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充実装備で驚きの価格!マツダの新型「CX-5」試乗レポート

2026.06.13

それにしても、約9年ぶりに新型、3代目となったマツダCX-5の価格には驚かされた。2.5Lエンジン+モーターのマイルドハイブリッドのパワーユニットを搭載し、ベースグレードのS=330万円、中間グレードのG=352万円、最上級グレードのL=407万円なのだから。しかも、これまでのマツダ最大サイズの12.9インチ(S/G)、または15.6インチ(L)、の大型ディスプレイとGoogle、車載通信機などを標準搭載し、360度ビューモニター+シースルービュー、プロアクティブドライビングアシストなどまで含まれているのである。とくに最上級グレードのLはパドルシフトのほか、運転席&助手席パワーシート、前後シートヒーター、運転席&助手席シートベンチレーション、パワーリフトゲート、BOSEサウンドシステム(12スピーカー)などの装備の充実度にも目を見晴らされるものがある。マツダはその価格設定を「ストロングプライス」と呼んでいるが、まさにその通りである。

新型マツダCX-5の乗り心地は?

新型CX-5の概要についてはすでにこの@DIMEで紹介済みだが、ここでは4WDモデルの市街地、高速道路、ちょっとした山道を試乗した印象をお届けしたい。

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その前に、新型CX-5の下剋上的な車内空間=パッケージングについて触れたい。新型はボディサイズ、ホイールベースを拡大しているのだが、新旧CX-5同士の比較では、前席の頭上空間に関しては不変ながら、後席は頭上空間で29mm、膝回り空間で64mmもの拡大が図られ、膝回り空間については上位車種のCX-60をも大幅に上回っているのである。しかも、リヤドアの開口前後長が先代モデルに対して75mm、開口高も37mm増え、サイドシル地上高が先代より約20mm低くなっている(490mm→470mm)ため、後席の乗降性を格段に向上させているのも見どころだ。

フルドア採用でサイドシルが汚れにくい

ここで、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で後席に着座してみると、頭上に170mm(先代155mm)、膝回りになんと足がゆったりと組める275mm(先代190mm、CX-8最大250mm)ものスペースがある。後席シートサイズは変わらないものの、一段と快適な後席居住空間が得られたことは間違いない。後席にはセンターコンソール後端にエアコン吹き出し口とUSB-C×2、シートヒータースイッチ(Lに標準、GはOP)も完備する。

後席にはエアコン吹き出し口とシートヒーター、USB完備

さて、今回試乗したのはLグレードとGグレードの4WDモデルだ(配車の関係で2WDには乗れず)。どちらも2.5Lエンジン178ps、24.2kg-m+モーター6.5ps、6.2kg-mのマイルドハイブリッドのパワーユニット、6AT、225/55R19サイズのタイヤ(専用開発されたブリヂストン・アレンザ)は共通だが、車重は装備差からLがパノラマルーフ付きで1770kg、Gがパノラマルーフ(選択不可)なしで1740kgと30kgの重量差があるとともに、Lはシートベンチレーションも備わる本革シート、Gはファブリックシートという装備の違いがある。実はその重量差、装備差が走りの印象を異なるものにした可能性があるので、覚えておいていただきたい。

まずはLグレードの4WDモデルを走らせる。運転席に乗り込めば、水平基調のインパネデザインのすっきり感、細まったAピラーによる視界の良さ、そして何といってもLグレードのみの15.6インチセンターディスプレイによる新型らしさが印象的だ。暑い時期に嬉しいシートベンチレーションも備えるレザーシートはレザー表皮でありながら座面のたわみが絶妙で、背中の密着感、ホールド感、つまり包まれ感に優れ、安定した姿勢で座れるところが好印象。マツダは以前から前席の欧州車的かけ心地の良さで定評があるが、マツダ3以降に感じられた、標準的日本人体型、体重でもしっかりとたわみサポートしてくれるマツダのレザーシートは(筆者は65kg)は張りの硬いドイツ車のレザーシートとは別物の快適感があり、直感でこのシートなら長時間の着座、ロングドライブでも疲れにくそうだと思えたのも本当だ。

ドライブモードはノーマル・スポーツ・オフロードの3種類。もちろん、デフォルトのノーマルで走り出すわけだが、そのスイッチがセンターコンソールではなく、ステアリングコラム右側の統合ステアリング静電スイッチにあり、ステアリングから手を離さずに操作できる点に注目だ(ディスプレイでも操作可)。

走り出しはマツダの説明通り、「軽快感と人車一体感」あるものだ。停止からの緩加速ではフルハイブリッドのようなモーター駆動力の大きさによるスムーズさや先代CX-5にあった2.2Lクリーンディーゼルエンジンほどの厚みあるトルク感こそ感じられないものの、微力ながらもモーターアシストの力を借りて軽やかに走り出す。パワーステアリングは先代の低速域での重さが解消された軽めの操舵感を示し、なるほど、軽快感ある操縦感覚がある。欲を言えば、走り出しの動的質感、微低速時のアクセル操作でのドライバビリティがもう少し高められればなおいいとも感じられた。一般道では新採用のプロアクティブドライビングアシストがいい。歩行者/自転車、駐車車両に対する操舵・減速支援、右左折時減速支援、ACCなしで先行車や前方のカーブに対しての減速操作などをサポートしてくれる機能で、一般道での安心・安全に大きく貢献してくれるのだ。つまり、運転時の「ヒヤリ」が減ることになる。

