軽商用EVのN-VAN e:、軽乗用EVのN-ONE e:に続く、ホンダの軽・小型EVの第3弾として登場したのが、今、話題騒然の「ホンダらしいFUNなEV」であるSuper-ONEだ。しかも、軽EVのN-ONE e:をベースにしながら、白ナンバーの小型車枠として、EV×スポーティーという新ジャンルに踏み込んだのがSuper-ONEらしさである。
強力な電動パワーの持ち味をチェック
そのエクステリアは全長3850×全幅1575×全高1615mm(N-ONE e:は全長3395×全幅1475×全高1545mm)、ホイールベースはN-ONE e:と同じ2520mm。しかしトレッドを50mm広げ、それを強調する、かつてのホンダ・シティターボⅡを彷彿させるハイコントラストサーフェスなブリスターフェンダーで武装。タイヤも軽自動車には装着できない185/55R15サイズのヨコハマADVAN FLEVというハイパフォーマンススポーティタイヤをデジタルアイコニックなベルリナブラックのアルミホイールと組み合わせている。
それだけではない。専用セッティングされた足回りにはフロントに専用アルミ鍛造ロアーアーム、左右等剛性ドライブシャフトを用い、ハブ剛性をUP。リアも強化リアアクスルビームを採用し、ブレーキもフロントディスクを13インチから14インチにUPし、リヤドラムブレーキのピストン径はφ15mmからφ19mm(直径)へとサイズUPされている徹底ぶり。185/55R15サイズのスポーツタイヤを生かし切る足回りとなっているのだ。結果、N ONE RS比で専用シャシーの接地点横剛性はフロント約37%UP、リア約57%UPとなる。
電動パワーユニットは小型e-Axle、N-ONE e:と同じ29.6kWh低ハイトバッテリーパックを車体床下ほぼ中央に配置し組み合わせているが、そのコンパクトさから車重はN-ONE e:の1030kgに対して60kg増でしかない1090kgに抑えられている。つまり、同クラスのEVと比べ、250~300kgも軽量に仕上げられているわけだ。低重心、ワイドトレッド、スポーツタイヤの組み合わせでスポーティーな走り、旋回性能が可能になるのはもちろんだ。
さらに、29.6kWhのバッテリーや定格出力39kWのモーターをN-ONE e:と共用としながらも、軽自動車の64ps自主規制、47kW相当の電流制限から解放された最大70Kw=約100psをBOOOSTモードで実現。BOOOSTモードでは発熱をバンパー内側に備わる導風ダクト、ラジエーターで強力冷却する仕組みまで取り入れているのだ。
その強力な電動パワーの持ち味を生かすのが、BOOSTモードでの仮想有段シフト制御だ。ギア段毎駆動力とエンジン回転を設定し、上限回転数UPでエンジンが突き抜けるかのように伸びやかなパワーフィールを味わせてくれるというわけだ。合わせてスポーツアダプティブ制御によって、シーンに応じた最適なギア段を選択。アーリーDOWN制御、コーナリングホールド制御も盛り込まれている変速時のキレのあるG変化、DOWNシフト時のブリッピング、エンジンサウンドを模したアクティブなサウンドコントロール(低音~高音。高回転時の加速伸び感をセンタースピーカーで。低回転から高回転の音の厚みの表現を4つのドアスピーカーで)まで演出されているのだからたまらない。
メリハリある走りを実現!
そんなSuper-ONEには計器を彷彿させるクラシカルさある3連メーター(基本は左からバッテリー温度/瞬間電費計/パワーメーター)とともに、普段の運転からスポーティーなドライビングシーンに対応する4種類のドライブモードが備わっている。具体的にはホンダ車ではおなじみのエコ運転に適し、イザというときに航続距離を延長させる「ECON」、街乗りに適する完全停止まで行えるワンペダル走行を可能にした「CITY」、走りやすさを追求した日常向けの「NORMAL」、3連メーターの中央がタコメーター(仮想エンジン回転計)に変わり、日常の中での気晴らしにもなるレスポンシブルな走りが可能となる、高速走行にも向く「SPORT」、そしてSuper-ONEならではの、3連メーターの中央がタコメーターになるとともにメーター画面がパープル色に染まる、レブリミットを「SPORT」比で30%拡大し約100psを発生させる、これのみステアリングのパープル色のスイッチで操作する「BOOST」モードが選択できる。「BOOST」モードでは、パドルシフトが仮想有段シフト制御のギア段の変速モード/固定パドルとしても機能するためメリハリある走りが実現するからゴキゲンだ。
室内空間、パッケージについてはN-ONE e:と基本的に変わらないものの、フロントシートはSuper-ONE専用のサブボルスター形状(背もたれサイド+20mm、座面サイド+30mm/N-ONE e:比)が与えられた高いサポート性を持つ3トーンの本格スポーツシートが備わるなど、ドアを開けた瞬間から、スポーツシートに身を預けた瞬間から、Super-ONEの熱い走りの世界に誘われることになる。
ここで、令和のブルドッグのようなコンパクトなスポーティカーだけに、EVとしての電費、一充電走行距離は、例えばN-ONE e:に対して著しく悪化しているのでは・・・という疑問が湧くかもしれない。が、その心配は無用だ。WLTCモードの一充電走行距離は60kg軽量なN-ONE e:の295kmに対してこちらは274kmと約8%減でしかなく、電費も開発陣の説明によれば、どのモードであれ、フツーに走っているぶんにはN-ONE e:と変わらないとのこと。もっとも、BOOSTモードでブイブイ、ガンガン走らせれば電費が悪化するのはもちろんだ。なお、充電はN-ONE e:同様、200Vの普通充電ポートと50kW対応の急速充電ポートがフロントグリル部分に備わり、自宅などでの基礎充電、高速道路のSA/PAなどでの経路充電、目的地充電に対応する。200V/6kWの普通充電では約4.5時間で満充電に。50Kwの急速充電では約30分で80%程度までの充電が可能だという。
補助金で、実質209万で手に入る!
