気温と湿度が上がり、食中毒のリスクが高くなる季節がやってきた。飲食店の現場では、食中毒や感染症のリスクにどう備え、万一のスタッフ不足にどう対応しているのだろうか。
そこで、「飲食店ドットコム」を運営するシンクロ・フードは、飲食店経営者・運営者を対象に、感染症・食中毒への危機感と衛生・体調管理の実態に関するアンケート調査を実施した。
飲食店の7割が食中毒リスクに危機感、4割が保険に加入
まず、梅雨・夏場に向けた「食中毒」リスクに対する危機感を聞いたところ、「非常に強く感じている(23.8%)」「やや感じている(43.8%)」を合わせ、67.6%が食中毒リスクへの意識を持っていると回答があった。
一方で、国内外で流行が拡大している「麻しん(はしか)」などの感染症に対する危機感については、「非常に強く感じている(10.7%)」「やや感じている(34.8%)」の合計が45.5%にとどまっていることが判明。
半数以上が「あまり感じていない」「全く感じていない」と回答しており、食中毒と比較すると現場の警戒感にはやや温度差があることがうかがえる。
「代替スタッフがいない」深刻な人手不足、スタッフ1名の急な欠勤で、約3割が「臨時休業」に
現在の店舗の人員体制(シフトの充足度)を聞いた設問では、「ギリギリ回せているが、余裕はない(64.5%)」「常に不足しており、慢性的な人手不足である(9.0%)」「深刻な人手不足(1.7%)」と、合わせて75.2%の店舗が人員に余裕がない状況にあることが明らかに。
直近1年以内で、従業員の急な発熱や体調不良により、シフト調整で「ヒヤリとした経験」があるか尋ねると、「過去に数回あった(37.2%)」「たまにある(21.7%)」「頻繁にある(8.3%)」の合計67.2%もの店舗が「ある」と回答。
実際に影響が出たケースも少なくなく、「臨時休業をした(19.7%)」「営業時間を短縮した(16.9%)」「提供メニューやサービスを限定して営業した(16.6%)」など、多くの店舗が通常営業の維持に苦慮しているようだ。
さらに「もし明日、従業員1名が感染症などで急遽出勤停止となった場合」のシミュレーションを聞いたところ「【致命的】営業停止(臨時休業)せざるを得ない」と回答した店舗が27.6%に上った。
残業などでカバーする店舗も26.9%あり、たった1人の欠勤が店舗の存続を脅かす綱渡りの状態であることがわかる。
万が一、食中毒や感染症の集団発生が起きてしまった時の備えとして、「生産物賠償責任保険や、休業補償をカバーする保険に加入している」人は40.3%いた。
また、衛生管理や感染症対策にかけている月間コストについて聞いたところ、「5,000円未満(基本的な消耗品など)」が46.9%、「0円」が27.2%を占めており、大きな費用はかけていない店舗がほとんどであることがわかる。
人手不足のジレンマ、見えない脅威への不安
最後に、「感染症・食中毒対策」や「店舗の危機管理(BCP)」について、現場で悩んでいることや要望を聞いたところ、寄せられた声からは、大きく2つの課題が浮かび上がってきた。
■人手不足で対策やBCP(事業継続計画)に手が回らない
・「余裕のある人員配置の実現が難しい。緊急事態となった場合、人員に余裕がありません。予算上もこれ以上の人員を配置することが難しい状況です」(東京都/洋食/1店舗)
・「ワンオペの個人店なので自分が病気になればすべて止まる。万が一発生した場合には相応のリスクがあるが、いかんともしがたいのが現状」(東京都/バー/1店舗)
■スタッフへの教育や、意識を高く保つことの難しさ
・「『ただチェックシートにチェックを入れているだけ』になっていないかを定期的に確認している。チェックシートの本質をスタッフへ理解させることに時間がかかり悩んでいる」(神奈川県/カフェ/6~10店舗)
・「食品衛生責任者講習では深く理解できているが、店舗スタッフに行き届かせることが難しいと感じている。実態は口頭での注意、指導に留まっている」(神奈川県/カフェ/1店舗)
調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:290件
調査期間:2026年4月27日~2026年5月7日
調査方法:インターネット調査
回答者属性:本調査に協力してもらった回答者のうち64.5%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京都にある飲食店の割合は53.1%(首都圏の飲食店の割合は69.6%)。小規模かつ都市部に位置する店舗が多いことが、結果に影響していると推測される。
※「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」
関連情報
https://www.inshokuten.com/research/company/
構成/Ara







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