小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

W杯の放映権は本当に元が取れるのか?4年前のABEMAの〝賭け〟で振り返る

2026.06.11

2026年のFIFAワールドカップが6月11日から7月19日にかけて開催されます。史上最大の48か国が参加し、アメリカ・カナダ・メキシコの3か国で開かれる初の大会。日本代表は昨年にブラジル、今年はイングランドに勝つなど、歴代最強とも言われるほど注目度が高まっています。

日本のワールドカップ放映権料は350億円に達したと見られており、高騰を続けています。あまりの高騰ぶりに、放送を巡っては難しいかじ取りを迫られています。

ワールドカップ中継を扱う民放キー局のメリットは薄く…

今年の放映権を獲得したのは電通グループでした。当初はFIFAが400億円を提示していましたが、電通が交渉して350億円程度に引き下げたと言われています。NHKや日本テレビなどが日本代表戦の試合を地上波で生放送し、DAZNは104の全試合を生配信する予定です。

ワールドカップは多くの人がテレビやスマートフォンにくぎ付けになる、国民的なイベントであることは間違いありません。しかし、放映権が高騰する一方、放送局にとって決して実入りのいい商売ではなくなっていることも確かです。

ビデオリサーチによると、2022年の日本対コスタリカ戦の平均世帯視聴率は42.9%でした。ドイツという業豪チームに歴史的な逆転勝利をした日本対ドイツ戦が36.8%。

高視聴率を獲得していますが、2002年の日本対ロシア戦は66.1%、同年の決勝戦であるドイツ対ブラジルでも65.6%でした。一方、2022年の決勝戦アルゼンチン対フランス戦はわずか15.5%。

日本人は日本代表戦に対する関心が非常に高いことで知られていますが、2002年のワールドカップにおいては、海外チームの試合でも現在とは比較にならないほど数字が獲れていたのです。

2022年はABEMAが全試合を無料で生配信したために視聴率が低迷したようにも感じるかもしれません。しかし、2010年の日本対パラグアイ戦が57.3%、2018年の日本対コロンビア戦が48.7%であり、年を重ねるにつれて視聴率は落ちているのです。

また、ワールドカップを放送したからといって、テレビ局の広告料が増えるとは限らないのも事実です。テレビ朝日は視聴率42.9%を獲得した日本対コスタリカ戦などの中継を行いましたが、ワールドカップが開催されていた2022年10月~12月における、スポンサーからのCM放送枠を販売して得るタイム収入が前年同期間比でわずか1.8%の増加でした。

タイム収入は通年においては4.7%のマイナスだったのです。

2026年のワールドカップは、時差の関係で深夜から早朝にかけてのキックオフとなります。2022年の日本対コスタリカ戦は18時40分の放送開始でした。今年は視聴率が伸び悩む可能性も十分にあります。

ワールドカップの放送で115億円の赤字を出したABEMA

キー局の視聴率が低迷し始めた中、ABEMAは2022年のワールドカップ全64試合を生配信しました。サイバーエージェントは放映権の獲得に200億円を投じたと報じられました。

配信期間中のABEMAのWAU(1週間当たりの利用者数)は3409万に達しています。それまでは、1000万台後半で推移していたのです。

ABEMAは利用者層を着実に増やしていますが、2025年9月末時点のWAUは2847万であり、ワールドカップ配信期間中の数字には到底及んでいません。ワールドカップの爆発力は凄まじかったのです。

一方、収益面では大苦戦しました。2023年9月期のサイバーエージェントメディア事業は115億円もの営業損失を出したのです。

会社全体では6割を超える営業減益となりました。

当時サイバーエージェントの社長だった藤田晋氏は、朝日新聞のインタビューに対して「当初は大型イベントでユーザーが増えても、すぐ離れてしまうという課題があったが、コンテンツが充実したことで今ならラインアップ、サービスの品質から、大きな勝負をしても大丈夫と判断した」と狙いを語っています(「ウイイレ起点のサッカー愛 藤田社長が語るW杯無料放送とクラブ経営」)。

しかし、3000万を突破したWAUは、ワールドカップ終了後に再び1000万台後半へと戻ってしまいました。ユーザーの惹きつけに成功するのは、広告付きの格安プランを導入した2024年10月以降。メディア事業が通年で黒字化を果たしたのは、2025年9月期のことです。

NetflixのWBCは3000万人超が視聴

スポーツの放送を巡っては、変革期が訪れています。2026年3月のワールド・ベースボール・クラシックはNetflixが47試合を独占放送しました。無料での視聴ができないことに戸惑う人が出た一方、Netflixは配信期間中に過去最大の3140万人が視聴したと発表しています。日本対オーストラリア戦だけでも1790万人が視聴しました。

映画やドラマは多額の製作費がかかり、プロジェクトの規模も巨大化しています。それに伴って制作期間も長期化するなど、コンテンツを作る側の負担が重くなる一方、当たり外れのリスクも抱えています。それに比べ、スポーツ放送は一定の視聴層を見込むことができ、失敗するリスクが低いという特徴があります。

放映権の高騰により、スポンサー収入に依存する民放キー局のリスクが高くなっていますが、成長中の動画配信サービスにとってはチャンスでもあります。

ただし、ABEMAのように無料放送すれば収益性を損なう危険性が潜んでいるのも事実。公益性が重視されるスポーツ放送ですが、時代が変わろうとしているのかもしれません。

文/不破聡

W杯開幕直前!DIME最新号は躍進する日本サッカーの歩みを大特集、6月16日発売!

ドーハの悲劇から33年、日本サッカーの躍進は世界を驚かせています。いよいよ北中米ワールドカップが開幕を迎え、盛り上がりは最高潮へ…。

今月のDIMEでは、日本サッカー協会、Jリーグ、育成世代だけでなく、スポンサー企業の貢献など進化の舞台裏、立役者を独自の視点から徹底取材。驚きの事実が明らかに…!

さらに『アオアシ』をはじめ、サッカー漫画がいかに日本サッカーの躍進に貢献したのか、元日本代表レジェンドたちにも取材もしました。

サッカーという時代を彩り、人々を熱狂させてきたトレンドの背景を読み解く、一大特集になっていますのでご期待ください!

さらに第二特集ではAIで進化するビジネスガジェットを編集部がガチ検証、本当に使えるのかを検証しました!

Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入

【特別付録】「アオアシBlueナップサック」

「なろう・異世界系」依存は失敗だった?KADOKAWAはラノベの質を上げるために何をすべきか

KADOKAWAは2026年3月期の出版・IP創出事業の営業利益が前期比でおよそ52%減少し、40億円となりました。業績悪化の影響を受け、45歳以上を対象とした…

Author
大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融、経営戦略を中心とした記事を執筆中。得意分野は外食、ホテル、映画・ゲーム、エンターテインメント業界など。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2026年5月15日(金) 発売

映画『正直不動産』と大コラボ!不動産の買い時を徹底検証、住宅価格高騰の今知るべき不動産の「ウソ・ホント」を専門家と解き明かす!最新メンズ美容アイテム特集では頭皮・UV・汗などこれからの時期へ徹底対策!さらにunoオールインワンシャンプーも付録についた充実号!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。