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リバイバルの次は再編集!東京・三河島の古着屋「MKM ORIGINAL」が挑む〝平成〟の遺し方

2026.04.30

平成のムードが再び脚光を浴びるいま、その裏側で静かに更新されているのが、新しい〝平成〟という時代の扱い方だ。

懐古でも、記号的な引用でもない。記憶の断片をすくい上げ、いまの感覚で編み直す——そんなアプローチで注目を集めているのが、東京・三河島の古着屋「MKM ORIGINAL」である。

「MKM ORIGINAL」では、90年代から2000年代初頭の古着や小物、さらには平成を彩った企業ノベルティTシャツやキャラクターグッズを豊富に取り揃えている。一方で、リメイクアイテムも充実しており、ハンカチといった身近な素材を用いながら、一点物のファッションへと昇華。その手法は斬新でありながら、どこか懐かしい〝平成〟の記憶を呼び起こす。

不均質な記憶をあえて残しながら、現代の装いとして成立させるバランス感覚こそ、この店舗の核にある。

なぜMKM ORIGINALでは、平成の記憶を一点物へと変換するのか。素材選びの視点や制作の背景をひもときながら、平成リバイバルの現在地と、その先にある〝時代との向き合い方〟を探っていく。

東京・三河島から始まった、平成カルチャー

日暮里駅から少し足をのばした先にある、東京・三河島。駅から徒歩5分ほどの場所に「MKM ORIGINAL」は店を構える。

この店を立ち上げたのが、店主の安井龍之介a.k.aまんこーんさんだ。穏やかな街並みのなかにふと現れるその空間は、入り口に立った瞬間から、まるで〝平成〟の一場面を切り取ったかのような空気をまとっている。三河島と言えば、都内最古のオールドコリアンタウンとも知られるが、なぜ、三河島でお店を始めようとしたのだろう。

「もともとこの辺りに住んでいたことも理由にあるのですが、兄が彫刻家で、この場所をアトリエにしていたんです。ちょうどアトリエを移すタイミングで物件が空くことになって、『それならやってみようか』と、お店を始める流れになりました。

近くに『元映画館』というイベントスペースがあるんですけど、そこも兄の先輩たちが運営していて。そういうつながりが重なって、三河島には自然と愛着がありますね」

しかし、タイミングよく物件が空いたとはいえ、いきなりお店を始めるのはそう簡単ではない。とはいえ、お店の数だけ色んな始まり方があり、それぞれにストーリーがあるもの。そう考えると、安井さんのケースもなかなかユニークだ。

「僕は愛知出身で、高校までは名古屋にいました。その後、1年間タイに渡ってムエタイをやっていたんです。もともと海外に行ってみたいという気持ちがあって、親や知人のつながりもあり、タイに行くことになりました。

別名で『まんこーん』と名乗っているのも、タイでそう呼ばれていたことがきっかけです。これはタイ語で〝龍〟という意味のニックネームで、現地で付けられました。最初は少し抵抗があったのですが、だんだん愛着が湧いてきて、今ではそのまま名乗っています。

現地では、気づいたらなぜか試合に出ていたという感じで(笑)。結果的に6試合ほど経験したのですが、最後はタイ人選手との試合で左腕を骨折してしまい、そのまま帰国しました。

帰国後は〝手に職をつけたい〟と思い、紹介をきっかけに滋賀の靴工房に就職しました。そこで4〜5年ほど働くなかで、大阪にいる友人のもとへ遊びに行くようになり、アメ村にも足を運ぶように。そこで古着や平成カルチャーに出会ったのが、今につながるきっかけですね」

その後、上京を決意した安井さん。当時はコロナ禍の真っただ中で、世の中が不安に包まれていた時期だったが、それでも前向きな気持ちを持ち続け、お店を開く決断に至ったという。

「2020年のコロナ禍と同じくらいのタイミングで、就職を機に上京したんですけど、その会社は半年くらいで辞めてしまって。そこから改めて『やりたいこと』と『自分にできること』を考えた時に、最後に残ったのが〝これ〟だった、という感じですね。

いわゆる〝積極的消去法〟みたいな(笑)。色々なことをやりたい気持ちはあるけれど、実際に自分ができることって何だろうと考えた時に、お店を開くことだったというか。

もともと靴づくりの仕事をしていたこともあって、ものづくり自体は好きなので、じゃあその中で何ができるかと考えていった結果、今みたいなかたちでお店をやることになりました」

記憶を編み直す、リメイクというアプローチ

その後は、ポップアップやオンラインを中心に活動を展開し、昨年、実店舗のオープンに至ったという。そんなMKM ORIGINALでは、古着とリメイクアイテムを軸に、平成カルチャーを感じさせる品々が揃う。

平成初期の企業ノベルティTシャツなど、ひと癖ある古着も多く並ぶが、なかでもひときわ目を引くのが、オリジナルのリメイクアイテムだ。

ハンカチをリメイクしたTシャツや、〝あ~〟という文字のアップリケをあしらった一点もののシャツなど、どれもインパクト十分。どこか肩の力が抜けたユーモアと、一周回ってクールに映る日本らしさが同居している。

「扱っているのは、1990年代前半から2000年代初頭にかけてのものが中心ですね。当時のアイテムはデザインが良いものが多くて、色の発色もすごくきれいなんです。ハンカチを見ていても、『これ、このままじゃもったいないな』と思うことが多くて。