そんなSuper-ONEが世間を騒がせている車両本体とは別の理由が、実質購入価格だ。何しろSuper-ONEはGoogle 搭載 9インチ Honda CONNECTディスプレー(SIM搭載、通信料1年無料)+ETC2.0車載器、BOSEプレミアムサウンドシステム、寒い時期の航続距離延長にも役立つ前席シートヒーター、ステアリングヒーターなどを標準装備し、FFのモノグレードで車両本体価格339.02万円~だが、令和8年度の国からのCEV補助金額は上限の130万円!! 軽自動車のN-ONE e:の補助金58万円の倍以上になる。つまり、申請によって購入後に補助される130万円を差し引くと、実質209万0200円。軽EVのN-ONE e:は58万円の補助金を差し引いても319.88万円のLグレードが261万8800円、269.94万円のGグレードでも211万9400円(自家用車としての使用)と、そもそもSuper-ONEの割安な価格設定だけに、130万円もの補助金によって実質購入価格が逆転してしまう異常事態なのである。いや、軽ガソリンターボ車のN ONEプレミアムツアラーの217万3600円よりも小型車のSuper-ONEのほうが安く買えるのだからびっくりである。Super-ONEをきっかけに、EVを敬遠していた人が「この実質価格で走りの楽しいEVなら買ってもいいかも」と決断してしまうのもなるほどだ。
ゆえに、4月16日のオーダー開始からすでに8000台以上の受注となり、6月中旬時点で年内納車が微妙なほど売れに売れているのも納得だ(増産するかも)。1983年10月に発売されたシティターボⅡブルドッグ憧れ、あるいは所有していた中高年にとってはシティターボⅡブルドッグの現代版、EV版として懐かしくも新鮮で惹かれること間違いなし。そのちょっぴりヤンチャなスタイリングやメーター、アクティブサウンドコントロールなどによるバーチャルな魅力を備えているため、財布の軽い若いユーザーにもウケること必至ではないだろうか。
ホンダ「Super-ONE」推しポイントまとめ
最後にSuper-ONEのポイントをまとめると
1.80年代にあったシティターボⅡブルドッグを彷彿させる”ヤンチャなEV”という新鮮なキャラクター
2.軽EVのN-ONE e:をベースに小型車化しワイドトレッド、ブリスターフェンダーを与えたちょいワルなエクステリア
3.スポーツモデルとして徹底したチューニングが施された足回り
4.5種あるドライブモードのBOOSTモードで約100psを発生させる電動パワーユニット
5. 仮想有段シフト制御とアクティブサウンドコントロールでエンジン+ミッション+を備えたクルマのような痛快な加速感&サウンド&ブリッピング音の演出
6.Google搭載の9インチデイスプレー、ETC、BOSEプレミアムサウンドシステム、シート&ステアリングヒーター、スポーツシートなどを標準装備して実質209万0200円(補助金130万円)のスーパープライス
7.室内の広さ、パッケージングは軽EVのN-ONE e:を引き継ぐ(特に後席はN-ONE e:そのもので4人乗り)
8.ホンダ最新の先進運転支援機能=Honda SENSINGやコネクティッド機能搭載
・・・ということになるだろうか。
今回のSuper-ONEについての想像を超えた内容の報告はここまで。具体的な室内空間、荷室の広さ、使い勝手、Google搭載のインフォテイメントシステムの便利さ、箱根の山道を走り回った、BOOSTモードでリトルモンスターに変身する、ゴキゲンすぎる走りのインプレッションなどは改めてお伝えすることにしたい。
文・写真/青山尚暉







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