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ヒカキンは麦茶をどう変えたのか?「ONICHA」が1000万本売れた本当の理由

2026.07.20

モナキ、パンチくん、ボンドロ…2026年上半期のヒット商品&トレンドを総力取材!SNSで話題の『みぃちゃんと山田さん』やマンジャロも独自視点で切り込む大特集! 第5回はヒカキンがプロデュースした麦茶「ONICHA」。ヒカキンが語った「いままでの常識をひっくり返す麦茶を作りたい」という思いは叶えたれたのか。そして1000万本も売れた理由を改めて考えてみる。

>>>特集「上半期ヒット商品&トレンド2026」はこちら

今年4月に発売されたヒカキンプロデュースの麦茶「ONICHA」が発売2ヶ月で販売本数1000万本を突破した。商品発表まで約一週間にわたり「謎の海のライブ配信」をしたことや動画内で麦茶を「地味でワクワクしない」「退屈な飲み物」と発言したこともあり、SNSでは厳しい声も少なくなかった。

しかし、発売されるや否や「ONICHA」は売り切れが続出、結果、記録的大ヒットとなった。なぜ、発売前には賛否が分かれた麦茶は、発売後に1000万本を突破するヒット商品になったのか。その理由をあらためて振り返ってみたい。

「なんだよ、麦茶かよ」から始まったONICHA

4月5日、ヒカキンは「ONICHA」を発表した。前述の通り、発表から発売まで決して雰囲気の良いものだけではなかった。

「なんだよ、麦茶だったのか」という落胆の声や、「ワクワクする麦茶」というコンセプトをめぐる議論など、SNSではさまざまな意見が飛び交った。一方で、その一連のやり取りによって「ONICHA」は発売前から大きな注目を集める存在になっていたことも事実だ。

そして4月21日に発売されると、セブン-イレブンでは売り切れが続出。「全然、見つからない」「何店舗も探した」といった投稿が相次ぎ、SNSの空気は発売前とは大きく変わリ始めた。こうした口コミが相次いだ結果、発売前の賛否をよそに「ONICHA」は発売二週間で当初二ヶ月分を想定していた出荷本数700万本を達成する。

逆風の中で「ONICHA」をヒットへ導いたもの

では、逆風の中で「ONICHA」をヒットへと導いたものは何だったのだろうか。

もちろん、ヒカキンという圧倒的な発信力は欠かせない。しかし、それだけでは発売2か月で1000万本という数字は説明しきれない。

今回特徴的だったのは、商品そのものよりも、発売までの過程そのものがコンテンツになっていたことだ。

情報公開前の考察、商品発表後の議論、ヒカキン本人によるアンサー動画、発売日に向けた期待、発売後の購入報告やレビュー動画。一つひとつを見れば珍しい出来事ではない。しかし、それらが途切れることなく続いたことで、「ONICHA」は人々の記憶から消えることなく発売日を迎えた。

もちろん、議論を呼んだこと自体が成功だったと言いたいわけではない。ただ、結果として話題が継続し、多くの人が「実際に飲んで確かめてみたい」と感じる土壌をつくったことは間違いないだろう。

そして、購入した人を待っていたのは、話題性だけの商品ではなかった。100種類以上の試飲を重ねてたどり着いた味わい、100種類以上の案を経て完成したパッケージデザイン、ラベル裏の「おにみくじ」など、飲む前後まで楽しめる工夫が詰め込まれていた。SNSでも「飲みやすい」「おにっぴがかわいい」といった感想が広がり、商品そのものも評価されていった。

「ONICHA」は、ただの麦茶ではなく、発売前から発売後まで、多くの人がリアルタイムで参加するコンテンツになっていたのである。

麦茶を取り巻く体験が一つのコンテンツへ

ここで一つ付け加えておきたいのは、この一連の流れを「炎上商法」と捉えるべきではないという点だ。

発表から発売まで議論が続いたことは事実だが、それを意図的に仕掛けたと断定できる材料はない。実際、発表から5日後には「ONICHA動画について」と題した動画を公開し、自身の考えを丁寧に説明している。その姿勢からは、議論を長引かせようというよりも、誤解に向き合おうとする意図がうかがえる。

しかし、結果として、SNS上での議論や口コミ、そしてヒカキン本人による発信が重なり、「ONICHA」という商品への関心が発売日まで途切れなかった。この結果として生まれた熱量こそが、今回のヒットを語るうえで見逃せないポイントではないだろうか。

ヒカキン氏はONICHA発表動画の中で「いままでの常識をひっくり返す麦茶を作りたい」と語っている。もちろん、その言葉が指していたのは味やデザイン、商品そのもののことだったはずだ。しかし結果として、「ONICHA」が変えたのは麦茶そのものだけではなかった。

麦茶をエンタメコンテンツにしたのだ。発売を待ち、議論し、感想を共有する。そんな一連の体験がコンテンツになったのである。その意味では、「ONICHA」は意図せずして「いままでの常識をひっくり返す麦茶」だったのかもしれない。

取材・文/峯亮佑

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Author
大学卒業後、『週刊ポスト』で週刊誌記者としてキャリアを始める。医療、芸能、政治、社会問題などを担当し現場取材を中心に経験を積む。2023年からは@DIMEで編集者兼ライターを務め、ビジネスからエンタメまで幅広く取材・執筆を行なう。取材・執筆した企画(一例)/「ポケモン超進化論」(「DIME 2023年9・10月合併号」)、「ガンプラ45年の軌跡」(「DIME 2025年9・10月合併号」)

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