ぷっくりとした立体感と独自の質感で、シール交換ブームの火付け役となった「ボンボンドロップシール」。2024年3月の発売開始から2年以上経過した今でも入手困難な状況が続いている。
今回は、製造・販売を手掛ける株式会社クーリアの社長室室長 倉掛誠一さん、開発部デザイナー 山﨑菜央さんに、ボンボンドロップシールが生まれた背景や開発時の苦労話、今後の展望についてお話を伺った。
*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。
シールの立体感、奥行きの秘密は「二層印刷」
デザイナーの山﨑さんは、これまでのシール作りの経験を活かしながら、新しい要素をボンボンドロップシートに取り入れたと話す。
「今までのシール作りのノウハウの積み重ねの中で、シールの底面とカプセルの天面に印刷を施す『二層印刷』を加えたら、さらに奥行き感と立体感が出て、手軽にデコれるデコパーツのようなシールが作れるのではと考えました。カプセルシールの中に樹脂が入っていて、その樹脂にラメが入っている。そしてカプセルシール自体に細かな凹凸が施されているものは、ボンボンドロップシールが初めてだったのではないかなと思います」(山﨑さん)。
2023年の初め頃に二層印刷を使ったシールの企画を出し、そこにチームメンバーのアイデアを加えていったという。
「シール開発の一つの案として、二層印刷を加えてみたらどうかと提案したところ『そういうのを加えてみるのもいいね』と開発がスタートしました。ボンボンドロップシールはブリスターパッケージ(透明のプラスチックと台紙を組み合わせた包装)を採用しているのですが、それもメンバーからのアイデアです。最初に完成した時は『目新しいものができたね!』とチーム間でも盛り上がりました」(山﨑さん)
倉掛さんは、オリジナルデザインのシールに加え、人気キャラクターとのコラボ商品によってボンボンドロップシールの世界観が広がったと話す。
「弊社は元々オリジナルのデザインに定評をいただいており、創立から30年、お客様にご支持いただける可愛いものを追求して作ってきました。弊社にも『しずくちゃん』というキャラクターがいますが、サンスター文具の有名キャラクターとのコラボレーションなどでも、ボンボンドロップシールの世界観が広がったと感じます」(倉掛さん)
第一回より
ポップな雰囲気が伝わるよう「物語性」を意識してデザイン
シールに立体感を出すために、試行錯誤を繰り返したと話す山﨑さん。特に、初めて作ったシリーズは特に思い入れがあるという。
「最初に発売したものは、デザイナー間で何度も話し合い試行錯誤を重ねて作ったので、とても思い入れがありますね。第一弾のうち1柄はアザラシやラッコなどの海獣類をモチーフにして、食べたお魚を底面印刷にしてお腹の中に入れるなど、かなり細かいこともしていました。イメージ図を工場に入稿して、そこからまたプランナーを通じてやり取りをして、理想の形に仕上げていくようなイメージでした」(山﨑さん)
山﨑さんは、シールを作るうえで「物語性」を大切にするデザインにこだわっていると話す。
「まずシールを作って、そこから台紙のデザインに入ることが多いんですが、物語性が出るように工夫をしています。シールのパーツが喋っているような言葉を書き込んだり、動き出るようなあしらいをつけたり、雰囲気がさらに伝わるように装飾を増やしたりと、そのシールが際立つようにデザインしていますね。あとは、台紙の下に四角の穴が開いているんですが、UFOキャッチャーの景品が落ちてくるところをイメージしています。当初からポップなイメージにしたいのもあり『そういう台紙にしようか』とデザイナー間で決めて、オリジナルのものではそれを今もずっと続けています」(山﨑さん)
第二回より
人気は想定外の層にまで広がり、シール交換ブームの火付け役に
山﨑さんは、ヒットを体感した瞬間について次のように話す。
「私はこれまで低年齢層に向けたシールを主に作ってきましたが、作ったシールをSNSで見かける機会はあまりありませんでした。ボンボンドロップシールの発売以降、SNSで大人の方がシールを使ってデコった写真や『買ったよ』という内容を投稿しているのを見て、幅広い世代の方に浸透していることを感じました。ここまでの反響は、私を含め開発チームは想定外だったと思います」(山﨑さん)
開発においてもっとも苦労した点について、二層印刷ならではのデザインの難しさにあったと振り返る。
「過去に同じ仕様がない中で、仕上がりをイメージしながらデザインをしなくてはいけなかったのが大変でした。樹脂が入ったことによって、底面に細かいものを印刷すると絵が膨張してしまうこともありましたね。サンプルがない中で、それをイメージして作るところに苦労しました」(山﨑さん)
倉掛さんは、想定外の層からの支持を受け入れつつも、あくまでも低年齢層に向けた商品を作り続けたいと思いを語った。
「元々のターゲットは、未就学児から小学校低学年の小さいお子様です。発売当初からすぐに売り切れてしまう状況ではありましたが、世代が広がったことは良い意味で狙い通りにいかなかった部分でもあります。ボンボンドロップシールの世界観を壊さないためにも、広がった裾野に対してというよりは、変わらず未就学児から小学校低学年の女の子に向けて商品を作ることにあえてこだわっていきたいと思います」
第三回より
“パッと見の可愛さ”で心を掴み大ヒット。新作も企画中!

大ヒットの理由について、山﨑さんは次のように分析する。
「平成女児ブームやSNSの効果が大きいと思っています。シール自体は平成を感じさせると思うんですが、仕様はかなり進化していて、ボンボンドロップシールは目新しく映り、ご支持いただいていると感じています。『つやつやキラキラしていてかわいい』と言ってくださる方が多いので、パッと見て惹かれる可愛さを表現できたのかなと思います」(山﨑さん)
今後も新たな仕様を取り入れつつ、これまでにないボンボンドロップシールを展開予定だという。
「ボンボンドロップシールを好きな方に長く愛してもらえるよう、いろいろな目新しさを加えて広げていけたらと思います。今のボンボンの仕様を活かして、オーロラ仕様や磨りガラスのようなマットタイプなどがすでに発売されており、まだ詳しくは言えませんがこれからも違った見え方になるようなものを企画しているところです」(山崎さん)
なかなか入手が難しい状況が続いているものの、増産体制を整え出荷数量を増やしていきたいと倉掛さんは話す。
「社員も抽選に参加していますが、当選したという声を聞かないほどの状況です。我々としては、工場を拡大して増産し、出荷数量を増やしていくように頑張ってはいるのですが、今は追い付いておらず、皆様にご迷惑をおかけしています。我々も心苦しく思っており、増産の努力は続けていきますので、引き続きボンボンドロップシールをよろしくお願いします」(倉掛さん)
最後に、リスナーに向けてお二人からメッセージをもらった。
「皆さんから『可愛い』と言っていただける機会が増えて、開発チームのみんなでとても喜んでいます。今までは『シールをどう使っているか』まではこちらに届かないことが多かったんですが、SNSでデコったものをアップしたり、電車の中でスマホケースに貼っている方がいたりと『こうやって使ってくれているんだな』と知ることができて嬉しい気持ちでいっぱいです」 (山﨑さん)
「ボンボンドロップシールが想定外のヒットで、いろいろな方に、いろいろな楽しみ方をしていただけていると思います。我々メーカーとしましては、変わらず可愛い商品を作っていきます。ボンボンドロップに関しては、アイテムの展開やキャラクターとのコラボなど、皆様に楽しんでいただけるように、これからもご提案していきたいなと思います」(倉掛さん)
第四回より
取材・文/久我裕紀 構成/DIME編集部







DIME MAGAZINE















