名刺入れを開いたら、いつのまにか残り枚数が心もとない。逆に、もらった名刺は机の上に積み上がり、データ化は後回し。名刺交換そのものは大事にしたいのに、その前後の管理が少し面倒に感じてしまうことも多い。
そこで半年ほど前から使い始めたのが、デジタル名刺の「プレーリーカード」。スマホにかざすだけで自分のプロフィールを相手に渡せる、NFC内蔵のカード型デジタル名刺である。累計利用者数は250万人を超えているという(※2026年3月時点)。
ただし、単に「新しいガジェット」として面白いだけなら、仕事道具として使い続ける理由にはならない。実際に半年ほど使ってみると、「これは紙の名刺を置き換えるもの」というより、それだけでは伝えきれない情報まで、その場で渡せるツールだと感じるようになった。
今回は、ライター・編集者として、そして自宅の一部をハウススタジオとして貸し出している立場から、「プレーリーカード」を仕事の現場で使ってみたリアルな感想を紹介する。
そもそも「プレーリーカード」とは何か?
「プレーリーカード」の仕組みはとてもシンプルだ。
クレジットカードサイズのカードにNFCチップが内蔵されており、相手のスマホにかざすと、自分のプロフィールページがブラウザ上で開く。そこに載せられるのは、氏名や連絡先だけではない。SNS、経歴、ポートフォリオ、Webサイト、動画など、紙の名刺には収まりきらない情報をまとめておけるのが特長だ。
受け取る側は、専用アプリを入れる必要がない。NFC対応のスマホで読み取れない場合でも、マイページ上のQRコードで共有できる。そのため、「せっかく出したのに相手が見られなかった」という場面は起きにくい印象だった。
カードは買い切り型で、月額料金は不要。プロフィールの内容はスマホからいつでも編集でき、更新内容はリアルタイムに反映される。肩書きが変わったり、新しいSNSやポートフォリオページを追加したりしても、紙のように刷り直す必要はない。
素材はPVCで、厚みやサイズ感はクレジットカードに近い。財布やカードケースにもすっと収まる。テンプレートデザインのほか、オリジナルデザインでも作れるため、「持っていて気分が上がる名刺」としての楽しさもある。
一番役立ったのは、ハウススタジオの現場だった
私が「プレーリーカード」をいちばん便利だと感じたのは、意外にもハウススタジオの現場だった。
私はライターや編集の仕事と並行して、自宅の一部を撮影用のハウススタジオとして貸し出している。撮影で来た人と、その日初めて顔を合わせることも少なくない。
撮影がひと段落して、少し場の空気がゆるんだタイミング。「そういえば、連絡先を交換しておきましょうか」という流れになることがある。そんなとき、紙の名刺を探して財布を開く代わりに、「これ、スマホにかざしてもらえますか?」とカードを差し出す。それだけで、相手のスマホに自分のプロフィールページが開く。
このページからアクセスできるWantedlyのプロフィールには、私がこれまで書いてきた記事や、撮影の作例、仕事の概要などをまとめている。すると相手は、その場で「こういう記事を書かれているんですね」「写真も撮られるんですね」と反応してくれる。紙の名刺を受け取って、後日名前を検索して、サイトを見てもらうというワンクッションがない。
紙の名刺でも、もちろん会話は生まれる。ただ、そこに載せられる情報量には限界がある。肩書きが「編集者」「ライター」だけでは、実際にどんな仕事をしているのかまでは伝わりにくいものだ。
その点、「プレーリーカード」は、初対面の相手に対して“自分の仕事の入口”をその場で見せられる。いわば、持ち歩けるプロフィールサイト。名刺でありながら、ポートフォリオの入口にもなる感覚である。
展示会や交流会では「枚数を気にしない」快適さがある
スタジオ以外でも便利だったのが、展示会や交流会、商談の場だ。
展示会のように、短い時間で何人もの人と名刺交換をする場では、紙の名刺はどんどん減っていく。残り枚数を気にしながら配るのは、地味にストレスだ。会場に着いてから「名刺、思ったより少ないかも」と気づいたときの不安は、ビジネスパーソンなら一度は経験があるのではないだろうか。