乗り心地はスプリングを硬めにセッティングした先代モデルの「荒れた路面や継ぎ目の多い道路では硬さや突き上げを感じ乗り心地が硬め」というユーザーの声を反映し、サイズアップしたダンパーの内部構造の最適化によって応答性を向上させ、ダンパーの動き始めから減衰力を発生させるセッティングに変更。そのおかげでスプリングを柔らかくでき、乗り心地を向上させている・・・というのがマツダの説明だ。実際、ほとんどの走行シーンでフラットな姿勢を保ちつつ、良路での乗り心地はいたってスムーズで快適だ。ただし、荒れた路面、首都高のジョイント通過時にはややゴツゴツしたタッチ=振動と音が気になる場面もあるにはあった。

この新型ではファミリーユースを念頭としたディリーコンフォートも開発コンセプトのひとつとなっているが、高速走行での風切り音が見事に抑えられている一方、荒れた路面、アスファルト舗装の粒の大きい路面でのロードノイズは最新車種としてはやや大きめに感じられた。いや、正確に言えば、良路での文句なしの車内の静かさ=ロードノイズの小ささと、荒れた路面でのロードノイズの大きさの差が大きく、気になってしまいがちなのだ。ブリヂストンのSUV専用タイヤであるアレンザが、最新の静音性能重視の「LX200」ではなく、運動性能重視かつ専用設計された「001」であることもその理由、マツダらしさだと考えられる(新型CX-5の開発時点で2026年2月発売の「LX200」はなかった?)。ちなみに新型CX-5にはアクティブサウンドコントロールを備えているが、スポーツモードでの力強いサウンドを演出するのが基本で、音は出すが、音は消さない、他車にあるアクティブノイズコントロールとは別の仕様となっている。コストのかかる(重量増も)防音、遮音性能に関しては、「ストロングプライス」の価格を考えれば納得の範囲かも知れない・・・。

画像はイメージ

もちろん、フルハイブリッドではないから、駆動力は基本的に2.5Lエンジンが担う。1770kgの車重、4WDであることを感じさせない伸びやかな回転上昇、爽やかとも言える加速を味わせてくれる一方、高回転域まで回した際の室内に侵入するエンジンノイズは決して耳障りではないものの小さくはない。実は、このあと乗ったGグレードのほうが静かに感じられたのだが、その推測理由は後述する。

今回は、一部、山道的なカーブの連続するコースもあり、そこではスポーツモードを試した。アクセルレスポンスの高まりは当然として、スムーズな6ATの変速とステアリングフィール、前輪からステアリングに伝わる確実なインフォメーション、穏やかで安心感あるロール感とともに感じられる4輪の路面に吸い付くかのような接地性、Lグレードのみに備わるパドルシフトによるキビキビとした走り(ブレーキを踏むよりスムーズな減速を含む)、そしてコントロール性に優れたブレーキフィールを確認することができた。SUVはその車高、最低地上高の余裕(新型CX-5は205mm)から重心が高くなりがちだが、フロアは先代より46mm下がり、SUVらしい爽快な視界を確保しつつ、重心を感じにくい走りをカーブ、山道、高速レーンチェンジで可能にしてくれたというわけだ。そう、マツダが提唱する人馬一体感である。運動性能重視のブリヂストン・アレンザ「001」というタイヤのチョイスも、なるほどと思わせる。

画像はイメージ

山道を抜け、ドライブモードをスポーツモードからノーマルモードへの切り替えがステアリングスイッチで行えるのは確かに便利で安全。ただし、メーター内のドライブモードの表記は小さく、確認しづらいのが気になると言えば気になった(老眼だとなおさらだ)。

高速走行では4WDならではの直進性の良さとクルージング&トラフィック・サポートによる追従走行機能とハンドルアシスト機能、ACCの作動の確かさとスムーズな所作を確認。渋滞時ハンズオフアシスト機能(Lに標準、GはOP)は運よく!? 渋滞に遭遇せず、未体験だが、渋滞に巻き込まれた時のドライバーの快適度、ストレス低減に大いに役立つに違いない。

次に試乗したのはパドルシフトや本革シート、パノラマサンルーフのOPなどが省かれるものの、マイルドハイブリッドのパワートレーンやタイヤサイズなどは変わらない、Lグレードより車重が30kg軽いGグレードの4WDである。

