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スマホを閉じ、鈍行列車に乗れ。効率化の先にある「究極の休息」の作り方

2026.07.10

スマホで検索すれば、電車の乗り換えも飲食店の評判も、目的地の天気さえもすべて事前にわかります。しかし、このように先の展開があらかじめ読める状態ばかりを求める日常は、自分で考えて判断する機会を減らすだけでなく、常に情報に触れ続けることで脳に疲労を溜める原因にもなります。

今回はあえてスマホを閉じ、鈍行列車に乗って不便な環境に身を置くことで、想定外の状況に柔軟に対応する力を養いながらリフレッシュする方法を解説します。

日常の効率主義がもたらす脳の疲労

まずはタイムパフォーマンス(以下タイパ)の追求や、常に正解を検索できる環境がメンタルに与えている影響を整理します。

■予定調和な環境がもたらす考え方のコリ

スマホの普及により、私たちは目的地の情報や移動ルートを事前にすべて把握できるようになりました。先の展開があらかじめわかる状態は一見すると快適ですが、脳が周囲の状況を観察し、自発的に判断する機会を減らすことにもなってしまっています。

決まった設定やスケジュールをなぞるだけの日常が続くと、想定外の事態に直面した際に、柔軟に考えを切り替えることが難しくなります。

■過剰な情報によるエネルギーの消耗

効率を重視して、隙間時間にまでスマホに触れている生活は、脳を常に稼働させている状態です。ニュースやSNSなどから情報を受け取り続けることで、脳のエネルギーは休まる暇がなく、気づかないうちに消耗していきます。

タイパを求めて常に脳を動かし続けるライフスタイルそのものが、慢性的な脳の疲労を引き起こす要因となっているのです。

不便な状況が与えるものとは

あらかじめ結果がわからない不便な旅の経験は、脳に適度な刺激を与え、考え方の柔軟性を高めることにつながります。効率から離れて不便な環境を選ぶことが、メンタル面にどのような影響を与えるかを見ていきます。

■予測できない環境で脳は活性化する

スマホの検索をあえて使わない状況を作ると、道中で予定外の待ち時間が発生した際などに、その場の情報から自分で考えて判断する必要が出てきます。そんなすべてがスムーズに進む環境から離れ、状況の変化に応じてその都度判断していく行動が、脳の働きを刺激します。

また、旅の行程に予定を詰め込みすぎないことも大切です。ゆったりとした時間は心にも余白を作り、日々のパフォーマンスを高めるためのエネルギーが蓄えられていきます。

■想定外の状況では柔軟性が養われる

旅先でのハプニングや、予定通りに進まない状況にその場で対処する過程は、「レジリエンス」(変化に柔軟に対処する力)を高めることにつながります。

思い通りにならない環境を受け入れ、その都度できることを選択していく体験を重ねることで、日常の予期せぬストレスに対しても、過度な動揺を防ぎやすくなります。

不便な旅で脳のキレを取り戻す方法

タイパの追求や、常に正解を検索できる環境から一度離れ、鈍行列車という環境を使って脳の疲労を和らげるための方法をご紹介します。

1.スマホを閉じて車窓を眺める

車窓からの景色をただぼんやりと眺める時間は、意識を「今この瞬間」に向け、脳をリフレッシュさせる状態をつくります。これを心理学では「マインドフルネス」と言います。この言葉は、今現在の経験に注意を向け、評価をせずに受け入れる心の状態を表しています。

流れる景色に目を向け、列車の揺れや音をそのまま感じることで、日常の雑念から離れて脳の働きを整えることができます。

2.移動時間で心理的距離を置く

鈍行列車による長時間の移動は、物理的な距離だけでなく、日常のストレス源との心理的な距離を置くことにも役立ちます。効率よく短時間で目的地に到着する移動とは異なり、ゆっくりと時間をかけて移動する過程そのものが、気持ちの切り替えを助ける緩衝材となるのです。

この一泊二日のゆっくりとした旅の時間が非日常へと意識を向けてくれます。

あえて鈍行列車を選ぶ旅の意義

効率やタイパから一時的に離れる不便な旅は、決して時間の無駄ではなく、脳とメンタルの活力を取り戻すための選択肢です。予定調和から離れ、鈍行列車という環境そのものを楽しむことが、変化の激しい日常に対応するための力となるでしょう。

文・構成/藤野綾子

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精神保健福祉士、産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。

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