働き方改革やリモートワーク普及以降の働き方の多様化で、労働に関する新たな課題は増えている印象だ。最近では、休日や休暇日を含む勤務時間外に仕事上の電話やメールなどの連絡を拒否することができる「つながらない権利」についても法制化に向けて議論されている。帝国データバンクは「つながらない権利」について企業へアンケート調査を実施して結果を公開した。それによれば勤務時間外の連絡の対応ルールの有無を問わず、勤務時間外に連絡をする企業が約7割も存在しており、一方で「明確なガイドライン策定」を必要と考えている企業も約半数という結果になった。
「つながらない権利」対応ルールがある企業は約1割
勤務時間外の連絡の対応ルールの有無では、ルールがある企業は11.6%で、その内訳は「ルールがあり、勤務時間外に連絡することはない」(1.9%)、「ルールはあるが、勤務時間外に連絡することがある」(9.7%)だった。ルールがない企業は86.6%で、「ルールはないが、勤務時間外に連絡することはない」が26.3%で「ルールはなく、勤務時間外に連絡することがある」が60.3%だった。ルールの有無を問わず勤務時間外に連絡をする企業は70.0%で、連絡しない企業は28.2%という回答結果になった。
勤務時間外の対応ルールがある企業では、「緊急連絡(自然災害等)のみとしている」(化学品卸売)や「管理職者以外は社用の携帯電話を持って帰らせていない。個人レベルでLINEで繋がっていても業務の連絡はさせていない」(輸送用機械・器具製造)など勤務時間外の連絡を制限している回答や「緊急を要する場合、連絡をすることがあると周知している」(出版・印刷)や「基本は時間外連絡をしないことにしているが、業務上確認が必要なことが発生した場合はチャットで連絡を取れるようにしている」(その他サービス)など連絡する場合のルールを決めている企業もあった。
対応ルールがない企業からは、「24時間稼働の工場のメンテナンスを行っており、頻度は少ないが緊急時には電話で呼び出さざるを得ない」(電気機械製造)や「朝7時台より職人からの連絡、担当現場監督とのやり取りが発生してしまう現状がある」(建設)といった業種の特性で勤務時間外の連絡も対応が必要と考えている企業もあった。一方で「電話ではなく、メールやLINEでの必要事項のみの伝達にしている」(運輸・倉庫)などルールはないが最低限の連絡にとどめる努力をしている声もあった。
規模別では、大企業はルールがあると回答したのが13.9%と全体を上回ったが、勤務時間外に連絡をする企業も79.8%で全体を上回った。中小企業や小規模企業は、ルールがない企業が全体を上回ったが、勤務時間外に連絡しない企業も全体を上回る結果になった。
「つながらない権利」の明確なガイドライン策定は約半数
「つながらない権利」を推進するために必要だと考える取り組みでは、トップは「明確なガイドライン策定」で49.3%だった。企業からは「客先からの緊急要請に対するガイドライン化が必要」(機械製造)や「緊急事態のような例外的な事象は対応してもらわなければならない。そのためのガイドラインをどこまで作り込めるのかが重要」(化学品製造)といった声や「管理職への意識改革・研修」(44.1%)、「従業員への意識改革・研修」(40.6%)など社内の意識改革や研修の必要性を感じている回答もあった。「緊急連絡ルートの一本化」(35.7%)や「属人化の解消(担当者不在でも対応できる体制づくり)」(35.6%)といった回答も3割以上で、「属人化を解消し、資料を共有化する方向の改革を進めるべき」(その他)や「属人化から脱却し、DX化により進捗状況が社内のだれでも閲覧できるようにする」(自動車・同部品小売)など業務の共有化を推進するべきだと考えている企業も存在している。
「つながらない権利」のガイドラインが重要
働き方改革やワークライフバランスの一環として「つながらない権利」を進める企業はあるが、早朝・深夜や24時間連絡体制が必要な業種があるのも事実だ。顧客や取引先など社外からの連絡を無視することは難しいと感じる企業もありそうだ。自然災害や体調不良、忌引など連絡が勤務時間外にならざるを得ない事態の対応など、緊急時の連絡手段についても線引きをどうするかといった議論は必要だろう。一方で対応ルール作りでは、担当者以外でも対応できる環境の整備や業務の共有化を進めれば「つながらない権利」の促進以外の効果を生む可能性もありそうだ。許容すればいつでもどこでも連絡ができる時代だけに、業務とプライベートを切り分ける「つながらない権利」について定めることは、ライフワークバランスを考える意味でも大切な要素といえそうだ。
『「つながらない権利」に関する企業の動向アンケート』概要
調査期間:2026年3月6日~3月10日
有効回答企業:1232社
調査方法:インターネット調査
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260313-tsunagaranai/
構成/KUMU







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