大正製薬が行った調査によれば、朝の疲労がない人は、午前中の集中継続時間が1.5倍長く、残業時間は-11時間、仕事速度は2.4倍となった。さらに気になるのは5年のスパンで見ると「年収差」が生じていることだ。
どうやら朝に疲労を持ち越さないためのナイトルーティンが、ビジネスパーソンの未来にとって重要といえそうだ。
そこで今回は、疲労の専門家に30~40代のビジネスパーソンにおすすめの効率的なナイトケア方法を聞いた。
朝の持ち越し疲労がないと出世して年収アップ!?
同調査は、全国の20業種815社、計173,208人、10代~70代のビジネスパーソンを対象に行われた。
主に、次の結果が得られた。
・週4回以上の疲労ケア習慣がある人は、朝の疲労感が55%少ない傾向。
・朝の持ち越し疲労がない人は、午前中の集中継続時間が1.5倍長く、タスク完了数が23%増加。
・始業後90分以内に重要タスクを完了する割合が2.4倍高い。
・朝の持ち越し疲労を感じている人と感じていない人を比較すると、残業時間が月平均で11時間少ない。
・昇進・昇格は平均1.6年早く、管理職への抜擢率は1.7倍高い。
・経済的影響として、5年間で最大252万円の年収差。
この結果を見ると、夜の疲労ケアを重視することが、年収アップにつながることがわかる。
30~40代のビジネスパーソンにおすすめの夜に行える疲労ケア
普段、自分が行っている夜の疲労ケアは、果たして十分なのか、不安に感じたかもしれない。そこで休養×疲労回復の専門家である福田英宏氏に30~40代のビジネスパーソンにおすすめの夜に行える疲労ケアを聞いた。
【取材協力】
福田 英宏氏
株式会社Recovery Adviser代表取締役。「休養×疲労回復」の専門家。早稲田大学スポーツ科学研究センター招聘研究員。著書『リカバリー解体新書』。脳疲労・自律神経・睡眠をテーマに研究・講演活動を行う。
1.「スマホを早く切る」ことで脳を休ませる
「現代人の疲労は、身体よりも『脳疲労』が大きな問題になっています。特に夜のスマホやPC、動画視聴、SNS閲覧は、脳を常に“オン”状態にし、自律神経が休まらなくなります。その結果、寝ていても回復しきれず、『朝から疲れている』状態につながります」
●おすすめの方法
「おすすめなのは、就寝の60~90分前からスマホを見る時間を減らすこと。特に、短尺動画や倍速視聴、仕事のメール確認は脳への刺激が強いため、できるだけ避けたいところです。代わりに、間接照明に切り替えたり、ストレッチや読書、軽い音楽など“脳を静かにする時間”を作ることで、副交感神経が優位になり、睡眠の質が上がります」
2.「入浴」は“温まる”ではなく“回復スイッチ”として使う
「忙しいビジネスパーソンほど、シャワーだけで済ませてしまいがちですが、実は入浴は非常に効率の良い疲労回復習慣です。『疲れを取る』のではなく、『回復できる状態を作る』という視点で入浴を活用することが大切です」
●おすすめの方法
「おすすめは、38~40℃程度のお湯に10~15分程度浸かること。重要なのは『熱いお風呂で気合いを入れる』のではなく、自律神経を“オフモード”へ切り替えることです。入浴によって深部体温が一度上がると、その後、体温が下がるタイミングで自然な眠気が出やすくなります。これが睡眠の質向上につながります。
また、お風呂はスマホから離れる時間にもなります。照明を少し落としたり、ゆっくり呼吸を意識するだけでも、自律神経への良い刺激になります」
3.「寝る前の血糖とカフェイン」に注意する
「睡眠の質を下げる原因として意外と多いのが、夜の食べ方です。仕事終わりに遅い時間の食事やアルコール、甘いものを摂りすぎると、寝ている間も胃腸が働き続け、身体が回復モードに入りにくくなります。特に寝る直前の高脂質・高糖質の食事は、睡眠の質低下につながりやすくなります。また、夕方以降のカフェインにも注意が必要です。コーヒーだけでなく、エナジードリンクや濃いお茶にもカフェインは含まれており、人によっては睡眠に影響します」
●おすすめの方法
「理想は、夕食を就寝の3時間前までに済ませること。難しい場合は、消化の良いものを選ぶだけでも変わります。睡眠は『寝ている時間』だけではなく、“寝る前に何をしていたか”によって質が決まります。夜の食事と刺激物のコントロールは、翌朝のパフォーマンスに直結します」
「長く眠れば回復する」はウソ?
ところで、30~40代のビジネスパーソンが夜の疲労ケアで間違いがちなのが、睡眠に関することだという。
●勘違い1「長く眠れば回復する」
「30~40代のビジネスパーソンで多いのが、『疲れているから、とにかく長く寝れば回復する』と考えてしまうことです。しかし実際は、睡眠時間の確保だけではなく、“脳と自律神経が休めているか”が重要です。先述の通り、寝る直前まで仕事のメールを見たり、動画やSNSを長時間見続けると、脳は興奮状態のままになります。
また休日の長時間睡眠は体内時計を乱し、逆に月曜日の疲労感につながることもあります。平日と休日の起床時間差は、2時間以内に抑えることが理想です。現代人の疲労は、身体より“脳疲労”が中心です。重要なのは、睡眠時間を増やすことより、『脳をオフにできる夜の過ごし方』を見つけて実践することです」
●勘違い2「お酒を飲めば疲れが取れそう…」
「『疲れを取ろう』と夜遅くにお酒を飲む人も多いですが、アルコールは睡眠を浅くし、結果的に回復の質を下げてしまうことがあります。できるだけ避けましょう」
ビジネスパーソンにとって、夜の疲労ケアは思いのほか重要であるようだ。ぜひヒントにして、自分の将来のために取り組みたい。
取材・文/石原亜香利
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