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6か国調査で判明!現場とデスクに横たわる「伝わらない問題」の実態

2026.06.05

新年度などの組織変革期に問われるのが円滑な社内コミュニケーションだろう。多くの企業が取り組むべきテーマだと思うが、世界各国ではどのような認識になっているのか。

ドイツが本社のAIネイティブ従業員体験プラットフォーム「Staffbase(スタッフベース)」は、英国の国際調査会社YouGovが実施して「Staffbase」が協力した6か国調査の主要結果を日本語で公開した。この調査はオーストラリア、オーストリア、ドイツ、スイス、英国、米国を対象にしており、日本は含まれていない。

調査では、社内コミュニケーションの質の満足度でデスク従業員は47%が満足しているのに対して、世界の労働者の約80%を占める店舗・工場・物流・医療・建設などデスクを持たず現場で働くフロントラインワーカーといわれる現場従業員(非デスク従業員)の満足度は29%にとどまっていた。

これは両者に大きな認識ギャップが存在していることが理由といえそうだ。経営陣によるコミュニケーションが明確な場合には、従業員の仕事満足度は約3.5倍に高まるという結果もあり、社内コミュニケーションの質がエンゲージメントや意思決定の納得感などに結びついていると思われる。

コミュニケーションの質はデスクと現場で認識に差

社内コミュニケーションの質に「非常に満足(9%)」と「やや満足(29%)」を合わせた満足と回答した現場従業員は29%だった。デスク従業員では「非常に満足」(14%)と「やや満足」(34%)を合わせた47%が満足と回答しており、働く環境で情報格差が明確だった。

コミュニケーションの質は組織成果に直結

経営陣によるコミュニケーションを「非常に明確」と感じている従業員は、仕事に「とても満足」と「やや満足」を合わせた割合が89%だった。「非常に不明確」と感じている従業員ではその割合は25%で、仕事満足度に約3.5倍の差があった。経営陣からのメッセージの明確さは、従業員の納得感や前向きな仕事意欲に大きく影響しているようだ

さらに転職を検討している従業員の63%は、「社内コミュニケーション不足」を退職の一因だと回答しており、離職志向よりもエンゲージメントや組織への納得感の低下が先行して起きていることが推測される。

組織の課題は現場に届かないコミュニケーション

組織変更や方針転換などの「会社の変化」の理由について、十分な情報を得られていると感じている割合は、デスク従業員が25%で現場従業員は17%だった。さらに現場従業員の2割は、十分な情報を得られていないと感じていた。変化の内容だけでなく、その背景や意図の伝え方が従業員の納得感や主体的な関与を左右している実態もあるようだ。

変革プロセスでは「自分の意見が(ある程度)考慮されている」と感じている割合は、デスク従業員が52%で現場従業員は39%だった。現場に近い立場ほど、意思決定から距離を感じやすい構造もありそうだ。

従業員の1割は職場で「常に(2%)」または「頻繁に(8%)」孤独を感じていると回答しており、23%は「時々感じる」と回答している。従業員同士の有意義なつながりを会社が「非常にうまく育めている」と感じているのは2割しかいなかった。職場でのつながりを実感できないことが、孤独感の一因になっている可能性もありそうだ。

情報が“届いていないこと”が課題

(図:ニュース・情報の配信頻度および質に関する評価/各国比較)
※DACH(ダッハ):ドイツ(Deutschland)、オーストリア(Austria)、スイス(Confoederatio Helvetica)の国名略称を組み合わせた欧州の主要なドイツ語圏を指す呼称。

情報の「量」そのものについての質問では、勤務先から届くニュースや情報の配信頻度は各国で約5割が「ちょうどよい」と回答しており、大きな課題になっているわけではなさそうだ。情報の「量」が「やや少ない」、「少なすぎる」と感じている層も2割から3割は存在している。単純に量を増やすのではなく、「誰に」、「どのように届けるか」や内容の分かりやすさ・納得感などの“届き方・質”に課題はありそうだ。

社内コミュニケーションの鍵は信頼される“人”と“チャネル”の設計

従業員がもっとも信頼できる情報源として挙げたのは直属の上司だが、従業員アプリを利用している場合は「アプリからの情報」をもっとも信頼していると回答している人が多かった。信頼される“人”と“チャネル”の両面を設計することが、社内コミュニケーションの鍵といえそうだ。

従業員アプリに関しては、主要チャネルとして利用している組織では68%が自社の危機対応コミュニケーションを「非常に良い」または「良い」と評価している。調査全体の平均である52%を大きく上回っている。

従業員アプリなどのチャネル活用には地域差も存在していることがわかった。デスク従業員におけるイントラネットを主要情報源とする割合は、ドイツは61%で米国は39%だった。危機対応におけるSMS利用率も地域差が顕著で、オーストラリア17%、米国15%、オーストリア13%、スイス・英国9%、ドイツでは3%と大きな地域差があった。

今回の調査を受けて「Staffbase」の日本代表である赤平百合氏はつぎのようにコメントしている。「今回の調査から、社内コミュニケーションにおける“認識ギャップ”が、組織のエンゲージメントや意思決定の質に大きく影響していることが明らかになりました。特に現場従業員の満足度が29%にとどまる一方で、明確なコミュニケーションによって仕事満足度が約3.5倍に高まるという結果は、コミュニケーションの質が企業の事業推進力を左右する重要な経営課題であることを示しています」

社内コミュニケーションの質が従業員の仕事満足度と関係していることはわかったが、その対策としては信頼できる上司や従業員アプリなどの有効活用がありそうだ。こうした取り組みは、企業の事業推進力にも直結すると思われる。今回は日本は含まれていなかったが、2026年夏に発表予定の次回調査では、日本も調査対象国として加わる予定だという。日本企業の社内コミュニケーションとエンゲージメントや事業成長との関係性が海外との比較でより明らかになれば、より実効性のあるコミュニケーションのあり方を見つけることができそうだ。

『Employee Communication Impact Study 2025』概要

調査対象国:オーストラリア、オーストリア、ドイツ、スイス、英国、米国
調査時期:2025年2月
回答者数:3574名
調査方法:オンライン調査
実施主体:YouGov(Staffbase協力)

『Employee Communication Impact Study 2025(英語)』

構成/KUMU

30年以上暮らした東京から実家に戻った地方在住フリーライター。得意分野は、ゲーム、アニメ、マンガやIT&デジタル関連など。自宅でリモート取材や自宅作業が増えたので、20年以上ぶりにフル自作PCを作成して活用中。最近の取り組みは、実家で発掘したセガマークⅢ以降の昭和から平成のゲーム機が動くか点検すること。

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