「プレーリーカード」なら、カードは1枚で済む。何人にかざしてもらっても減らないので、名刺の在庫を気にする必要がない。些細なことのようだが、実際に使うとこの身軽さはかなり快適だった。
商談の場でも使いどころがある。たとえば、込み入った提案の席で「あとで詳しい資料を送ります」となる場面。プロフィールページに実績や資料、サービス紹介ページへのリンクをまとめておけば、その場で相手に確認してもらえる。
もちろん、正式な資料送付はメールで行うとしても、初回接点の段階で「この人は何をしている人なのか」「どんな実績があるのか」を見てもらえるのは大きい。後日メールを送ったときにも、「あのとき見たページの人」として思い出してもらいやすくなる。
さらに、Eight、Sansan、myBridgeなどの名刺管理ツールとの連携にも対応。紙の名刺のように、受け取ったあとでスキャンする手間が発生しにくいのも、日々の管理を軽くしてくれるポイントだ。
とはいえ、紙の名刺が不要になるわけではない
ここまで良い面を書いてきたが、正直に言えば、「プレーリーカード」1枚ですべてが置き換わるわけではない。
たとえば、かっちりした商談や、目上の方が多い席では、いまでも紙の名刺が場の作法として機能している。両手で差し出し、受け取り、机に並べる。あの一連の所作には、デジタルにはない丁寧さがある。
また、相手がNFCに慣れていなさそうな場合、いきなり「スマホをかざしてください」と伝えると、少し戸惑わせてしまうこともあるだろう。特にフォーマルな場では、紙の名刺を先に出したほうが自然なケースも多いはずだ。
そのため私は、紙の名刺も併用している。
クリエイティブ系の現場や、フラットな雰囲気の打ち合わせ、撮影現場、交流会では「プレーリーカード」。一方で、フォーマルな商談や、紙の名刺交換が前提になっている場では従来の名刺。そんな使い分けに落ち着いた。
「プレーリーカード」は、紙の名刺を捨てさせる道具ではない。紙では渡しきれなかった情報を、出会ったその場で渡せるようにする道具だ。そう捉えると、使いどころがかなりはっきりする。
環境への配慮も、選ぶ理由のひとつになる
もうひとつ、使っていて気持ちがいいのが、紙名刺の削減につながるという点だ。
名刺は、意外と無駄が出やすい。肩書きや住所、メールアドレスが変われば、まだ残っている名刺を使えなくなることもある。デザインを変更したくなったときも、紙なら刷り直しが必要だ。
その点、「プレーリーカード」はプロフィール情報を後から更新できるため、印刷し直す必要がない。紙の名刺を大量に持ち歩く必要がなくなり、使い切れずに処分することも減らせる。
また、同サービスでは、利用回数に応じて森林保全団体へ寄付するグリーンドネーションプログラムも展開している。毎日使う仕事道具に、こうした背景があるのは悪くない。
「便利だから使う」が最初の理由でも、結果として紙の無駄を減らせる。そういう自然な環境配慮のあり方は、今のビジネスシーンにも合っているように感じる。
紙の名刺を補い、仕事の中身まで伝える一枚
半年使って感じたのは、「プレーリーカード」は紙の名刺を置き換えるものではなく、名刺交換を補ってくれる道具だということだ。
特に相性がいいのは、自分の仕事の中身を見せたい人だろう。たとえば、ライターや編集者、デザイナー、フォトグラファー、動画クリエイター、建築家、コンサルタント、講師、店舗オーナーなど。ポートフォリオや実績、SNS、予約ページを見てもらうことで、相手に伝わる情報量が大きく変わる人にはかなり向いている。
もちろん、フォーマルな商談が中心で、紙の名刺交換の作法が深く根づいている環境なら、無理に置き換える必要はない。名刺入れに「もう1枚の選択肢」として入れておき、相手や場面に応じて使い分けるくらいが、ちょうどいい距離感だろう。
「プレーリーカード」が1枚あるだけで、初対面で自分を知ってもらうためのひと手間はかなり軽くなる。紙の名刺に少し不便を感じている人や、自分の仕事をもっと自然に見せたい人には、一度試してみる価値がある。







DIME MAGAZINE





















