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改正労働安全衛生規則の施行から1年、企業の熱中症対策はどう変わった?

2026.06.16

気候変動による気温上昇に伴い、職場での熱中症発生が年々増加している。厚生労働省の調査では、2025年の「職場における熱中症による死傷者数」は1681人で、2016年の462人から3倍以上と想定されている。

そういった現状を受けて、対象になる条件の職場における熱中症対策は「努力義務」から「罰則付きの法的義務」とする改正労働安全衛生規則が2025年6月1日に施行された。この改正によって、WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境で連続1時間以上または1日4時間を超える作業を行う場合は熱中症対策が義務付けられて、違反した場合は6か月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる可能性がある。施行から1年が経過し、宅配水サービスのクリクラなどを展開するナックは、現場・製造などの職種を抱える会社の労務担当者に『職場の“暑さ対策”実態調査』を実施して結果を公開した。それによれば、労務担当者の約9割が職場の熱中症対策義務化を認知していたにも関わらず、約2割が罰則の存在を「まったく知らない」という実態が明らかになった。

熱中症対策義務化の認知は約9割も理解の深さに課題

熱中症対策義務化については、「詳しく知っている」(41.6%)と「なんとなく知っている」(44.8%)を合わせると86.4%が義務化を認知していた。ただ最多の回答が「なんとなく知っている」だったので、制度の存在は浸透しているが、自社への影響や具体的な施策までは理解できていない企業が一定数存在している。

約2割が義務違反の罰則を「まったく知らない」

義務違反時の罰則では、「なんとなく知っている」(51.8%)と「くわしく知っている」(30.0%)を合わせると8割以上だった。「くわしく知っている」に関しては3割なので、罰則の重さや具体的なリスクを正確に認識している企業はそこまで多くないと思われる。義務化の認知度と比較して「なんとなく知っている」と「まったく知らない」の割合も高いので、“義務化は知っているものの罰則の存在は知らない”企業が多い印象だ。

暑さ対策は空調中心で水分補給対策は約半数

実施している熱中症対策は、「エアコン・空調管理」(68.6%)がもっとも高く、次いで「水・飲料の常備」(51.0%)だった。空調設備などの環境対策は進んでいたが、水分補給といった行動面の対策は半数程度だった。「特になし」と回答した人も6.8%だったが、一定数の企業では対策が万全とはいえない状況だと推察される。

義務化後は水分・空調対策強化は多数だが3割は追加対応せず

改正以降に新たに始めた対策では、「水・飲料の常備」(31.8%)が最多で、2位は「エアコン・空調管理」(30.4%)だった。義務化を契機に水分補給環境の整備に着手する企業が増えている結果になった。「特になし」と回答した人は27.0%で、義務化から1年が経過した現在も追加対応をしていない企業もまだ高い水準といえる。

空調と水分補給が“強化ニーズが高い分野”

強化したい対策では、「空調設備の拡充」(16.2%)と「無料で飲める水・飲料の用意」(16.2%)が同率トップだった。水分補給環境の整備が“最優先課題のひとつ”として認識はされているが、水分対策の実施率が約半数にとどまっているので、企業側の「重要だと分かっているが十分に整備できていない」というギャップも感じられる。「特になし」も12.4%で、新しい対策を実施する予定のない企業もまだまだ一定数存在している。

クリクラの黒木秀一郎氏は、企業の暑さ対策の現状について次のようにコメントしている。「年々暑さが厳しさを増す中、企業の暑さ対策への意識は確実に高まっています。近年では、単なる「気配り」や福利厚生ではなく、労働環境整備・安全配慮義務の一環として捉えられるケースが増えています。一方で水分補給は従業員任せとなっているケースも多く、環境整備にはばらつきが見られます。“誰でも・いつでも・手軽に水分補給できる環境”を整えたいというニーズから、ウォーターサーバーの導入を検討される法人が増えている印象です。実際にクリクラの法人導入台数も増加しており、2025年4月から2025年9月末は過去3年の平均に比べて154%の増加となりました」

黒木氏によれば、水分補給は「本人任せ」ではなく会社として仕組み化することが重要だという。特に暑い時期の職場は、忙しいと水分補給を忘れてしまうという現実があり、ウォーターサーバーのように目につく場所に水分補給設備を置くなど心理的にも行動的にも水分補給しやすい環境作りが結果的に体調管理や集中力維持につながるという。2026年は昨年以上の暑さが想定されており、企業側が環境と行動の両面で具体的な暑さ対策を整える必要がありそうだ。

『職場の‟暑さ対策“実態調査』概要

調査対象:全国の20代~60代男女のうち、現場・製造などの職種を抱える会社の労務担当500名
調査期間:2026年4月28日~2026年5月1日
調査方法:インターネット調査
https://www.nacoo.com/topics/

構成/KUMU

30年以上暮らした東京から実家に戻った地方在住フリーライター。得意分野は、ゲーム、アニメ、マンガやIT&デジタル関連など。自宅でリモート取材や自宅作業が増えたので、20年以上ぶりにフル自作PCを作成して活用中。最近の取り組みは、実家で発掘したセガマークⅢ以降の昭和から平成のゲーム機が動くか点検すること。

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