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職場にいる〝いつも親身な相談役〟に気をつけろ!チームの時間を奪う「共依存」の危険な罠

2026.07.15

誰の相談にも乗り、愚痴を優しく受け止めてくれる上司や同僚。その人は、一見すると周囲の支えになっているように見えます。

しかし、過度な優しさは、時に頼られることで安心する側と、頼ることで責任を避ける側が、お互いに縛り合う“共依存”という関係になりかねません。これが相談者の自立心や課題解決力を奪い、組織の停滞を招いているケースも少なくないのです。

特に業務が逼迫しがちな夏の時期に限られた時間や心の余裕を無駄遣いさせないために、お互いの間に適切な境界線を引くことが不可欠です。本記事では、その背景とお互いの自立を促す距離の保ち方をお伝えします。

お互いを縛り合う“共依存”の仕組みとは

職場の相談が周囲を巻き込んでしまうのには、良かれと思って始めた優しさが、いつの間にかお互いを縛り付ける関係へとすり替わってしまう心の仕組みが隠れています。周囲からは信頼関係に見えても、実態は組織を停滞させる罠になっているのです。

■頼る側と頼られる側の利害が一致

周囲が警戒すべきなのは、この2人の間で“お互いの甘え”がかみ合ってしまっている点です。「頼られることで自分の存在価値を確かめたい」という相談役の心理と、「頼ることで自分で決断する責任から逃げたい」という相談者の心理が無意識に一致しています。

一見、深い信頼関係で結ばれているように映りますが、その実態はお互いを必要とし合っている「共依存」の状態にすぎません。こうなると、悩みの解決ではなく、慰め合って安心すること自体が目的化し、根本的な問題解決には発展しにくいのです。

■公私の区別が曖昧になる

この関係が放置されると、他人の悩みや不安を自分のことのように受け止めてしまうあまり、過剰に相手の領域まで介入し、相談役と相談者のどちらも客観的な視点を保てなくなっていきます。これは、相手の悩みは本来その本人が乗り越えるべき課題であるにもかかわらず、相談役がすべてを自分の責任であるかのように錯覚してしまう状態です。

優しさのあまり当事者同士の役割の区別が曖昧になることが関係を長引かせ、結果としてお互いの自立を遅らせる原因になります。

良かれと思った優しさが組織の足を引っ張る理由

個人の抱える不満や不安に寄り添う姿勢は、周囲から見れば親切な助け合いのように映ります。しかし、職場の人間関係において、終わりなく相談に付き合うことは、当事者だけでなく周囲の稼働をも巻き込んで停滞させる原因になる可能性もあるのです。親切心が裏目に出てしまう構造を見ていきます。

■相手から自分で決断する機会を奪う

困っている同僚に対して、すぐに答えや解決策を提示することは、必ずしも親切とは言えません。相談を受ける側が先回りしてすべてを決めてしまうと、相談する側は自分で考えて決断する機会を失っていくからです。

頼り切りの状態が続けば、業務に対する当事者意識が薄れ、自ら困難を乗り越えようとする主体性が育ちません。過剰に手を貸す優しさが、結果として相手の成長を止める原因になっているのです。

■相談によって全体の時間を削られる

相談に乗る側とされる側の2人だけで時間が消費されているように見えて、実際には職場全体の貴重な時間が失われています。休憩中や業務時間外などにとどまらず、時間や回数の決まりがないまま続いていく会話は、相談者や相談役の集中力を途切れさせてしまいます。

さらに、相談を受ける側が上司や責任ある立場の場合、悩んでいる部下への配慮から、その社員の業務量を減らすといった調整を独自の判断で行いがちです。その減らされた分のしわ寄せは、他のメンバーへ回ることになります。

1人の相談に付き合った結果、職場全体の計画や進捗が遅れる可能性につながり、チーム全員の貴重な時間と気力を奪うことにもなり得ます。

お互いの自立を促す距離の保ち方

職場で生まれてしまった共依存を解消し、チームの生産性を取り戻すためには、周囲からの客観的な働きかけが必要です。その2人だけに依存させず、各自が自分の責任で動ける職場へと変えるための対策をまとめました。

1.本人の決断を促す環境への介入

職場の相談役が相談に付きっきりになって時間を割いていることで業務に遅れが出そうなときには、周囲からの働きかけが必要です。共依存となっている2人以外の社員が、相談している当事者に対して「あの案件、今どこまで進んでいる?」と進捗を直接確認するようにしてみてください。

「次は何を進める予定ですか?」と仕事の進捗を本人に答えさせることで、相談役に頼っていた責任を本人へと戻させます。周囲がこうして日常の業務連絡として当事者意識を刺激することが、共依存を自然と遮断するきっかけになります。

2.相談役を作らない関わり方

いつも相談役になっている当事者への働きかけも重要です。このタイプは「自分が助けてあげなければ」という使命感に縛られているため、周囲から「それはチーム全体で解決すべき問題だから、1人で抱え込まなくて大丈夫です」と声をかけ、相談役が背負っている責任を周囲が引き取るようにしてください。

さらに相談役が上司であれば、個別の相談ではなくチームの会議などの公の場で業務の相談を行うようにし、2人きりの空間を作らせないようにします。こうすることで現場から依存関係を解消することが期待できます。

他人と自分をしっかりと切り分ける

職場の親身な相談役という存在は、関わり方を誤るとお互いの自立を阻む罠になります。だからこそ、役割の一線を明確にし、依存の輪から意識を適切に切り替えることが、結果としてチームの活力を引き出すことにつながるのです。

文・構成/藤野綾子

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精神保健福祉士、産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。

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