ホンダからとんでもなく”FUN”な電気自動車(以下EV)が誕生した。
軽EVのN-ONE e:をベースに小型車化し、ブリスターフェンダーやワイドトレッド(N-ONE RS仕様比+50mm)、スポーツシート、BOOSTモードで95psを”連続的”に発生させる電動パワーユニット、専用の足回り、185/55R15スポーツタイヤ、仮想有段シフト制御、BOSEのスピーカーから発するアクティブサウンドコントロールなどの熱い走りへと誘うアイテムを満載。
まさにホンダの真骨頂と言っていいコンパクト/スモール、Aセグメントに属するスポーティEVのSuper-ONEである。
シティターボⅡ“ブルドッグ”の再来?
先に「BOOSTモードで95psを”連続的”に」と書いたのは、このSuper-ONEが、80年代の初代ホンダ・シティに1983年に加わったシティターボⅡ、通称ブルドッグの存在があるからだ。インタークーラーターボの追加で110psを得たシティターボⅡには当時、イケイケのホンダらしい「スクランブルブースト」なる機能があり、エンジン回転が3000回転以上のとき、アクセルを全開にすると”10秒間”だけターボの過給圧が約10%アップ。過激でヤンチャな走りを楽しませてくれたのだ。95psを”連続的”に発生させる現代のブルドッグ、Super-ONEのBOOSTモードとの対比で、”連続的”にと記したのである。
今回、そんなSuper-ONEに箱根の山道を中心に乗ることができた。80年代のシティターボⅡを知り、当時、駆け出しモータージャーナリストとして試乗経験もあるボクにとって、懐かしさと新しさが交錯する期待に満ちた試乗であった。
この@DIMEではすでにSuper-ONEの概要についてお伝えしているが、Super-ONEのアウトラインを改めて紹介すると、軽EVのN-ONE e:をベースにブリスターフェンダーで幅広に武装したボディサイズは全長3580×全幅1575×全高1615mm(N-ONE e:は全長3395×全幅1475×全高1545mm)。ホイールベースはN-ONE e:と同じ2520mm。
注文殺到で大人気!209万円で手に入るホンダの最新EV「Super-ONE」の楽しすぎる走り
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N-ONE e:ベースとは思えない進化!95psのBOOSTモードを搭載
電動パワーユニットはバッテリー容量29.6kW、モーター定格出力39kWこそN-ONE e:と変わらないものの、最高出力は軽自動車の枠(最高64ps、47kWの電流制限)から解放された95ps(70kW)をBOOSTモードで達成。モーターのコントロールユニットを設定し直し、バンパー内側に備わる導風ダクトとラジエーターによる強力冷却性能も強化し、95psのパワー、モーターゆえに全域で発生する1.8L NAエンジン並みの大トルク16.5kg-mに対応している。なお、WLTCモードでの一充電走行距離はN-ONE e:の295kmに対して274kmとN-ONE e:と大きく変わらない。何しろ小型車化しても車重は60kg増にとどまっているのだ(1090kg)。
箱根芦ノ湖湖畔にある試乗基地で受け取ったモノグレードのホンダSuper-ONEはメインカラーのブーストバイオレット・パール&ブラック(ルーフが黒く塗り分けられる2トーンカラーは10万4500円のOP)の派手なボディカラーを纏っていた。色の好みは別にして、もっともSuper-ONEらしさを表現しているカラーと言える。というのは、極めつけのBOOSTモードは、ステアリングにある紫色のスイッチで操作し、BOOSTモード専用のメーター照明、LEDインパネラインイルミネーションなどもまた、紫色だからだ。
さて、Super-ONEの運転席に乗り込み、専用スポーツシートに”すっぽり”収まれば、インパネは基本的にN-ONE e:と同様でありながら、Super-ONEならではの3連メーター、スポーツシートの座面と背もたれの硬質パッドによるサイドボルスター(それぞれ+35mm、+20mm)によって、スポーティカーらしい気分が高揚する世界観、気持ちの昂ぶりが得られることになる。ちょっと惜しいのは、ステアリングにチルト機構は付いているもののテレスコピック機構がなく、ドライビングポジションにやや制限があることか。
