日本政府観光局によると、2025年は42,683,600人と過去最高を記録している年間訪日外客数。日本の経済効果拡大に繋がっているものの、課題となっているのが人気観光地のオーバーツーリズムだ。東京近郊や関西主要部などに集中することにより大混雑が発生し、地域住民も訪日外国人も喜ばしくない事態が起きている。
「人気観光地だけでなく、地方のまだ知られていない観光地を運営する中小事業者のDX化を支援することで、オーバーツーリズムの解決を目指しています」と話すのは、株式会社KKDAY JAPAN Country Manager Office Departmentのマネージャー・Kanaさん。どのようにして支援を行っているのか、詳しく伺った。
日本語で掲載するだけで、多言語対応。アジアの訪日外国人にアピールできる仕組み
KKdayとは現地オプショナルツアーやアクティビティに特化した、アジア最大級の台湾発旅行体験予約プラットフォーム。日本では株式会社KKDAY JAPANが日本支社として運営しており、代表を大淵公晴さんが務めている。大淵さんは2014年に国内体験型アクティビティ予約サービス「アクティビティジャパン」を開始しており、現在アクティビティジャパンはKKdayのグループ企業だ。
オーバーツーリズムの解決に向けて、KKdayが現在行っている施策は2つ。1つ目は「一局集中している観光地」に向けた施策、そして2つ目は「まだ認知されていない地方の観光地」に向けた施策だ。オーバーツーリズム問題の本質は訪日外国人が多すぎることではなく、“行き先の偏り”と“地方の発見性の欠如”の両方にあると、Kanaさんは語る。
Kanaさん「一局集中している観光地、つまり京都・東京・大阪・富士山周辺といった有名スポットでは、混雑による疲弊や満足度の低下といった課題がお客様側に発生しています。大人気観光地では、ハイシーズンにチケットの現地購入で2時間も並ぶといったケースもあります。せっかく日本を訪れていただいているのに、現地での待ち時間が満足度を下げてしまっている状態です。
もう一方のまだ認知されていない地方の観光地では、世界に誇れる素晴らしい観光資源があるにもかかわらず、そもそも訪日客に存在を知られていないという課題があります。オンライン販売の仕組みを持たない事業者がまだ多く、訪日客の検索結果にも現れず、選択肢にすら入らない。結果として、『そもそも気づかれない』状態が続き、有名地への集中をさらに加速させてしまうという構造です」
KKdayが「一局集中している観光地」に向けたDX化の事例が「日光東照宮」。栃木県日光市に位置する世界遺産で、もちろん訪日外国人にも広く知られている人気観光地だ。それまで現地で、紙でしか購入できなかったチケットを、2023年にKKdayでオンライン事前購入できるようになり、チケット購入時の混雑解消に貢献できたという。
Kanaさん「それまではチケットを購入するためだけに、現地でテーマパークのような長蛇の列ができてしまっていました。受け入れのキャパシティ不足が顕著に現れており、まさに一局集中している観光地ならではの問題を抱えていらっしゃいました。そこでKKdayがDX化を支援し、オンライン上でチケットを購入できるようにサポートしたという経緯があります」
そして「まだ認知されていない地方の観光地」に向けたDX化の事例が滋賀県高島市の「びわこ箱館山」。標高約630mに位置する関西最大級の自然リゾートパークで琵琶湖の絶景を望む観光地だが、認知度に悩みを抱えていた。しかし2023年にKKdayでチケットを購入できるようになってからは、来客数が増加。KKdayというアジアで良く知られたプラットフォームを通して、認知度を高めることができたのだ。現在は来客数の増加に伴い、最寄駅からびわこ箱館山へと向かうバスのダイヤ増便を調整中だという。
Kanaさん「アジア最大級の予約サイトであるKKdayの強みを活かし、プラットフォームに掲載するだけで多言語・多通貨に対応した状態で、世界の訪日のお客様に発見していただける状態をつくります。KKdayでは自動翻訳と専属チームによる校正で多言語展開の仕組みを整えており、事業者の皆さまはKKdayに掲載すれば海外販売を開始できる体制になっています」
言語の問題をAIで解決しながら、人間同士のコミュニケーションも重要視
地方の観光地が訪日外国人を受け入れるにあたって、ハードルとなるのが「言語」。KKdayではプラットフォームに日本語で掲載したページが多言語に自動翻訳されるのに加え、ゲストの口コミもAIによって翻訳される。さらにAI Chatbotが、多言語でチケット購入時もサポート。AIでは解決できない場合、英語や中国語などゲストの問い合わせ言語に合わせた専任オペレーターが対応をするサポートも充実させているという。
Kanaさん「訪日のお客様の体験そのものをよりスムーズで満足度の高いものにするために、KKdayではAIの活用にも力を入れています。現在、訪日のお客様向けに大きく3つの取り組みを進めています。
1つ目は『AI Review Summary(口コミの瞬時多言語変換)』です。現地の言葉で書かれた膨大な口コミを、AIが旅行客の母国語へと瞬時に翻訳して提示する機能を搭載しています。2つ目は『AI Video(商品画像の動画化)』です。言葉の壁を越えて現地の魅力を直感的に伝える動く写真を、AIが生成する仕組みを提供しています。3つ目は『AI Chatbot(24時間多言語対応)』です。商品を購入前に発生する訪日外国人からの問い合わせを、AIチャットボットが多言語で解決しています」
ただし、まず地方の中小企業事業者がKKday自体を知らないケースも多い。それ以前に、まだ「FAXや電話の方が安心感がある」という事業者もいるという。そのような事業者こそ魅力的な観光スポットを運営していることも多々あり、KKdayでは地方で「インバウンド集客講座」を開催するなど、DX化の重要性を伝えている。地道な努力を行うことで、DX化の事例を知った地方の中小企業事業者から、KKdayへの問い合わせもあるようだ。
Kanaさん「直近ですと2026年6月に、JR東日本様と共同で『ゼロから始めるインバウンド集客講座』を仙台で実施しました。私たちはAIなど最新技術も活用しますが、やはりみなさんと直接お会いし、コミュニケーションをすることも大切だと考えています。KKdayの掲載にあたっては成果報酬型で、掲載費は0円なので、気軽にDX化に挑戦いただけることもメリットです」
人気観光地だけではなく、まだ眠っている魅力的な地方の観光地にスポットライトを当てることで、オーバーツーリズムの解決を目指すKKday。人によってはピンとこないDX化を、丁寧なコミュニケーションによって中小企業事業者に伝えているのは、地道ながら意味のある一歩に感じる。「なぜ、こんなところに外国人が?」という地方の観光地がさらに増えること――それが、オーバーツーリズムの解決に向けた重要な要素になりそうだ。
・KKday
HP:https://www.kkday.com/ja
取材・文/小浜みゆ
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