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約27万人が参加したアジア最大級のLGBTQ+イベントで「お茶」を配った企業が伝えたかったこととは

2026.07.21

6月6日・7日に開催された「Tokyo Pride 2026 Pride Parade & Festival」。217の企業・団体・コミュニティがブースを出展し、約60の団体が渋谷・原宿をパレードをするなど、アジア最大級のLGBTQ+イベントとして多くの人でにぎわった。

近年、Tokyo Prideへの参加は単なるスポンサー活動ではなく、多様性やインクルージョンへの取り組みを社会へ発信する場として位置付ける企業が増えている。ブースを出展した企業の一つである博報堂DYホールディングスに話を聞いた。日本を代表する広告会社はどのような思いで参加し、どんなメッセージを発信したのか。その取り組みを紹介したい。

”話し合ってもらう”をテーマにした博報堂DYホールディングス

博報堂DYホールディングスは昨年のPride Festivalで初めて協賛、ブースを出展。今年は2度目の出展となる。「ちがいを知ろう。おなじを知ろう。」というステートメントのもと、「今日はだれとなに話そう。Wacha! Wacha!」というテーマのブースを企画。今回のブースの体験設計をした博報堂でクリエイティブディレクターを務める山崎博司さんに話を聞いた。

「昨年は『ちがいを知ろう。おなじを知ろう。』というステートメントのもと『CAN-DAY 今日できることから、はじめよう。』をテーマに掲げました。LGBTQ+は、生活者一人ひとりの知識の差が大きい社会テーマです。まずは、自分ができることを”知ってもらう”ためのコピーやイラストを制作し、ブースに展示しました。

そして、今年は”知ってもらう”から一歩進んで”話し合ってもらう”ため、『今日はだれとなに話そう。Wacha! Wacha!』というテーマにしました。LGBTQ+に関する話題を、コソコソ話すのではなく、わちゃわちゃ話し合える世の中になったらいいなという想いを込めました」

テーマに合わせて、昨年は「キャンディ(飴)」を、そして今年は「お茶」をアンケートに答えてくれた来場者にプレゼントしたという。ブースのメッセージだけでなく、来場者が思わず寄ってみたくなるブースデザインにこだわった。

Pride Festivalには、日頃からLGBTQ+に関心のある人から偶然通りかかった人まで、さまざまな背景の方々が来られます。特定のターゲットを定めずに、誰が見てもわかりやすいテーマで博報堂DYグループはメッセージを届けることを意識しました」

博報堂DYホールディングスが配ったお茶は来場者へのプレゼントでもあり、同時に”話し合ってもらう”ための入り口の役割も持っていた。

「先ほども述べましたがLGBTQ+は生活者の知識量が人によって全然違うということが一番の課題だと感じています。僕たちが大事にしたのは誰もが同じ知識で語り合えることです。プレゼントで配ったお茶にはLGBTQ+に関する『お題』が書かれています。例えば『彼氏、彼女、パートナー、相方、相棒…自分らしい呼び方ってなんだろう?』みたいに誰でも、気軽に話し合えるテーマになっています。

いま、LGBTQ+にとって大切なのは、世の中の人が『LGBTQ+は当たり前のこと』と思えるようになることです。僕たちは、そうした世の中になることを願っています」

イベント参加は「社外」だけでなく「社内」に向けた取り組み

博報堂DYホールディングスのサステナビリティ推進室の高田奈美さんは企業がLGBTQ+イベントに協賛することの意義を次のように話す。

「博報堂DYグループは、生活者である社員一人ひとりがクリエイティビティを通じて、社会の様々なテーマとつながり、自分らしく活躍できる社会の実現を目指しています。LGBTQ+についても、Pride Festivalへの協賛、ブース出展は、DE&I推進活動の一つです。LGBTQ+という言葉は浸透してきましたが、まだまだ当事者だけのことだと捉えられていたり、話しにくい、あるいは知るきっかけが掴みにくいと思われている方も多いのではないでしょうか。こうした社会を少しでも変えられればと考えています」

同時に、社内に向けた発信でもあると高田さんは続ける。

「博報堂DYホールディングスは2022年にサステナビリティ推進室を立ち上げ、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の重要課題に対する取り組みを進めています。LGBTQ+への取り組みは、重要なテーマの一つです。

博報堂DYグループの従業員にも当事者の方はいます。対外的な活動をすることは、同時に対社内向けのメッセージにもなります。企業としてLGBTQ+のイベントに参加をすることで制度が整い、アライが増えることで、より安心して自分らしく働けるようになるでしょうし、当事者が働きやすい環境を作ることは企業にとっての責任だと考えます」

広告会社が扱うのは、広告だけではない。人の心を動かし、社会のコミュニケーションをデザインすることも、その役割だ。博報堂DYホールディングスがPride Festivalで目指したのは、LGBTQ+を特別なテーマとして語ることではなく、誰もが「わちゃわちゃ」と話せる空気をつくること。クリエイティビティで社会課題の解決に挑む広告会社らしい取り組みだった。

山﨑博司
博報堂クリエイティブ局山﨑チームクリエイティブディレクター・コピーライター
「言葉の力で、社会を動かす」をモットーに、コピーを軸にした統合キャンペーンや社会課題解決業務を手掛ける。受賞歴に、クリエイター・オブ・ザ・イヤー 、TCC賞、TCC最高新人賞、ACCグランプリなど。著書に「答えのない道徳の問題 どう解く?」1~3巻、「ぶたすけのラッパ」など。

髙田奈美
博報堂DYホールディングスサステナビリティ推進室
博報堂DYグループ全体のDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進を担当。多様なバックグラウンドを持つ社員が自分らしくパフォーマンスを発揮できるカルチャー作りに取り組んでいる。 LGBTQ+に関しては、Tokyo Prideへの協賛、ブース出展のほか、グループ横断施策の事務局を担当している。

取材・文/DIME編集部

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