パワースイッチを押し、電制シフトスイッチをDレンジに入れ、ドライブモードをNORMALにセットして走り出す。ちなみにドライブモードは航続距離を伸ばす効果もあるECO=ECON、シングルペダルコントロール機能によって完全停止まで行えるCITY、NORMAL、3連メーターの中央が回転計となるSPORT、そしてこれのみステアリングスイッチで操作する3連メーターの中央が回転計となるとともにメーター盤面が紫色になるBOOSTモードの5種類から選ぶことができる。
やんちゃなエクステリアとボディカラー、スポーツシートのホールド感から、いきなり獰猛な走りになるかと思いきや、NORMALモードでの走りはEVならではの静かさ、スムーズな加速感に終始。剛性が高められた、軽EVベースのクルマとは到底思えない上質にしてドシリとした、快適な乗り心地を示す。パワーステアリングのスムーズさも文句なしと言っていい。山道に至る路面の荒れた一般道ではロードノイズがやや目立つものの、それはポーティなYOKOHAMA ADVAN FLEVAタイヤを履いているからだろう。ADVANには筆者も履いているADVAN dB V553という静粛性にもこだわったコンフォートタイヤもあるのだが、それではこのSuper-ONEには役不足ということか。
SPORTモードにセットすれば、アクセルレスポンスは高まるものの、加速力がグーンと高まるわけではない。それでも、山道に至る箱根の一般道のカーブでは3連メーターの中央が回転計となる仮想有段シフト制御によって、7段DCTを彷彿させるシフトショックの演出もあるスポーティな変速、加減速が行えることを確認。エンジン音を再現した、BOSEスピーカーから発せられるアクティブサウンドコントロールは「Lo」、つまり控えめなサウンドとなる(路面が悪く、ロードノイズが目立ち始めるとかなり控えめに聴こえる)。
普段は上質、BOOSTでは豹変! 箱根で味わった痛快ワインディング性能
いよいよ箱根のS字カーブが連続し、上り坂も下り坂もある急こう配の山道に入る。ドライブモードはもちろんBOOSTモードにセット。するとどうだ。
疑似エンジンのレブリミットが高まり、高回転に引っ張り気味の伸びやかさある95psの迫力ある加速力に加え、アクティブサウンドコントロールは「Hi」となり、野太い疑似エンジンサウンドを放ち、カーブ手前のパドルシフトを駆使した減速ではウォンウォンというブリッピングサウンドまで聴かせてくれるから痛快すぎる。
そしてワイドトレッド、足回りの剛性UP、185/55R15サイズの高剛性かつハイグリップなスポーツタイヤ、そしてバッテリーパックを車体床下ほぼ中央に配置した低重心、重心位置によって、シャープで安定感たっぷり、路面に張り付くかのようなコーナリング性能を発揮。右へ左へと意のままの操縦性、7速DSGのような疑似変速ショックによる高揚感、文句なしのブレーキフィール、安心感ある制動感を、BOSEならではの低音が効いたアクティブサウンドコントロールとともに楽しませてくれるのだった。
だから山道ではもう、頬が緩みっぱなしである。その過激すぎない刺激性は、一度乗ると、もう病みつきになる中毒性があるように思えたのも本当だ。ただし、遠路、山道を訪れた場合、熱い走りではバッテリーの消耗が激しいので、バッテリー残量のチェックは怠らないこと。
そうそう、アクティブサウンドコントロールが「Hi」となるBOOSTモードでのBOSEスピーカーから発せられる疑似エンジンサウンドについてだが、開発陣に聞くと、シビックtype-Rのサウンドを再現する・・・という案があったものの、EVとのマッチングから、現在の疑似サウンドに落ち着いたとのこと。個人的には、リアルなエンジン音ではなくちょっぴりゲームの中のバーチャルなエンジン音のようにも聞こえるのだが、なるほどである。このサウンドならレースゲームに没頭するゲーマーにもなじみそうだ。ちなみに、コンパクトな電動のサソリ、ABARTH 500eの場合、獰猛なエンジン音は車外にも発せられるのだが、Super-ONEは基本的に車内にのみ聴かせる仕様となっているから、静かな環境下、BOOSTモードで走っても周囲に迷惑はかけない(車外には音漏れ程度)。
