトピックスを通じて注目を集めている。一方で2025年にサイバー攻撃の被害を受けた「アサヒビール」も96位から49位と大きく順位を伸ばした。「サービス・商品が好き」や「企業の知名度が高い」、「給与・待遇が良さそう」や「将来性がありそう」などが評価されたが、サイバー攻撃の被害以降にも生産・供給を維持して事業を継続したことで、その対応が企業としての信頼性につながった可能性もありそうだ。
今回の調査を行った『doda』編集長の桜井貴史氏は、次のように解説している。「2025年から2026年にかけては、いわゆる「2025年問題」を背景とした人材不足がより深刻化し、物価高も相まって、企業による初任給の大幅引き上げやベースアップが相次ぐなど、人材確保の動きが一段と加速しました。さらにテレワークに関する制度の整備が進み、育児・介護休業法での努力義務化の流れがある一方で、出社回帰を進める企業も見られるなど、労働市場を取り巻く環境は大きく変化しました。こうした変化のなかで、転職を希望する人の企業選びの軸も変化しつつあります。働きたい企業を選んだ理由を24の項目から選択式で回答してもらった本調査のデータを見ると、トップ10の企業は「給与・待遇が良さそう」や「企業の知名度が高い」という点で人気を集めています。しかしながら、これらの要因だけではなく、「事業が今後も続きそうか」「雇用が守られそうか」「自分の望むはたらき方が実現できそうか」といった中長期的な視点が、より重視される傾向になっていると考えられます。
その判断材料のひとつになるのが、AIを含む先端技術への対応力です。AIの活用によって新規事業の創出や生産性の向上が期待できる企業は、不確実性の高い時代でも競争力や雇用を維持できる可能性が高いと言えるでしょう。例えば「ソニー」(3位)は、エンターテインメントから半導体、AI領域まで幅広い事業ポートフォリオを持ち、技術革新への対応力の高さが評価されている企業のひとつです。こうした企業は、「将来性がありそう」という評価とともに、「安定してはたらき続けられるのではないか」という期待も得やすく、結果として高い人気を維持していると考えられます。投票理由でも「時代に合わせた技術力があり、常に変化に柔軟だから」というコメントが寄せられました。ほかにも前回14位から7位へと順位を上げた「味の素」では、「安定して長くはたらけそう」を選んだ人が49.9%と約半数を占め、総合ランキング上位10社の中で、ほかの企業の数値を大きく引き離していることも、今回の調査結果における特徴的な点と言えるでしょう」
理想の転職先として「トヨタ自動車」、「グーグル」、「ソニー」が選ばれるのには納得の理由があった。やはり「企業の知名度」、「給与・待遇の良さ」、「会社としての安定性」が重要なようだ。一方でランキングを大きく上げた「味の素」のように令和にあった働き方についても関心が高いようだ。ただ、7年連続でトップ3が変わらないという点は、日本の転職市場を考えると難しい問題もありそうだ。
『転職人気企業ランキング2026』概要
調査対象者:22歳~59歳の男女/雇用形態:正社員
調査期間:2026年2月4日~2026年2月10日
調査方法:投票者が転職を希望する企業を自由形式で1位から3位まで記入。持ち点10ポイントの中から、それぞれの企業への志望度合いに応じて自由にポイントを振り分ける。ランキングは振り分けられたポイントの合算値(小数点以下第二位まで)が多い順に作成。ウエイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施。
回答人数:5154人
調査手法:ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査
出典:
転職サービス「doda」
「転職人気企業ランキング2026」
構成/KUMU




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