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伝統の街・祇園で定宿として選ばれるには?玉川徹が帝国ホテル京都の総支配人に聞いた極意

2026.06.16

祇園で受け入れられるために〝継承〟の道を選んだ帝国ホテル 京都。今回は、そのことをふまえた館内の材料選定などについて、玉川さんが取材。宿泊体験をもとに、客室の快適性や同ホテルに泊まる価値についても実感してもらった。

坂田玲子総支配人

【話を伺った人】帝国ホテル 京都 坂田玲子総支配人
2003年に入社し、婚礼部門などを歴任後、現職に就任。開業前1年半は毎日のように京都へ通い続け、隣の歌舞練場へ稽古に通う舞妓さんたちの懸命な姿に励まされたとか。

心身が寛ぐ極上の時間を提供するための
帝国ホテル 京都のこだわりを取材!

玉川 前回は伝統を継承し、次世代につなぐ覚悟についてお聞きしました。そのような思想が建物のどんなところに見て取れるのか、教えてください。

坂田 一階の外壁に使用している北木石(きたぎいし)は、弥栄会館(やさかかいかん)時のものを再利用しています(北木石は日本銀行や三越日本橋店など有名建築にも使われてきた)。一階部分のアイアンフレームの窓枠も弥栄会館のものを再利用しているほか、エントランス内壁に使う大理石は弥栄会館と同年代のものを取り寄せました。

玉川 約40年前の京大生当時はこの辺をよく通っていたのに、弥栄会館の建物をしっかり見た記憶がなくて(苦笑)。その頃の外観を覚えていれば、当時のままの姿により感動できたのでしょうね。

坂田 その頃は弥栄会館があまり使われていなかった頃なので、致し方ないと思いますよ。ちなみにエントランスの柱は、耐震性を補強すべく、鉄骨を巻いた上に外壁と同質の石のパネルを組み合わせ、外壁と共通のデザインにしています。

玉川 エントランスに掲げている木製のシンボルマークは目を引きますね。

坂田 奈良県吉野町の水分(みくまり)神社のご神木で、1000年ほど自生していた欅の一枚板を使いました。エントランス壁面の栃木県産大谷石は、帝国ホテル2代目本館(通称、ライト館)でも使われたもの。100年ほど前のライト館時代に採掘されたと聞いています。また、宿泊者ラウンジの床などは鹿児島県沖永良部島(おきのえらぶじま)で産出された田皆(たみな)石で、弥栄会館ではアートワークに使われたもの。帝国ホテル 京都の内装をデザインした建築家が「時代をつなぐピース」だと捉え、エレベーターホールにも取り入れました。

玉川 田皆石は〝海の大理石〟と言われるだけに、よく見ると巻き貝などの化石跡が見えます。建築材の使われ方はとても興味深いです。ちなみに前回お聞きした帝国ホテル初の試みとなる畳を用いた客室は、全部で何部屋ありますか?

坂田 8部屋です。例えば「北棟グランドプレミア」は〝木材の饗宴〟と従業員が呼ぶほど、貴重な素材ばかり。フロアは水目(みずめ)桜、ベッドサイドは栗、床の間に見える棚板は栃(とちのき)、天井はへぎ板、テレビボードには神代欅(じんだいけやき)をそれぞれ使っています。

玉川 エントランスのシンボルマークもそうでしたが、基本的な木材としては欅が多く用いられていますね?

坂田 はい。弥栄会館が建てられた1936年当時は、民藝運動(日常の生活道具に美を見いだして暮らしの中に美を取り入れること)が盛んな時代。その頃の日本家屋に欅が非常に多く使われていたことをふまえ、欅を採用しました。なお、左官の土壁部分は、今では採取不可能であり、左官業者が大切に所有していた京都・東山の土を塗り込んでいます。壁紙のクロスには絹糸が織り込まれ、日本の伝統素材を手で触れて感じてもらえる位置に配置したのがポイントです。

玉川 そのような希少かつ伝統的な素材に囲まれて滞在する価値は、まさに帝国ホテル 京都ならではの魅力ですね。

帝国ホテル

客室の高い機能に加えて京都らしいこだわりも

玉川 ホテルの客室に欠かせない機能性だと僕が考えている、遮光性と遮音性についても教えてください。

坂田 例えば「北棟グランドプレミア」の場合、シェードが下りて外からの光を遮り、客室内が真っ暗になります。それに加えて帝国ホテル 京都の客室は、一般的なホテルに求められる標準的な遮音性能よりも高い水準に設定しています。客室間の壁は、保存エリアと改築エリアでは異なる構造であり、床は耐震性および遮音性に考慮した施工を実施。今回、玉川さんが宿泊される客室は、軽量鉄骨を特殊な千鳥型に組み立てて壁を造り、その軽量鉄骨壁に遮音性の高い石膏ボードを二重で入れている仕様になります。

玉川 それなら静かに熟睡できそうで安心しました。共有施設についても心地よさを追求したこだわりが感じられます。京都の町並みや比叡山を望める、オールドインペリアルバーやザ ルーフトップ(宿泊者限定)も実に寛げますね。

坂田 おすすめは、東京の帝国ホテルで100年以上前に誕生したカクテル「マウント フジ」に、抹茶を合わせて再構築した「マウント比叡」。ベースのジンは京都の東一条通にある松井酒造の「輪廻」を使っています。

玉川 実においしいです! 抹茶の味が強いと思いきや、前面に出てきません。実に京都らしいです。絶景を眺めながら飲むと、京大時代の思い出が甦りますね。ありがとうございました。

帝国ホテル

帝国ホテル 京都の宿泊者ラウンジでは
目線の高さなどを考慮した寛ぎの空間設計を徹底!

帝国ホテル
帝国ホテル

玉川さんが好みというアールデコ調のエッセンスを取り入れたインテリアが特徴。イスの座面やテーブルの天板を低くしたのは、限られた空間に水平の広がりを感じられるようにするため。時間の経過を忘れてしまうほど心安らぐ空間だ。

今月の取材で理解を深めた心安らぐ空間づくりに求められること

□ 天然由来の木材や石などに囲まれることにより穏やかな気持ちになる
□ 座面などの高さを調整することで天井が低くても広く感じる
□ 熟睡できる真っ暗な環境をつくるためには高性能な照明設備も不可欠
□ 景色を見渡せる設備によって開放的な気分になれる

今回のまとめ

 実際に宿泊したところ、坂田さんの言うとおり、遮音性と遮光性はともに完璧でした。僕が求める客室の機能面は申し分ありません。強いて気になった点を挙げるなら、大理石製の浴槽の角に緩やかな曲面がほしかったことと、アメニティーに含まれるティーバッグもサステナブルな素材のほうがもっとよかったと思ったことだけです。インテリアは大理石と木材がふんだんに使われていて、豪華なのに華美ではなく、落ちついた気持ちで滞在できました。ベッドメイクの要望にも対応いただくなどホスピタリティーも◎。しかも朝食が豪華でしたね。細かく行き届いたサービスが徹底されており、一泊20万円の価格に値します。定宿にするにふさわしい人になりたいと思いました。

高額なだけの価値があると実感!定宿にするにふさわしい私になりたいです

玉川徹さん

玉川徹さん
テレビ朝日系、朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』のレギュラーコメンテーターとしておなじみ。パーソナリティーを務めるレギュラー番組『ラジオのタマカワ』(TOKYO FM / 毎週木曜日11:30 ~13:00)が大好評オンエア中!

取材・文/柿川鮎子 撮影/佐藤信次 編集/田尻健二郎 写真提供/大林組

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