そして、BOOSTモードには裏ディスプレーがある。ドライブモードをBOOSTモードにセットした上でメーターをシンプルモードに変更すると、Super-ONEが前に向かってワープするようなアニメーション画像が登場するのだ。
もっとも、急こう配の上り坂では、車重1090kgのライバルEVより圧倒的に軽量な車重、1.8L NAエンジン並みの95psという出力でも余裕しゃくしゃくとは言い難い。
が、その程よいパワー感が、持てるパワーを使い切る楽しみ、Super-ONEの真骨頂と言っていい。
とにもかくにも、視覚、聴覚にも訴えるスポーツフィールこそ、令和の洗練されたシティターボⅡの再来と言えるSuper-ONEの持ち味なのである。つまり、わざわざ山道まで足を伸ばさなくても、日常の中でスポーティな走りを味わうことができるのだ。
その上で、ECONモードで航続距離を伸ばした走り、NORMALモードで上質かつゆったりとした走り、CITYモードのワンペダル走行、SPORTモードでのちょっとした気分転換にもなるスポーティの走りを程よく楽しめるのだから、日々、Super-ONEの様々なキャラクターに出会えることになる。
箱根の山道でSuper-ONEを振り回し、梺に降りると、ドライブモードをNORMALにセット。すると熱い非日常から日常に戻してくれるような平和な走りとなり、EVならではの自在制御がもたらすONとOFFの切り替えが可能になる。
それでも、速度、走りのシーンを問わず、このSuper-ONEがFUNであることに変わりはない。もちろん、オートブレーキホールド機能付きだから、ストップ&ゴーの連続する市街地走行も楽々である。
今、世間で話題になっている、130万円の満額補助金、プレリュードより圧倒的に買いやすい価格だけではなく、ボクらの世代にとってはその懐かしさと新しさ、人車一体感あるサイズ感、そして掛け値なしに痛快極まるドライビングに、久しぶりに熱くなれたのがこのスモール/コンパクトスポーツEVのSuper-ONEであった。EVに抵抗があった人たちにも大いにアピールするであろう、既存のコンパクトEV、プレリュード以上にEVの垣根を取っ払ってくれるホンダ渾身の1台である。
走りだけじゃない! 後席も荷室も実用十分のパッケージ
ところで、Super-ONEのパッケージングについて説明すると、基本的に室内空間は軽乗用EVのN-ONE e:のまま。しかしがっかりすることはない。そもそもN-ONE e:がとびっきり広々とした実用的な室内空間を、軽自動車として極上の走り、快適感とともに備えているからだ。具体的には、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で前席頭上に約190mm、後席頭上に約120mm、膝回りに何と約200mmものスペースがあり、後席に身長180cmの乗員が無理なく乗れるほどなのである。
5:5分割のリヤシートはN-ONE e:のものと同じで、お尻部分のたわみでホールドしてくれるタイプだが、比較的平板だからN-ONE e:同様に、チャイルドシートの固定、愛犬を乗せるにも適している。つまり、Super-ONEは走り屋!?だけでなく、子育て世代、愛犬家に響くFUNカーということだ。その後席はホンダ車の一部でおなじみのトールモードもOK。観葉植物などの背の高い荷物の積み込みにも対応するから便利だ。
荷室もまたN-ONE e:とほぼ変わらない。開口部地上高はタイヤサイズの違いもあってか、実測でN-ONE e:より約10mm低い約560mm。後席使用時のフロアの奥行き約490mm、幅約880mm、最低天井高約880mm、後席格納フロア長約1280mmはN-ONE e:とまったく同一。ただし、Super-ONEは贅沢にもBOSEプレミアムサウンドシステムが標準装備され、シビックの10Lに対して13.1Lもの大容量、大口径のサブウーハーを荷室床下前部に収めるため、N-ONE e:のように床下全体が収納として使えるわけではなく、充電ケーブルや三角表示板を収められる程度の床下収納となる。
