資材高騰と人手不足が深刻化する建設業界。そんな中で、 一級・二級建築士はどれほどの収入を得て、また、どんな悩みを抱えているのだろうか?
総合資格はこのほど、一級・二級建築士1,017人を対象に「建設業界の働き方改革が有資格者に与える影響と、有資格者が求める労働条件・待遇」に関する実態調査を実施し、その結果を発表した。
一級・二級建築士の資格取得後の年収分布は?
はじめに、「一級・二級建築士の資格保有者の現在の勤務先」について尋ねたところ、大規模なプロジェクトを手掛ける「ゼネコン(23.1%)」が最も多く、「ハウスメーカー(20.2%)」「工務店(18.4%)」と住宅系が続いた。一級・二級建築士の資格が幅広い企業規模や事業形態において必要とされていることがうかがえる結果となった。
続いて「現在の年収」について尋ねたところ、年収700万円以上を得ている人は38.3%おり、その中でも7.0%が年収1,000万円以上と回答した。
「年収700万円以上」の割合を過去の同調査と比較すると、2024年は25.8%、2025年は34.0%、そして今年は38.3%となり、2年間で12.5ポイント(約1.5倍)上昇している。こうした推移からも、一級・二級建築士の収入は上昇傾向にあることがわかった。
「資格手当による月収の上昇額」について尋ねたところ、「15,000円~20,000円未満(23.7%)」「20,000円~25,000円未満(21.1%)」が上位で、「月額15,000円~25,000円未満」が、全体の半数近くを占める結果となった。
年間に換算すると数十万円の収入アップとなるため、資格取得が待遇改善に直結している様子がうかがえる。また企業側にとっても、優秀な一級・二級建築士を確保し、定着を促すための有効なインセンティブとして機能していると言えるだろう。
また「建築士資格取得前と比べた年収に対する満足度」を尋ねたところ、7割以上が「満足している」(「とても満足している(22.5%)」、「ある程度満足している(50.2%)」)と回答した。
資格取得による年収の変化に対して多くの人がポジティブな評価をしていることが示された。一方「満足していない」(「あまり満足していない(20.6%)」、「まったく満足していない(6.7%)」)の回答も4人に1人以上の割合でおり、現状に満足していない人も一定数いることがわかった。
働き方改革の影響。建築士の採用・定着、カギは給与だけでなく「業務量の適正化」か
「建設業界の働き方改革による自身の業務や職場環境の変化」について尋ねたところ、「大きく改善した(15.7%)」と「やや改善した(41.8%)」を合わせて、約6割が職場環境の改善を実感していることがわかった。
一方で、「変わらない(33.9%)」、「やや悪化した(7.1%)」、「大きく悪化した(1.5%)」といった改善を実感できていない回答が4割超を占めており、業界全体が働き方改革による変化を実感できるまでに至っていないことがうかがえる結果となっている。
また、「現在の職場環境や労働条件について、不満や改善の余地があると感じている要素」について尋ねたところ、「業務量の多さ(32.5%)」が最も多く、「残業の多さや休日・休暇の少なさ(32.4%)」、「給与(基本給・資格手当など)(31.9%)」と続いた。
働き方改革は進んでいるものの、依然として個人の業務量や労働時間の負担が大きい実態が浮き彫りになった。加えて、給与面での不満も僅差で続いており、業務の重責と待遇のバランスに疑問を感じている層が一定数いることがうかがえる。
建築士資格を武器に理想の環境へ。転職時に譲れない条件と、一級・二級建築士の最新のキャリア動向
ここからは、経営者、役員、フリーランスを除く一級・二級建築士の資格を持っている会社員を対象に調査した。
「転職を検討するとしたら、妥協したくない条件」について尋ねたところ、「給与(基本給・資格手当など)(32.7%)」が最も多く、「業務量や責任範囲の適正さ(30.4%)」、「正当な評価制度やキャリアパス(30.1%)」と続いた。
妥協したくない条件として「給与」が最も多く挙げられたことから、自身の資格や専門スキルに見合った適正な給与水準が重視されていることがうかがえる。
また、「業務量の適正さ」や「評価制度」も3割とほぼ同率で並ぶ結果となった。単に収入を上げるだけでなく、担う責任や労働量に対して正当な評価が得られる職場を求めていると考えられる。
では、実際に転職活動する場合、どのような強みをアピールしていくのだろうか。
「自身が転職を検討する際、どのようなことが武器になるか」と尋ねたところ、「業界経験・知識(46.9%)」が最も多く、「業務実績(44.6%)」、「建築士資格(42.9%)」と続いた。
これまで現場で培ってきた「実務経験」や「実績」を自らの武器として捉えている方が多いことが示された。さらに、4割以上が「建築士資格」を挙げており、個人の専門スキルを客観的に証明できる国家資格は、転職市場においても強力なアピールポイントになると考えられる。
「業務環境の改善(オフィスの環境整備や働き方の見直しなど)が進んでいることは、転職先を選ぶ際の重要な決め手になるか」と尋ねたところ、8割以上が「決め手となる」(「非常に重要な決め手となる(29.2%)」、「ある程度重要な決め手となる(52.7%)」)と回答した。
多くの人が、企業の労働環境改善への姿勢を重視していることが明らかになった。従業員が働きやすい環境を整える取り組みは、優秀な人材を確保するうえで欠かせない条件であると考えられる。
では、現在どのような手段で理想の職場での就労を目指しているのだろうか。
「より良い労働環境や待遇を求めて、現在どのような行動を起こしているか」と尋ねたところ、「転職エージェントやスカウトサービスに登録・相談している(43.0%)」が最も多く、「転職サイト・求人メディアで情報収集している(27.0%)」、「友人・知人に相談や紹介を頼んでいる(25.0%)」と続いた。
4割以上がプロのサポートを受けられる「転職エージェント」や「スカウトサービス」を活用していることから、効率的に自身の希望条件に合う企業を見つけ出そうとする姿勢がうかがえる。
また、「転職サイト」を利用して自発的に情報収集を行う層や、「友人・知人」に紹介を頼む層もおり、より良い労働環境や待遇改善を求めて多様なアプローチをしている実態が見受けられた。
<調査概要>
【調査期間】2026年5月21日(木)~5月22日(金)
【調査方法】PRIZMAによるインターネット調査
【調査人数】1,017人
【調査対象】調査回答時に一級・二級建築士と回答したモニター
【調査元】株式会社総合資格
【モニター提供元】サクリサ
出典元:株式会社総合資格
構成/こじへい




DIME MAGAZINE



















