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生成AIのビジネス活用はここから!Adobe Acrobatの新機能「PDFスペース」を使ってみた

2026.04.22

仕事の効率化のために生成AIを活用している人が増えている。一方で、AIをビジネスに使用する際に、つきまとう課題が「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」だ。その多くは、間違いも含まれるインターネット上の情報をソースとするために起こると言われる。そこで注目をされているのが、自分が用意した情報だけをソースに、AIを活用できるサービス。たとえば『Adobe Acrobat』で提供されている「PDFスペース」もそのひとつだ。

PDFは〝保存〟から〝活用〟へ、「PDFスペース」が超便利!

『Adobe Acrobat』はご存じPDFのプラットフォームだ。無料で利用できるPDFリーダーの『Acrobat Reader』をはじめ、編集や変換ができる『Acrobat Standard』(月額1980円)、より高度でセキュアな編集ができる『Acrobat Pro』(2530円)など、複数のプランが提供されている。昨年そのラインナップに追加された、新しいプランが『Acrobat Studio』(月額3300円)だ。『Acrobat Pro』の全機能に加えて、ブラウザベースのデザインツール『Adobe Express プレミアム』、生成AI『Acrobat AI アシスタント』が利用できる。『Acrobat AI アシスタント』で利用できる機能が「PDFスペース」になる。

『Acrobat Pro』の画面。左のメニューから「PDFスペース」が利用できる。

「PDFスペース」はその名の通りPDFをソースに、そのデータをAIで様々に活用できるワークスペースだ。実際にはPDFだけでなく、WordやExcel、PowerPoint、Webサイトのリンクやテキストまで、形式の異なるファイルを最大100個(1ファイルあたり最大600ページ、100MB)まで、アップロードすることができる。

ファイルをドラッグ&ドロップまたは、リストから選択してアップロードできる。
複数のファイルをまとめてアップロード可能。PDF以外のファイルやWebサイトもソースとして活用できる。
他のストレージサービスからもファイルを簡単に取り込める。

ソースが限定されるためファクトチェックが簡単

ファイルをアップロードするとまずその内容が要約され、続いてチャット形式でAIに様々な質問や指示ができるようになる。たとえば英語のレポートを読み込ませて、日本語で要約するなんてこともお手のもの。昨年と今年の契約書をアップロードして、どこが変わったか質問するような使い方もできる。回答にある引用元のリンクをクリックすれば、ファイルの該当部分が瞬時に示されるしくみ。情報を簡単に引き出せるだけでなく、そのソースとなっている情報にも簡単にアクセスできるというわけだ。自分がアップロードしたファイルやWebサイトにソースが限定されるため、ファクトチェックが簡単にできるのが強み。冒頭で触れたハルシネーションのリスクも低くなる。

アップロードしたファイルの内容が自動的に要約され、様々な質問ができるようになる。
AIアシスタントのキャラクターも選択できるようになっている。

なお、同様にソースを限定してAIと対話できるサービスにGoogleの「NotebookLM」があるが、あちらはファイルをソースとしてアップロードする際にデータがテキスト化されてしまうため、引用元をクリックしても文字情報しか確認できない。その点、「PDFスペース」はオリジナルのPDFファイルのまま、閲覧できるのがポイント。ファイルの該当部分が図表やレイアウトを含めてそのまま表示されるため、とても参照しやすい。

ソースのファイルをテキストだけでなく、そのままの状態で参照できるのが「NotebookLM」との大きな違いだ。

ではどんなシーンに活用できるのか、実際に試してみた。

実際に使って見ると、雑誌の制作過程での確認作業がスムーズに

長文のレポートをアップロードして要約してもらったり、英語の文書を翻訳してもらうだけも十分に便利だが、たとえば筆者のようなライターや編集者の場合は、「PDFスペース」を活用することで、雑誌や書籍など、紙媒体のチェック作業を劇的に効率化できる。紙媒体では、レイアウトされた誌面の内容を確認する、「初校」「再校」といった段階的なやり取りが、PDFで行われることが多い。初校と再校のPDFファイルをアップロードし、AIに2つを比較させれば、初校で指示をした箇所がそのとおりに修正されているか、簡単に確認できる。また、AIに記事を要約させることで、伝えたかったことがきちんと伝わる文章になっているか、チェックするような使い方もできるだろう。

初校と再校を見比べて、修正箇所を簡単に確認できる。

もちろん原稿を書く際に必要な資料をPDFスペースにアップロードして、情報を引き出すことも可能だ。たとえば数百ページもあるような政府の白書から情報を引き出したい場合、これまではキーワード検索であたりをつけて、該当すると思われる箇所を読み込むしか方法がなかった。しかしPDFスペースにアップロードしておけば、 AIに「〇年の〇〇の数値を教えて」、「〇〇に関する統計データをピックアップして」のように指示するだけ。知りたい情報をピンポイントで調べられる。PDFスペースは『Adobe Acrobat』のユーザー以外にもシェアでき、ブラウザ上で利用できるため、閲覧やコメントをするだけなど権限を制限した上で、編集者と資料を共有するといったことも可能だ。

ページ数の多いレポートから欲しい情報を簡単に引き出して活用できる。
ほかのユーザーに「PDFスペース」を共有することもできる。

ビジネスだけでなく、もっと個人的な用途にも使用できる。たとえば就職活動の人なら、自分の履歴書と応募したい企業の求人票をセットで読み込ませて、自己PRを練るなんてこともできるだろう。複雑で読むのが大変な各種契約書をAIにチェックさせて、隠れたリスクやメリットを洗い出させたりするのもいい。家電のマニュアルを取り込んでトラブルの解決策を聞き出したり、旅行パンフレットを比較して最も効率が良いプランを提案させるといった使い方もできそうだ。

実際に使ってみると、大量の資料を読み込んでまとめ、そこから情報を引き出す以外にも、その情報をどう活用できるかAIに壁打ちしながら試行錯誤したり、ソースを参照しつつそこに該当しないような新しい企画を考えるなど、使い道は広いと感じる。調べる、分析する、理解する、応用する、生み出すまでの一連の作業が、これひとつでできる印象だ。

ビジネスに生成AIを使用する際、ハルシネーションと同様に情報漏洩も大きなリスクだが、「PDFスペース」にアップロードしたデータは、AIモデルに学習に使われることはない。公開前の原稿や機密性の高い文書も、安心して委ねることができる。ハルシネーションと情報漏洩リスクを抑えながら生成AIのメリットを享受できる「PDFスペース」は、AIをビジネスに活用したいと考えている人の、現実的な第一歩となりそうだ。

文/太田百合子

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ネット黎明期よりWebディレクションやネット情報誌の立ち上げに携わる。以降PC、スマートフォンからウェアラブル、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できるAI、サービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆。デジタルデバイドの解消に役立つ、わかりやすい記事を心がけている。

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