こちらはファブリックシートになり、Lグレードのシートとどちらがより快適に感じられたかと言えば、Lグレードのレザーシートに軍配が上がるが(マツダ車の場合)、それでも座り心地に大きな差はない。センターディスプレイはLグレードの15.6インチから12.9インチになるものの、それで十分、これまでのマツダのセンターディスプレイの小ささから比べれば隔世の感がある。

12.9インチのセンターディスプレイ

ここでは直前に乗った、同じ4WDのLグレードとの走行感覚の違いにフォーカスすれば、基本的な走行性能に違いはないものの、軽快さがさらに増した印象で、なおかつ路面を問わない車内の静かさについてはこちらが上だったのだ。その最大の理由が、同じサイズ、同銘柄のタイヤを履いていながら、ロードノイズとエンジンノイズの車内への侵入が小さく感じられたこと。もちろん、両車で車両の遮音、防音性は変わらないはずだ。

ではなぜそう感じさせるのか。考えられるのはまずGグレードは30kgとはいえ、車重が軽いこと。その分、同じ加速、速度を得るためのアクセルペダルの踏み量が異なるからだ。そして意外かも知れないが、シート素材とパノラマサンルーフの有無だ。ファブリックシートのほうが音の吸収性で上回り、ガラス素材のパノラマサンルーフ装着車より天井内張がファブリックになるほうが、これまた車内の音の吸収性に優れるからだと推測できる。開発陣によれば、車重が70kg軽い、残念ながら未試乗の2WDモデルのほうが「静かに感じられるかも知れない」という説明もあった。

今回は4WDのみの試乗ではあったものの、新型としての走行性能(主に乗り心地の進化)、燃費性能、快適感、Google搭載によるコネクティッド機能、使い勝手、そして何といっても「ストロングプライス」な価格設定を含めたトータルの商品力は格段に向上していると思える。とくに後席の使用頻度の多いユーザーにとっては、このクラスのSUVとして選択肢の上位に挙がるに違いない。何しろ後席足元は上位のCX-60より広いのだ。アピアランスで気になったリヤホイールハウスとタイヤの隙間の大きさは開発陣が「要改良ポイント」として認識しているそうなので、ここはそれを信じたい。購入検討時には、できればオールラウンダーな4WDと街乗り、オンロードメインの使用に適する2WD、LとGグレードに試乗し、予算はもちろん、その動的質感の違い、静粛性の違いを自身の使い方を念頭に確認することをお勧めしたい。もっとも、ロングツアラー性能、高速・山道を含めた安定感、悪路走破性で4WDに軍配が上がるのはこのCX-5でなくてもそうなるはずだ。

最後に現在のマツダSUVのラインナップでCX-5に近いCX-60と比較してみれば、ボディサイズはCX-5が全長4690×全幅1860×全高1695mm。ホイールベース2815mm。CX-60は同4760×1890×1685mm。ホイールベース2870mm。パワーユニットはCX-5がマイルドハイブリッドのみで2.5Lエンジン178ps、242.kg-m、モーター6.5ps、6.2kg-m。車重2WD 1670kg、4WD 1740kg(G)。WLTCモード燃費2WD15.2km/L、4WD14.2km/L。比較対象としてCX-60の2.5L NAモデルは186ps、25.5kg-m。車重2WD 1730kg、4WD 1770kg(25S)。WLTCモード燃費は2WDが14.1km/L、4WDが13.0km/Lとなる。価格はCX-5の中間グレード、”買うならこのグレード以上”と思えるGが2WDで352万円、4WDが375.65万円。CX-60 でもっとも安い25S Lパッケージの2WDが382.8万円、4WDが405.35万円だ。日本の路上にジャストなサイズ、センターディスプレイの大きさ、Google搭載などを含め、マイルドハイブリッド採用によるコスパはもうゴイスーと言うしかない。2027年度中に追加される予定のフルハイブリッド、スカイアクティブZが加われば、さらなるストロングなラインナップになるに違いなく、真打はライバルに倣うフルハイブリッドになるはずだが、”価格を重視”するなら、発売されたばかりの新型CX-5 マイルドハイブリッドモデルは間違いなく満足度の高いコスパ最強のミッドサイズSUVであり、価格UPが避けられないフルハイブリッドを待たずに今、手に入れる価値はあると思える。

CX-60のエクステリア
CX-60のインテリア
新型CX-5のエクスクリア
新型CX-5のインテリア

文/青山尚暉
写真/青山尚暉 マツダ

プロミュージシャンからいきなり自動車専門誌の編集者を経験した後、モータージャーナリストに。新車試乗記や自動車関連コラム、防災記事などを幅広い媒体で執筆。クルマのパッケージング、洗車”オタク”でもある。また、ドッグライフプロデューサーとしても活動。愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿厳選紹介、ドッグフレンドリーカー選びについて多方面で情報発信中。著書に「ぼくたちの外車獲得宣言」(リヨン社刊)、「すごい海外旅行術」(講談社刊)、「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)など。輸入車の純正ペットアクセサリーの開発にも携わっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(1994年~。現在は小学館DIME推薦)。

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