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鉄道会社が農林水産業に参入!?あまおう苺を食べて育った「あまおう桜鱒」ってどんな味?

2026.06.28

全国で魚の陸上養殖が増え、各地で“ご当地サーモン”が名物となっているが、この春、新たに発表された九州の「あまおう桜鱒」が注目されている。「あまおう」とは、イチゴで最も人気の高い銘柄。この「あまおう」を餌に使って育てた桜鱒とは? しかもそれが博多の高級ホテルで提供されているという。話を聞いて実食すべく、福岡に飛んだ。

人気のイチゴ「あまおう」を生産

「あまおう」とはイチゴの登録商標名だが、福岡県で育成された品種で、あかい・まるい・おおきい・うまいの頭文字をとってネーミングされたもの。数多あるイチゴの中でも最も人気が高く、筆者のスーパーでの定点観測では4月以降になってもなかなか値段が下がらないほど。

この「あまおう」を西鉄グループが運営する農業法人NJアグリサポートが栽培しているという。なぜ鉄道会社がイチゴ栽培に? 同法人の代表取締役社長で、西日本鉄道株式会社新領域事業開発部の穴田勝美さんに話を聞いた。

「沿線のあまおうを栽培する就農者増加による地域の活性化を目的に、西鉄とJAの共同出資でNJアグリサポートを設立しました。2015年から手掛けていますが、毎年規格外の商品が発生し、有効活用することができないか課題となっていました。生産する立場としては野菜や果物をつくるのに追われ、規格外商品の活用や販路開拓にまで手が回りません。我々が何らかの形でサポートができないか色々と検討していました」

西鉄では、「まち夢ビジョン2035」という指針を掲げて様々なジャンルで事業を展開しているが、穴田さんのNJアグリサポートもそのひとつで、農業だけでなく水産業も視野に入れており、同じ九州にあるSmolt(スモルト)という宮崎大学発のスタートアップ企業と連携し、規格外の「あまおう」を使った桜鱒の養殖を企画した。

NJアグリサポートの穴田勝美さん。農繁期は農地で泥にまみれている日が多いとか。
規格外の「あまおう」。常に一定量発生してしまうという。

近い将来を見据えた農水産事業

Smoltでは、宮崎大学で培った独自の技術があり、新しいサクラマスの開発に取り組んでいる。そもそもサクラマスは北海道や東北など冷涼な地域で生息する希少な魚で、最近では気候変動による海水温上昇が養殖業界の課題にもなっていた。高温耐性サクラマス種苗から4kgのサクラマスを育成することに成功したSmoltに、前述の規格外「あまおう」を餌として使ってもらうことになり、オリジナルブランド魚「あまおう桜鱒」の共同開発に至った。

規格外「あまおう」は液状にして、ペレットの餌にしみ込ませて与えているという。養殖の工程は手間も時間もかかるもので、川で育成してから海に放ち、再度川に戻してから出荷。約1年半もの期間を要する。

「できあがった『あまおう桜鱒』を何度も試食しましたが、臭みなどネガティブな要素がほとんどない。アトランティックサーモンなどと比較しても脂身が少なくさっぱりとした味わいで、ホテル関係者にも好評でした」(穴田さん)

今回の「あまおう桜鱒」の養殖は、宮崎県廷岡市の養殖場(写真)と山口県の海で行われた。
養殖高温耐性サクラマスを開発したSmoltの代表取締役CEO上野 賢さん。
銀色に輝く「あまおう桜鱒」。1匹1.5kg~2kgほどの大きさ。
「あまおう桜鱒」の切り身。きめ細やかで美しい。

博多で話題のホテルで前菜として提供

この「あまおう桜鱒」は、昨年春に博多・天神に開業したONE FUKUOKA HOTELのレストラン「THE KITCHEN」で、アラカルト料理の前菜として提供されている(7月末まで)。天神駅直結のワン・フクオカ・ビルディングの最上階で眺望もよく、ラグジュアリーな空間で地元のセレブや若い人たちにも人気のレストランだ。

さっそく「あまおう桜鱒のマリネと柑橘ブルスケッタ仕立て」を試食した。確かに全く臭みが感じられず、身質は柔らか。ヨーグルトソースもかけられて、柑橘とともに爽やかに食せる味わいだ。

「現在のところ、ホテルやレストラン向けを想定しています。このレストランでの提供を皮切りに純国産(元々サクラマスはヤマメ)の魚として、将来的には輸出も見据えて事業を展開したいと考えています」(穴田さん)

温暖化にも負けない希少なサクラマスの養殖と規格外「あまおう」から生まれた美味しい「あまおう桜鱒」。ひとつのモデルケースとして評価され、新しい九州の名物にもなりそうだ。

ONE FUKUOKA HOTELで提供されている「あまおう桜鱒のマリネと柑橘ブルスケッタ仕立て」2300円(税込、サービス料別)
ONE FUKUOKA HOTELはワン・フクオカ・ビルディングの最上階。

NJアグリサポート
Smolt
THE KITCHEN ONE FUKUOKA HOTEL
福岡市中央区天神1-11-1 ワン・フクオカ・ビル18-19F

取材・文/インディ藤田

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京都市生まれ。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。小学館で長年、編集者として勤務。各種ライフスタイル誌の編集部に在籍し、2011年から6年間編集長を務める。料理、AI、自然科学、健康、啓発など多ジャンルの単行本、新書、写真集を20冊以上編集。最後の7年は広告部門も兼任し、地方創生プロジェクトの一環でイベントも企画運営。定年退職後、出身地の京都を拠点に活動。京都府・京都市「まるっと京都」アンバサダー。辻調理師専門学校「料理検定」1級。

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