アニメ化もされた「3月のライオン」「ハチミツとクローバー」などで人気の漫画家、羽海野チカさんのSNSをきっかけに話題沸騰中のボールペンがある。
あまりの書き心地の良さに羽海野さんがすぐさま購入したそのボールペンはPILOTの「ジュースアップ3」。
プロから一般の方々まで虜にしてしまうボールペンの秘密
黒・赤・青の3色タイプでボール径は0.4mmの超極細。細身のボディが特徴だ。
一見、普通のボールペンのようだが羽海野さんのポストには「毎日使っています」、「この世で一番書きやすいのがこれ!」とユーザーから称賛のコメントが多数寄せられた。
それだけではない。
生活雑貨や文具などを扱うハンズ公式Xも「水性のなめらかな書き味だけど乾いたら耐水性。発色もよくて細かめな書き込みがしたい方におすすめ」と反応。
プロから一般の方々まで虜にしてしまうボールペンにはどんな秘密があるのか?すごく気になる。
そこで今回、パイロットコーポレーションの企画担当者に話を聞いた。
――羽海野さんがXで紹介した「ジュースアップ3」がSNSで話題です。率直な感想を教えてください
「写真まで撮影していただき、「ジュースアップ3」をご購入いただけたことをとても嬉しく思いました。「ジュースアップ3」が持つ良さやシナジーの特長が伝わり、また当社のパーパスである、「人と創造力をつなぐ」という状態が実現できていたのではないかと感じています」
――「ジュースアップ3」はどのような方をターゲットに開発されたのでしょうか?
「主なターゲットは男女の学生層です。シナジーチップによるなめらかな書き味を活かした3色ボールペンとして、ノートやメモ、手帳など日常的な筆記シーンで幅広く使っていただくことを想定しています」
「また、1本で色分けして書きたいというニーズに応えることでビジネスシーンで使用する社会人層にも訴求できる商品と思っております」
担当者のコメントにあった『シナジーチップ』。
実はこれこそが、ジュースアップシリーズ最大の特長であり、人気漫画家をも魅了した真骨頂だ。
一体何がすごいのか。改めてボールペンのペン先について教えていただきながら、シナジーチップの凄さを伺った。
「一般的にボールペンのペン先は、ボールを線で支えて安定した書き味を実現する、円すい形状の「コーンチップ」と、ボールを点で支えることでシャープな筆記を可能にする、パイプ形状の「パイプチップ」があるんですが、」
「異なる特長を持つ、2種類のペン先構造の良さを融合させたのが、弊社独自開発のペン先『シナジーチップ』なんです」
「これによりインキ供給がスムーズになり、一般的なボールペンにはない、なめらかで安定した書き心地を実現しています」
コーンチップとパイプチップの相乗効果(シナジー)を狙ったことにちなんで名付けられた『シナジーチップ』。
すべて同じように見えた小さな世界で、PILOTはとんでもない革命を起こしていたわけだが、異なるタイプの2つのペン先を融合するまでには大きな困難があった。
世の中に存在しない新しいペン先への挑戦
PILOTが誇る『シナジーチップ』が世に送り出されたのは、2016年。
相反する2つの要素を融合させようとした2011年から5年の時を経て実現したという。
そもそも何故『シナジーチップ』という高い壁に挑もうと思ったのか?
「細書きを好むユーザーの方にも、なめらかで安定した書き味を提供したいという思いから開発が始まりました」
ボールペンの可能性を広げたい。まだ世の中にない、新しいボールペンをつくりたい。
開発者たちのそんな熱い想いから研究は始まった。
「開発当時は、シナジーチップはもちろん、パイプチップやコーンチップについても、自社製品だけでなく競合他社製品まで幅広く検証しました。チップそのものの性能に加え、チップに最適なインキ性能との組み合わせにおいても、あらゆる面で他を上回ることを目標に当社内で試行錯誤を重ねながら開発を進めた点が、最も苦労した部分です」
製造方法が異なる2つのチップを一体化することなど至難の業。
狙いの性能が得られるまで何度も試作・テストを重ね、その結果、根本部分はコーンチップの形状、先端部分はパイプチップの形状、双方のよいところを活かしたまったく新しいフォルムのペン先が誕生。
さらに、インキもシナジーチップに最適なものを開発した。
一般的な水性顔料ゲルインキでは、顔料の粒が均一に混ざっていないため、シナジーチップのような細いペン先からはインキが出しにくい。
そこで、顔料を特殊添加剤と配合することで粒子が大きい顔料インキを均一に分散。水性インキの中を均一に混ぜることに成功し、スムーズにペン先から供給できるようになった。
こうして完成した「ジュースアップ」は、細書きながらもなめらかな書き味と豊富なカラーバリエーションで一躍人気に。
筆記具に、より高い性能を求める人々の心をつかみ、2021年にはビジネスシーンにも最適な光沢感のある筆跡が特長の「ジュースアップ クラシックグロッシーカラー」も登場するなど、通好みのペンとしてその地位を確立した。
新たなボールペンの世界に果敢に挑んだPILOT。今後、開発したいボールペンとは?
「これからも、機能面や書き心地はもちろん、使う人にとって「使いやすい」と感じてもらえるペンを追求し続けたいと考えています」
「また、「ジュースアップ3」は、2021年の発売から5年が経過するタイミングを迎えるため、次のステップとして新しいデザインによるリニューアルにも挑戦したいと考えています。時代やユーザーの変化に寄り添いながら、これから先も人が自然に使いやすいと感じる筆記具を生み出していきます」
取材協力
ジュースシリーズ特設サイト
PILOT公式X @PilotPenJP
文/太田ポーシャ
寝言も言うしオナラもする!?利便性のないロボット「ニコボ」が誕生した理由
ロボットなのに機嫌が悪ければ無視する。ロボットなのに気ままで役に立たない。 心の豊かさに全振りした“弱いロボット”「NICOBO(ニコボ)」が人気だ。 手掛けた…







DIME MAGAZINE

