最後に、個人的に欲を言えば、アクティブサウンドコントロールのボリウム調整が欲しいのと(ここはアップデートできるかも知れない)、N-ONE e:のシートにボルスターを付加してスポーツシートに仕立てたサイド部分のホールド性は文句なしのフロントシートに、座面の後端部分のたわみがもっとあれば、かけ心地と体重による前後方向のホールド感がさらに増すと思えた。
とはいえ、Google 搭載 9インチ Honda CONNECTディスプレー(SIM搭載、通信料1年無料)+ETC2.0車載器、BOSEプレミアムサウンドシステム、寒い時期の航続距離延長にも役立つ前席シートヒーター、ステアリングヒーター、最新のHonda SENSING、コネクティッド機能などを標準装備して339万円という破格の価格(130万円のCEV補助金後、実質209万0200円)を実現してくれたスポーツEVであり、そこまで贅沢は言えないだろう。
ジャストサイズでもあるホンダSuper-ONEを結論すれば、走り好きかつコンパクトなクルマを望むEV派にはもちろん、エンジン派のユーザーにも勧めたい、手の届きやすさもある、近年のホンダ最高傑作の1台だと断言したい。Google搭載のインフォテイメントシステムやBOSEプレミアムサウンドシステムの”家の離れにリスニングルームを増設”したかのようなリスニング環境、サウンドの良さまでもが標準でついてくるのだから、本当に格安だ!! 新車価格がどんどん高騰し、ボディサイズが拡大している中、まさに救世主となるスポーティEVなのである。
【結論】ホンダ最高傑作の候補? EV派もエンジン派も楽しめる一台
TVCMでも登場し、試乗したSuper-ONEのブーストバイオレット・パール&ブラックのボディカラーを見て、ずいぶん派手、やんちゃに見える・・・と感じる人もいるかも知れないが、であれば、プラチナホワイト・パール、ルミナス・グレー、精悍さを増すクリスタルブラック・パールなどのボディカラーもあるから安心してほしい。ボクが選ぶとしたら、プラチナホワイト・パール&ブラックだろうか。
最後に、ホンダSuper-ONEのシティターボⅡをオマージュした純正アクセサリー、そしてEVに不可欠な純正アクセサリーを紹介しよう。
●デカール BULLDOG
フロントバンパー用、フロントドア用、テールゲート用が揃う80年代のシティターボⅡをオマージュしたBULLDOGのデカール。
●デカール センターストライプ
Super-ONEにレーシーなアクセントを添える、マットグレーのボンネット・ルーフ・テールゲート(アッパー)・テールゲートスポイラー用のストライプ。
●充電ケーブル/100V充電アダプター
EVに充電する際の必需品。EV充電用200Vコンセントに差して使用。
●AC外部給電器(Honda Power Supply Connector)AC100V/最大1500W
Super-ONEに車内装備のAC100V/1500Wコンセントの設定はないものの、このAC外部給電器を用意すればEVの普通充電ポートに差し込むと、本体後部のコンセントからAC100V/1500Wの電気が取り出せ、アウトドアでの使用はもちろん、停電時などの万一の際に、さまざまな電化製品が使えるようになる。
●充電インジケーター
センターパネルの上に取り付け。充電時・給電時・ドアロック操作時に4段階のLEDランプ表示で車外からでもバッテリーの残量確認が可能。LEDランプの点灯で充電器・給電器が正しく接続されているかもひと目で分かり、コネクターの接続ミスの防止にも役立つ。AC外部給電器とセットで装備するとより安心だ。
もちろん、愛犬用アクセサリーの「Honda Dogシリーズ」にあるペットシートマット、ペットシートサークルなども後席に対応するから、愛犬とのドライブも快適・安全に行えるに違いない。
文/青山尚暉 写真/青山尚暉、ホンダ







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