それで集めるようになったのですが、『どうやって売ろうか』と考えた時に、Tシャツに縫い付けてみようという発想にたどり着きました。リメイクTシャツの延長ではあるんですが、シンプルにデザインの良さを活かしたいという気持ちが大きいですね。

もともと靴の仕事をしていたのでミシンには触れていましたし、祖母がソーイングをやっていた影響もあって、昔からものづくりは好きでした。ただ、自分が〝作っている〟という感覚はあまりなくて。どちらかというと、ハンカチそのものの魅力をどう引き出すか、ということに重きを置いています」

そして、インパクトのある〝あ〜〟のシャツも人気だ。大胆な文字ながら柄と自然に馴染み、着てみると意外とシンプルにまとまるのが面白い。

「この〝あ~〟のシャツは、近くに語学学校があることもあって、台湾から来た方に人気なんです。旅行で来て、そのまま立ち寄ってくれる方も多くて。日本語の『あ』が、シンプルでわかりやすいのも理由かもしれません。

実はこの〝あ~〟には、『あ~今日は人来ないな……』ってため息をつく時の〝あ~〟という意味があって(笑)。でも、それを〝かわいい〟って言ってもらえるのは嬉しいですね」

軽やかにいまの平成カルチャーを楽しんで

平成カルチャーと古着の魅力を存分に味わえる「MKM ORIGINAL」。店内には、元X JAPANのhideのぬいぐるみや、くじ引きのブロマイドなど、当時の空気感を色濃く残すアイテムが幅広く揃っている。

さらに、黄金期のモーニング娘。をはじめとするアイドルグッズも並び、世代によっては思わず胸が熱くなるラインナップだ。

現在30歳の安井さんにとって、平成初期はまだ幼少期にあたるはずだが、どのようにしてその時代のカルチャーへの理解や造詣を深めていったのだろうか。

「20歳の頃、大阪・アメ村にある『十四才』という古着屋によく通っていたんです。そこをきっかけに当時の音楽を聴くようになり、平成カルチャーにのめり込んでいきました。

店内では90年代の楽曲や、ブルーハーツ、ハイロウズといったバンドの曲がよく流れていていたのも印象的でした。『かっこいいな』と自然に惹かれていった感覚です。

ちょうどその頃はApple Musicのようなサービスも普及し始めていて、手軽に音楽がアクセスできる環境が整っていました。だからこそ、『この世代だからこれを聴く』といった意識はあまりなく、ジャンルや時代に縛られず、さまざまなバンドやタレントにフラットに触れていたと思います。気負うことなく、軽やかに入り込んでいけたのが大きかったですね」

また、企業ノベルティTシャツやグッズ、タレントのぼりも同じような理由で、面白いと思った軽やかな感覚から興味を抱いたという。

「企業ノベルティTシャツやグッズも、『これは何だろう』と思うところから興味を持って、調べるようになりました。当時はまだ余裕があった時代なのか、今では考えられないような、少し不思議なアイテムや『これを誰が使うのだろう』と感じるグッズも多くて。そうしたものの背景を想像するのが好きなんです。

平成初期のグッズにも、同じように〝なぜこれが作られたのか〟と考えさせられるものが多くて、見ていて飽きることがありません。

なかでものぼりは特に好きで、ある種のこだわりもあります。単純にサイズが大きくて、気分が上がるところも惹かれるポイントのひとつですね。

感覚としては、日本のものを扱いながらも、どこか海外の人と近い距離感で捉えている部分があるかもしれません。固定観念にとらわれず、フラットに面白がるような感覚で向き合っている気がします」

今年の4月26日でオープンから1周年を迎え、今後も変わらず三河島で店を続けていきたいと安井さんは話す。

「この三河島エリアは、都内でも古くからコリアンタウンとして知られていて、美味しい焼肉店やキムチのお店も多いんです。さまざまな国籍の人が行き交う街でもあって、歩いているだけでも楽しい場所ですね。近くにある『元映画館』も、約30年前に閉館した建物を活かしながらイベントスペースとして再生されていて、いつも面白いことをやっています。

そうした独自のカルチャーが混ざり合う街のなかで、MKM ORIGINALもまたひとつの拠点としてあり続けたいですね。平成の空気感をまとった古着やリメイクアイテムを通して、訪れる人それぞれに新たな発見や懐かしさを提供できる場所として、これからも緩やかに続けていけたらと思います」

三河島という街に根ざしながら、〝平成〟の記憶を現代的な感覚で軽やかに編み直し、〝令和の時代に楽しむカルチャー〟として更新し続けているMKM ORIGINAL。

下町発のその感覚を、ぜひ当時の熱量とともに体感してみてはいかがだろうか。

MKM ORIGINAL
東京都荒川区東日暮里3-21-7
https://mkmoriginal.com/?srsltid=AfmBOopX3bxFfzD3Q2snCx5z6LKEGejYS96P53cDioJ0Raeq1tBDmoxE

取材・文/Tajimax

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東京都出身。2018年からSNSを中心に90年代〜00年代の平成ガールズカルチャーをメインに紹介している。以降、『オリコンニュース』『現代ビジネス』『WWD.JAPAN』『クイック・ジャパン』『Fashion Tech News』『東洋経済オンライン』などで平成カルチャー関連のインタビューや執筆・寄稿に携わる。古雑誌をメインに平成ガールズカルチャー関連のアイテムを膨大に所有。

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