先行き不透明な情勢が続き、終身雇用や年功序列の前提が揺らぐ中、26年度卒の新入社員は、どのようなキャリアを志向しているのだろうか?
ALL DIFFERENTおよびラーニングイノベーション総合研究所はこのほど、新入社員3,849人を対象に意識調査を行い、26年度卒のキャリアや勤続意向について調査・分析した結果を発表した。
1. キャリア志向、3人に1人が「専門職志向」、4人に1人が「管理職志向」
はじめに、2026年度の新入社員へ、将来会社でどのような役割を担いたいか、質問した。
結果、「専門性を極め、スペシャリストとしての道を進みたい(専門職)」が30.7%、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」が24.7%となり、専門職を志向する割合が高くなった。
一方、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」(21.4%)、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」(22.3%)、「わからない」(1.0%)と、キャリアが不明確な層は合計4割を超えた。
2014年以降の新入社員の回答を比較すると、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」、「わからない」と回答したキャリア不明確な層は、昨年より割合は減少したものの、調査開始の2014年度以降から増加している傾向が見られた(図1)。
図1の調査結果を男女別で比較した。
男性は「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」と回答したキャリア不明確な層が、2014年度から徐々に増加している。
しかし、例年「専門性を極め、スペシャリストとしての道を進みたい(専門職)」、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」といったキャリア志向が明確な層は、女性よりも高い傾向にあり、2026年度においてもそれぞれ10.6ポイント、2.7ポイント、男性が女性を上回った。
一方、女性は「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」、「わからない」といったキャリアが不明確な層が、男性よりも女性の方が高い傾向にあり、51.9%と半数以上がキャリア不明確の結果となった(図2・3)。
2. 管理職志向の理由、「仲間と仕事をするのが好き」34.4%で初のトップ
次に、図1の質問で「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」と回答した新入社員に対し、なぜリーダーになりたいと思ったか質問した。
結果、「仲間と仕事をするのが好きだから」が34.4%と1位、次いで「人を束ねて、大きな仕事をしてみたいから」が33.3%となり、はじめて順位が逆転した。
12年前にトップだった「将来経営層として会社を引っぱっていきたいから」は減少傾向が続いていたものの、この2年間は微増傾向にあり、23.1%となった(図4)。
3. 専門職志向の理由、「いざというときに専門性を活かしたい」61.2%で断トツ
図1の質問で「専門性を極め、スペシャリストとしての道を進みたい(専門職)」と回答した新入社員に対し、 なぜ専門職になりたいと思ったか質問した。
結果、「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたいから」が61.2%となり、はじめて6割台に上った。次に「一つの分野を追究してみたいから」が31.6%となった。1位と2位の差は、29.6ポイントと過去最大となった(図5)。
4. 勤続意向、66.3%が「できれば今の会社で働き続けたい」と回答し、12年間で過去最高
続いて、2026年度の新入社員の勤続意向について見ていく。
今の会社で働き続けたいか質問したところ、66.3%が「できれば今の会社で働き続けたい」と回答し、12年間で過去最高の割合となった。「そのうち転職したい」と回答した割合は12.7%で、コロナ禍の2020年度以降の中で一番低い割合となった(図6)。
5. 働き続けたいと思う条件、「職場の人間関係が良い」「高い給与・賞与をもらえる」が二大トップ
今の会社で働き続けたいと思っている新入社員が過去最大の割合となったが、どのような状況であれば、今の会社で働き続けたいと思うか質問した。
結果、「職場の人間関係が良い」が最も高く66.4%、「高い給与・賞与をもらえる」が61.0%と、6割超で続いた。一方、「仕事を通じて成長できる」(31.6%)と「やりたい仕事ができる」(23.6%)、「頑張りを認めてもらえる」(22.3%)は減少傾向が続いており、「仕事を通じて成長できる」は6年前より13.8ポイント低下した(図7)。
6. 長く働き続けたいと思う雰囲気・文化、「チームワークを重視する文化がある」が75.1%で断トツ
続いて、どんな雰囲気・文化の会社だと、長く働きたいと思うか質問した。
結果、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化がある」が75.1%で断トツとなった。昨年も高い割合だったが、さらに2.3ポイント高まった。以下「多様な考え方や働き方を尊重する文化がある」が34.2%、「学ぶことや自己成長、スキルアップを支援する文化がある」が24.4%と続いた(図8)。
7. 会社に求めるキャリア形成支援、「上司に相談できる機会」が半数以上で増加傾向
最後に、キャリア形成支援について会社に期待することは何か質問した。
結果、「上司に相談できる機会をつくってほしい」が56.5%でトップとなった。この割合は2020年度以降急激に上昇し、今も増加傾向が続いている。
次いで「キャリア形成についてのセミナーや勉強会などを開催してほしい」が34.1%でやや減少傾向、「上司以外の社員に相談できる機会をつくってほしい」が33.0%でやや上昇傾向が見られた(図9)。
まとめ
本調査より、2026年度新入社員は、約3人に1人が専門職志向、約4人に1人が管理職志向であることがわかった。例年、専門職志向が管理職志向を上回るが、本年も同様の結果となった。一方で、「志向なし」「未定」「不明」を合わせた、キャリアが明確でない層は、例年と同様に4割以上となった。
専門家志向と回答した人の理由では、「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたい」と6割以上が回答し、実務で活かせるスキルへの関心の高さがうかがえる。一方、管理職志向と回答した人の理由では、「仲間と仕事をするのが好きだから」が34.4%ではじめてトップとなり、協働志向の高まりが見られた。
勤続意向では「今の会社で働き続けたい」(66.3%)が過去最高となり、「転職したい」は12.7%と低水準にとどまった。長く働き続けたい条件としては、「職場の人間関係が良い」「高い給与・賞与をもらえる」が6割超で並び、加えて長く働き続けたい雰囲気・文化では「チームワーク重視」が75.1%で圧倒的に支持されるなど、良好な関係性と安心感ある職場環境が重視されていると考えられる。
一方で「仕事を通じて成長できる」「やりたい仕事ができる」「頑張りを認めてもらえる」は低下傾向にあり、自己成長よりも安定や働きやすさを優先する傾向も読み取れる。会社へ期待するキャリア支援では「上司に相談できる機会」が半数以上となり、回答割合の上昇傾向が続いた。
構成/こじへい







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